今回は、決算書における段階取得についての解説をまとめました。
段階取得
段階取得とは
段階取得とは、親会社が複数回に分けて子会社株式を取得し、2回目以降の取得で初めて支配を獲得することです。
段階取得の会計処理
段階取得により支配を獲得した場合、連結上は支配獲得日前に保有していた株式も含めて、支配獲得日に一括して子会社株式を取得したとみなして処理します。
具体的には、支配獲得前に保有していた株式を支配獲得日の時価で再評価し、支配獲得日の時価に基づく子会社株式の金額で投資と資本の相殺消去仕訳を行います。
この場合、個別貸借対照表上の帳簿価額と支配獲得日の時価の差額を段階取得に係る差益(差損)として処理します。
段階取得における開始仕訳
支配獲得後に連結修正仕訳を行う場合、開始仕訳として再度子会社株式の時価評価仕訳を行う必要があります。
段階取得に係るさ損益は損益項目のため、開始仕訳では利益剰余金当期首残高として処理します。
支配獲得後の追加取得
支配獲得後の追加取得
支配獲得後に子会社株式を追加取得した場合、親会社が新たに取得した子会社株式を、連結上、子会社の資本と相殺消去する必要があります。
追加取得の会計処理
追加取得した子会社株式と、追加取得割合に相殺する非支配株主持分を相殺し、差額があった場合には資本剰余金として処理します。
ただし、非支配株主持分は純資産項目のため、仕訳上は連結株主資本等変動計画書の項目である非支配株主持分当期変動額として処理します。
更に、資本剰余金が負の値となる場合には、連結会計年度末において、資本剰余金をゼロとし、その負の費を利益剰余金から減額します。
2013年改正会計基準では、支配株主との取引によって生じた親会社の持分変動による差額を資本剰余金とすることになりました。
追加取得による持分の変動額は、連結株主資本等変動計画書においては資本剰余金に対する非支配株主との取引に係る親会社の持分変動として記載します。
子会社株式の一部売却
一部売却の会計処理
子会社株式を一部売却した場合、個別上では子会社株式の帳簿価額(一部売却簿価)と売却価額との間に生じた差額が売却損益として計上されています。
しかし、連結財務諸表では、支配が継続している限り、親会社の持分の減少額(売却持分)と売却価額との間に生じた差額は資本剰余金として処理します。
そのため連結修正仕訳により、個別上の処理を修正します。
更に、資本剰余金が負の費となる場合には、連結会計年度末において、資本剰余金を0円とし、当該負の費を利益剰余金から減額します。
子会社の一部売却において、関連する法人税等(子会社への投資に係るぜいこうかの調整を含む)は資本剰余金から控除します。
のれんの未償却額の取り扱い
子会社株式を一部売却した場合、のれんの未償却額は減額させません。
これは、支配が継続している限り、償却や減損を除き、のれんを減額すべきでないとの理由からでうs。
また、追加取得時には、のれんが追加計上されない処理と整合した取り扱いとするためののれんを減額しない処理となります。
関連する法人税等について考慮する指示がある場合、一部売却の仕訳に加えて、以下の仕訳を行います。
これは、個別上の子会社株式売却益が連結上は資本剰余金として計上されるため、法人税等相当額についても資本剰余金から控除することとされているからです。
まとめ
株式投資や経営において、決算書の理解は必須になります。
その際、簿記の知識も活かして決算書の理解を深めましょう。
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