決算書における【 総合原価計算とは 】詳細まで全て解説

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今回は、決算書における「総合原価計算」について解説します。

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総合原価計算とは

総合原価計算とは、同じ規格の製品を毎月大量に生産する大量生産形態に適用される原価計算方法のことです。

更に、総合原価計算のうち、1種類の製品を大量生産する生産形態に適用される原価計算方法を、単純総合原価計算と言います。

総合原価計算の計算方法

総合原価計算では、当月に完成した完成品の原価である「完成品総合原価」を計算した後、完成品総合原価を当月に完成した製品の数量で割ることによって、完成品1個あたりの原価「完成品単位原価」を計算します。


更に、月末に置いて未完成の製品である「月末仕掛品」がある場合には、先に月末仕掛品原価を計算し、当月に投入したそう製造原価から月末仕掛品原価を差し引くことにより、差額で完成品総合原価を計算します。


計算式にまとめると下の通りになります。


完成品総合原価=当月総製造原価ー月末仕掛品原価


完成品単位原価=完成品総合原価÷当月完成品数量

月末仕掛品がある場合

直接材料費と加工費

総合原価計算では、製造原価を直接材料費と加工費に分けて計算します。

直接材料費とは、ある製品にいくらかかったかが明確な材料費のことです。

加工費とは、直接材料費以外の原価のことです。


製造原価を直接材料費と加工費に分ける理由は、原価の発生の仕方が異なるからです。

直接材料費

直接材料費は主に製品の本体となる材料のため、通常は製品を作り始めるときに、完成までに必要な量が全て投入されます。

したがって、加工が進んだからといって、製品1個分の直接材料費が増えるわけではありません。

加工費

加工費は、加工が進むにつれて発生する原価です。

例えば、直接こうの賃金である「直接労務費」は、これから製品を作り始めるという段階では0円ですが、直接工が5時間作業をすることによって、製品が完成に近づくとともに、5時間分の賃金が発生します。


このように、加工費は製品の加工が進めば進むほど多く発生する原価のため、完成品1個あたりの加工費と月末仕掛品1個あたりの加工費は異なります。

そこで、加工費の計算をする際には、月末仕掛品の数量が完成品の何個分に相当するかを計算し、完成品の数量に換算する必要があります。

この場合の、完成品の数量に換算した月末仕掛品の数量を「完成品換算量」と言います。

完成品換算量は、月末仕掛品数量に加工の進み具合である「加工進捗度」をかけて計算します。


これを計算式に表すと下の通りです。


完成品換算量 =(月末)仕掛品 × 加工進捗度

総合原価計算のボックス図

総合原価計算の問題を解く時には、次のような仕掛品のボックス図を持ち椅子のでと便利です。

更に、直接材料費と加工費を分けて計算するため、直接材料費のボックスと加工費のボックスを分けて記入します。

月初仕掛品がある場合

月初仕掛品がある場合には、月初仕掛品原価と当月製造原価の合計を、完成品と月末仕掛品に配分します。

月初仕掛品がある場合の月末仕掛品原価と完成品総合原価の計算方法には、「先入先出法」「平均法」があります。

先入先出法

先入先出法は、先に投入したもにから先に完成したと仮定して、月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算する方法です。

先入先出法による場合、先に投入した月初仕掛品から先に完成し、その後、当月投入分のうち一部が完成し、残りが月末仕掛品となります。

したがって、月末仕掛品は全て当月投入分から発生したと考えて計算することになります。

平均法

平均法は、月初仕掛品と当月投入分から平均単価を計算し、この平均単価を用いて月末仕掛品原価及び完成品総合原価を計算する方法です。

平均単価を求める計算しきを示すと次の通りです。


平均単価 =(月初仕掛品原価 + 当月製造費用)÷(完成品数量 + 月末仕掛品数量)

工程別総合原価計算

工程別総合原価計算とは

工程別総合原価計算とは、同一製品を、2つ以上の作業工程によって大量生産する生産形態に適用される原価計算のことです。

工程がある場合には、工程ごとに原価を計算することによって、どの工程で無駄があったのかを把握することができます。


例えば机を作るとき、木材をきると言う作業と、切った木材を組み立てる作業があります。

これらの作業は同じ工程で行っても良いですが、第一工程としてきる作業、第二工程として組み立てる作業というように、作業によって工程を分けることがあります。

このように、複数の工程がある場合に適用される原価計算を「工程別総合原価計算」と言います。

工程別総合原価計算の計算方法

工程別総合原価計算では、工程ごとに原価を計算していきます。

まずは第一工程の完成品総合原価を計算します。

第一工程完了品はそのまま第二工程に投入され、第二工程の始点で投入された材料として扱われます。

したがって、第一工程の完成品総合原価は第二工程では直接材料費として計算します。


このように、第一工程の完成品総合原価を第二工程に振り替えて計算する方法を「累加法」と言います。

組別総合原価計算

組別総合原価計算とは、同じ作業工程で、2つ以上の異種製品を大量に生産形態に適用される原価計算のことです。

組別総合原価計算では、製品の種類のことを「組」といます。

組別総合原価計算の計算方法

組別総合原価計算では、組製品ごとに原価を集計し、計算していきます。

各組製品の製造原価は、各組製品に個別に発生し、直接把握できるかどうかにより「組直接費」「組間接費」に分類されます。

組直接費には、直接材料費・直接労務費・直接経費があり、組直接費は各組製品に個別に集計します。

組間接費には、製造間接費があり、組間接費は一定の基準によって各組み製品に割り当てます。

等級別総合原価計算

等級別総合原価計算とは、同じ作業工程で、同一種類ではあるが、サイズ・重さ・品質などの違いによって等級別に分けられる製品「等級製品」を大量に生産する生産形態に適用される原価計算のことです。

等級別総合原価計算の計算方法

等級別総合原価計算では、等級製品の完成品総合原価をまとめて計算した後、各等級製品に原価を配分します。

各等級製品に原価を配分する際には、サイズ・重さなど、一定の値に基づいて決定された原価の負担割合を用います。

この原価負担割合を「等価係数」と言います。

また、各等級製品の完成品数量にをかけた値を「積数」と言います。

積数によって完成品総合原価を各等級製品に分配します。

仕損・減損の処理

仕損・減損とは

仕損とは、製品の製造過程で、何らかの原因によって加工に失敗し、不良品(仕掛品)が生じることです。

減損とは、製品の製造過程で、蒸発・粉散・ガス化などによって原材料が減耗することです。


また、仕損品の原価を仕損費と言い、減損分の原価を減損費と言います。


両者の違いは次の通りです。

仕損の場合は、不良品とはいえ形が残りますが、減損の場合には、形が残らない点が違いです。


例えば机を作るために木材を切っている段階で、サイズミスをしたとしましょう。

これを仕損品と言います。

仕損品は不良品のため販売はできません。

しかし不良品としての形は残るため、その素材である木材はいくらかの価値で他に販売することができる場合もあります。


減損は、例えば熱している鍋の水分が蒸発すると、量が減ります。

この蒸発分を、減損と言います。

現存の場合は蒸発しているため形が残りません。

正常仕損・異常仕損

製品の製造においては、ある程度の仕損・減損の発生は仕方ありません。

このような通常発生する程度の仕損・減損を「正常仕損」「正常減損」と言います。

一方、通常発生する程度の超えて発生した仕損・減損を「異常仕損」「異常減損」と言います。

正常仕損・正常減損の処理

正常仕損・正常減損は、良品(完成品・仕掛品)を製造するために不可避的な原価と考え、良品に負担させます。(良品の原顔として計算します。)

この時、正常仕損・正常減損が工程のどの時点で発生した蚊によって正常仕損費・正常減損費を完成品のみに負担させるか、完成品と月末仕掛品の両者に負担させるかが決まります。

完成品のみ負担の場合

正常仕損の発生点が、月末仕掛品の加工進捗どよりもあとの場合、正常仕損は完成品のみに負担させます。


例えば、月末仕掛品の加工進捗度が50%、仕そんの発生点が工程の終点という場合、仕損は加工進捗度50%では位発生していないことになります。

つまり、この仕損は完成品として仕上げる段階で生じたもののため、この場合の正常仕損費は全て完成品の原価として処理します。


完成品のみ負担の場合、正常仕損品を完成品とみなして計算します。

両者負担の場合

正常仕損の発生時点が、月末仕掛品の加工進捗度よりも前の場合、

正常仕損費は、完成品と月末仕掛品の両者に負担させます。


両者負担の場合、正常仕損がなかったものとして、当月投入そう製造費用を完成品と月末仕掛品に分けます。

先入先出法の場合の正常仕損・正常減損の処理

先入先出法の場合には、正常仕損や正常減損は全て当月投入分から生じたと考えて計算します。

仕損品に評価額がある場合の処理

仕掛品は不良品のため、製品として販売することはできませんが形が残るため、残った材料を売却できることがあります。

この場合の仕損品の売却価額を「評価額」と言います。

仕損品に評価額がある場合、仕損ひんに評価額がある時は、完成品総合原価を計算した後、完成品総合原価から仕損品の評価額を差し引きます。

両者負担の場合

両者負担の場合において、仕損品に評価額がある時は、当月投入直接材料費から仕損品の評価額を差し引き、評価額を差し引いた後の直接材料費の金額を用いて、月末仕掛品原価と完成品総合原価を計算します。

仕掛品の評価額は主に材料の価値と考えられるため、評価額を直接材料費から差し引きます。

材料の追加投入

上記では、材料は皇帝の始点で投入されていることが前提でしたが、始点で投入する場合の他に、工程の終点や途中で投入する場合や、平均的に材料を投入する場合もあります。

材料を追加投入した時は、材料の投入時点によって処理が異なります。

工程の終点で投入した場合の処理

材料を工程の終点で投入した場合、製品の加工が全て終わってから材料を投入したことになります。

つまり、この場合の材料は完成品を作るためだけに使われたことになります。

そこで、終点で投入された材料費は、全て完成品総合原価として処理します。

工程の途中で投入した場合の処理

材料を工程の途中で投入した場合、投入時点と月末仕掛品の加工進捗度を比べ、その材料が月末仕掛品にも使われたかどうかによって計算が異なります。

【材料の投入時点が月末仕掛品の加工進捗度よりも前の場合】

材料の投入時点が月末仕掛品の加工心ん直どよりも前の場合には、月末仕掛品にもこの材料が使われていることになります。

したがって、追加投入した材料費は完成品と月末仕掛品で分けます。

【材料の投入時点が月末仕掛品の加工進捗度よりも後の場合】

材料の投入時点が月末仕掛品の加工進捗度よりも後の場合には、月末仕掛品にはまだこの材料が使われていないことになります。

したがって、追加投入した材料費は全て完成品総合原価として処理します。

工程を通じて平均的に投入した場合の処理

工程を通じて平均的に投入するとは、加工の進み具体に比例して徐々に材料を投入するということです。

この場合の材料費の発生の仕方は加工費の発生の仕方と同じです。

したがって、加工費の計算と同様に、加工進捗度を加味した完成品換算量を用いて計算します。


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まとめ

経営や株式投資において、決算書の理解は必須になります。

その際、簿記の知識も活かして理解を深めましょう。


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