決算書における【 税金とその処理について 】分かりやすく解説

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今回は、決算書における「税金」について解説します。

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法人税等とは

株式会社などの法人は個人と同様、様々な税金を納めます。

法人が納める税金のうち、法人の利益に対して課される税金に、法人税・住民税・事業税があります。

法人税・住民税・事業税をまとめて法人税等と言います。


関連記事→決算書における【 法人税等の計上について 】分かりやすく解説

法人税等の処理

会社が法人税・住民税・事業税を納付した時は、「法人税、住民税及び事業税」(費用)として処理します。

法人税などは、決算において会社の利益が確定した後に確定申告し、納付します。

決算が年1回の会社は、会計期間の途中で半年分の概算がくを申告(中間申告)し、納付します。

中間申告によって納付した法人税等は概算額のため、法人税などの金額が確定するまで仮払法人税等(資産)として処理します。

法人税等を中間申告・納付した時

会計期間の途中で、法人税等を中間申告・納付した時は、仮払法人税等(資産)として処理します。

法人税等が確定した時(決算時)

決算において、当期の法人税等の金額が確定した時は、確定した税額を「法人税、住民税及び事業税」として処理します。

(「法人税等」で処理することもあります。)

更に、中間申告・納付時に計上した仮払法人税等(資産)を減少させます。

また、確定した税額と仮払法人税等(資産)との差額は、これから納付しなければならない金額のため、未払法人税等(負債)として処理します。

未払法人税等を納付した時

決算において確定した法人税等の未払額を納付した時は、未払法人税等(負債)を減少させます。

課税所得の算定方法

課税所得とは

法人税等(法人税、住民税及び事業税)は、税法上の利益に税率をかけて計算します。

この時の、税法上の利益を「課税所得」と言います。

法人税等=課税所得×税率


会計上の利益は、収益から費用を差し引いて計算します。

会計上の利益=収益ー費用

雑所得は、損金を差し引いて計算します。

課税所得(税法上の利益)=益金ー損金

※益金は「税法上の収益」、損金は「税法上の費用」です。

課税所得の計算プロセス

会計上の収益・費用と税法上益金・損金の範囲はほとんど同じですが、会計上は表であっても税法上は損金として認め得られないものなどがあります。

したがって、会計上の利益と課税所得(税法上の利益)は必ずしも一致するわけではありません。

そこで、会計上の利益とは別に、課税所得を計算する必要があります。


ただし、「収益ー費用」で会計上の利益を計算して、更に「益金ー損金」で課税所得(税法上の利益)を系配賊なんするというわけではありません。

これだと二度手間になるため、算出した会計上の利益(税引前当期純利益)をもとに、これに調整を加えて、課税所得(税法上の利益)を計算します。

損金(益金)不算入と損金(益金)算入

会計上の利益から課税所得(税法上の利益)を計算するには、会計上の収益・費用と税法上の益金・損金との違いを調整します。

【損金(益金)不算入と損金(益金)算入とは】

会計上の収益・費用と税法上の益金・損金との違いには次の4パターンがあります。

会計上税法上
①損金不算入費用に計上している損金にならない
②損金算入費用に計上していない損金になる
③益金不算入収益に計上している益金にならない
④益金算入収益に計上していない益金になる

【主な損金(益金)不算入項目と損金(益金)算入項目】

主な損金不算入項目・損金算入項目・益金不算入項目・益金算入項目には次のようなものがあります。

パターン主な項目
①損金不算入減価償却の償却限度超過額・引当金の繰入限度超過額
(会計上、減価償却費を1000円で計上しているが、税法上は90円しか減価償却費が認められないという場合→10円が損金不算入額となる)
②損金算入貸倒損失認定損など
(会計上は貸倒損失を計上していないが、税法上は20円の貸倒損失が認められるという場合→20円が損金算入額となる)
③益金不算入受取配当等の益金不算入額など
(A社がB社株式を保有していて、B社から配当金10円を受け取った時、会計上は受取配当金10円として処理するが、税法上、この配当金については益金に算入しないという場合→10円が益金不算入額となる)
④益金算入売上計上漏れなど
(会計上、売上高1,000円で計上したが、税務申告をする際、実は売上高は1,000円であったことが発覚した場合→100円が益金算入額となる)

会計上と税法上でこのような違いがあるのは、会計と税法の目的が違うからです。

会計の目的は、株主など、会社を取り巻く人々に対して、経営成績や財政状態を報告することです。

そのため、認められている範囲で、各会社の状況にあった会計処理を行うことが良いとされています。

しかし税法は、公平な課税を目的としているため、同じ条件であれば納めるべき税金が同額になるように課税所得を計算する必要があります。


例えば、違う会社で同じタイプの車両を営業車として使っていたとすると、税法では、同じタイプの車両であれば、同じ耐用年数で減価償却費の計算が行われます。

よって、この車両の税法上の耐用年数(法廷耐用年数)が5年であった場合、法人税等を計算する際は、両社も耐用年数5年で減価償却費を計上しなければなりません。

法人税等の計算

上記のように計算した課税所得に、法人税等の税率(実効税率)をかけて法人税、住民税及び事業税の額を計算します。

法人税、住民税及び事業税=課税所得×税率

※実効税率とは、法人の課税所得に対する実質的な税率(法人税、住民税、事業税の課税所得に対する税率)のことです。

消費税

消費税とは

消費税は商品を販売したり、サービスを提供した際に課される税金です。

会社は商品を仕入れたときに消費税を支払い、商品を売り上げた時に消費税を受け取ります。

そして最終的に、受け取った消費税から支払った消費税を差し引いた金額を納付します。

消費税の処理

【商品を仕入れた時】

商品を仕入れた時は、仕入価額で仕入(費用)を計上するとともに、支払った消費税額を仮払消費税額(資産)として処理します。

この処理方法を、税抜方式と言います。

【商品を売り上げた時】

商品を売り上げた時は、売上価額で売上(収益)を計上するとともに、受け取った消費税額を仮受消費税(負債)として処理します。

【決算時】

決算において、仮払消費税(資産)・仮受消費税(負債)を相殺します。

更に、仮払消費税(資産)よりも仮受消費税(負債)の方が多い場合は、差額を納付します。

納付する消費税額は未払消費税(負債)として処理します。

反対に、仮払消費税(資産)より仮受消費税(負債)の方が少なかった場合は差額が還付されます。

還付される消費税額は、未収還付消費税(資産)として処理します。

【未払消費税を納付した時】

未払消費税を納付した時は、未払消費税(負債)を減少させます。

まとめ

株式投資では、決算を読み込むために簿記の知識もあると優位になります。

今後も決算を読み解いていきましょう。


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