「怒りの感情」とその「怒りの鎮め方」について、元精神科看護師の医学的根拠の視点から説明します。
怒りの感情とは
人間には喜怒哀楽の感情がありますね。
人はなぜ、怒るのでしょうか?
怒りとは、元々は悲しみの感情から派生しています。
悲しみの表出方法の一種として怒りがあるのです。
悲しいと感じた時、悲しみを表情や言葉で相手に伝えます。
そうすると相手は悲しみを悟り、行動を変える事ができます。
本来であればそれで済むのですが、悲しみの表出を怒りに代えてしまうかたがいます。
例えば、頻繁に怒る短気なかたがいるとしましょう。
短気なかたは、悲しみを怒りとして表出してしまうのです。
では、なぜ怒りとして表出してしまうのでしょう?
それは、「悲しみを表出することにより自分の弱さを見せてしまうことを恐れているから」です。
逆に言うと、悲しみを見せるということは弱さを見せることでもあります。
元々心が強いかたであれば、悲しみを素直に表出することができます。
しかし、心が強くないかたは、弱さを見せると相手に弱みをみせてしまって不利な立場になってしまうと思う傾向があります。
なぜそう思ってしまうかというと、「自分を相手より優位な立場に見せたい」「強く見せたい(弱く見られたくない)」という自己顕示欲が働いているからです。
*自己顕示欲とは、「自分の存在を目立たせ際立たせること」及びそのために「自分を実際以上の人物であるかのように見せる(ふるまう)こと」という意味です。
反対に、弱さを見せる事ができるかたは、この自己顕示欲がありません。
そのため相手より優位な立場に見せようありませんとする必要がありません。
なぜなら、「ありのままの自分を受け入れることが出来ている」からです。
もしくは、悲しみを怒りとして表出しても自分にメリットが無いと理解している賢いパターンです。
そのパターンを2で詳細に説明します。
怒りの感情を表出してもデメリットしかない理由
怒りの感情を表出してもデメリットしかありません
なぜなら、
①怒りはエネルギー消費量が高いため、そのエネルギーを他の事に使った方が有効的
②怒りの感情に任せて相手にぶつけても、感情で会話はできないため根本的な解決にならない
③怒りの感情を相手にぶつけることで、相手が恐怖心を抱き、自己防衛で距離を取られてしまう
④「感情を自己コントロールできない」「思っていることを素直に言語化できない」と自ら表明していることになる
という理由があります。
その①②③④についてそれぞれ説明します。
①怒りはエネルギー消費量が高いため、そのエネルギーを他の事に使った方が有効的
怒りを表出するためには、多くのエネルギーが必要になります。
怒りの表出をした後、どっと疲れた経験はありませんか?
しかし怒りは長期的に見てストレス発散にならないということも分かっているのです。
怒りにとらわれて怒りの感情を長時間持続させることはかえってストレスとなります。
なぜなら怒りのメカニズムは、最初に衝突があり、それに対する評価から発生し、さらに評価検討が繰り返されて増大していくからです。
そのため、怒りは多くのエネルギーを消費させてしまうだけでなく、かえってストレスを溜めてしまうため、体力的にみてデメリットしかありません。
その怒っている間に、脳を切り替えて楽しいことをしたり仕事をしたりしていた方が時間を有効に活用することができます。
②怒りの感情に任せて相手にぶつけても、感情で会話はできないため根本的な解決にならない
感情で会話はできません。
怒りの発散は、怒りを噴出させると情動の脳が興奮状態になり、怒りが静まるどころか一層怒りの感情を呼んでしまいます。
そのため、怒りの感情を相手にぶつけると言う方法は逆効果です。
大元も悲しみを相手に伝えるためには、どのように悲しみの感情が生じたかを言語で説明する必要があります。
怒っているだけでは相手は推測することはできても、その推測が必ずしも当たっているとは限らないため、お互いを理解し合うことはできません。
その曖昧なままでは、根本的解決にはなりません。
そもそも怒りだけ表出して相手に解ってもらおうというする行為は自分本位です。
そこでも、自分解って欲しいという自己顕示欲が表れていると分かります。
一時的な感情の発散だけでなく根本的な解決をしたい場合は、話し合って解決していきましょう。
③怒りの感情を相手にぶつけることで、相手が恐怖心を抱き、自己防衛で距離を取られてしまう
怒りの表出を受けたひともまた、ストレスが生じます。
例えば、怒りの表出として相手から怒鳴られたとしましょう。
すると、その恐怖を感じていることがストレスとなります。
それだけでなく、その恐怖から自己防衛で、次第にその相手を避けるようになります。
これがなぜ怒りを表出している側にとってデメリットになるかというと、
・(相手が自分から心の距離をとるようになり本音を言わないようになってくるため)本当の意味で仲良く居ることができなくなる
・(自分と居るとストレスだと思われ、自分に合うのが苦痛と感じることにより)次第に合う頻度が低くなる
という理由があります。
④「感情を自己コントロールできない」「思っていることを素直に言語化できない」と自ら表明していることになる
感情が理性で押さえる事が出来ない場合、自己コントロール不足です。
また、思っていることを素直に言語化できないということは、コミュニケーションにおいて支障がでます。
この2つは、仕事においてとても不利な状況となります。
仕事で不利ということは、人生においてもとても不利な状況で生きなければならないということです。
①②③④から怒りにはデメリットしか生じないということが証明されたところで、次にその怒りの鎮め方の具体策を説明します。
怒りを鎮める方法
2の怒りの表出によるデメリットを理解できていれば、自然と怒りを鎮めることができるでしょう。
怒りの発端となった理由を問い直す
2の②で、怒りは評価検討が繰り返されて増大していくと解説しました。
そのためまず、怒りの発端を問い直します。
怒りが発生してから早ければ早い程効果が大きいため、怒りを表出する前に鎮めることができれば怒りを完全に回避することも可能になります。
怒りを喚起する要因のない環境に移動する
急増したアドレナリンが落ち着くまで待ちます。
具体的には、怒りを表出しそうになったら相手から距離を置くと言う方法です。
アドレナリンが落ち着くのを待つ間に、気分転換を見つける
憎悪の拡大を止めるために、意図的に気分転換をします。
気分転換は怒りから意識をそらすことに最も有効と分かっています。
なぜなら、楽しいことをしながら起こり続けるということは不可能だからです。
怒りを感じた時は、すぐにアドレナリンを落ち着かせて気分転換を図りましょう。
まとめ
怒りは失うものが多いです。
時に大切なひとまで失ってしまうこともあるでしょう。
しかし自己コントロール可能なため、自身で制御しましょう。
それが後々あなたの幸せに繋がっています。
筆者の場合も、怒りはデメリットしか生まないと理解してから、怒りの感情自体が生じなくなりました。
派生する事象も時間も無駄でしかないからです。
怒りの感情を抹消できると、時間を有効に過ごすことができるしとても幸福度が高いです。
怒りが生じそうになった瞬間即効切りえます。
繰り返していると、息をするかの如くできるようになりますよ。(^^)
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