決算書における【 有形固定資産について 】まとめ

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今回は、決算書における「有形固定資産」について解説します。

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  1. 有形固定資産
    1. 有形固定資産の取得
      1. 有形固定資産とは
        1. 償却性資産・非償却性資産
        2. 取得原価の決定
    2. 特殊な方法による取得
        1. 一括購入
        2. 自家建設
        3. 現物出資
        4. 交換
        5. 贈与
  2. 有形固定資産の割賦購入
    1. 有形固定資産の割賦購入
    2. 有形固定資産を割賦で購入した時
    3. 割賦金を支払った時
        1. 定額法
        2. 利息法
    4. 割賦金の支払日と決算日が異なる場合の処理
  3. 有形固定資産の減価償却①
    1. 減価償却とは
      1. 減価償却の意味
      2. 正規の減価償却
      3. 減価償却の記帳方法
      4. 減価償却累計額の表示方法
    2. 減価償却方法
        1. 定額法
        2. 定率法
        3. 生産高比例法
        4. 級数法
  4. 有形固定資産の減価償却②
    1. 減価償却制度の改正
        1. 新規定額法
        2. 200%定率法
        3. 200%定率法で償却率・保証率・改定償却率が与えられる場合
  5. 期中売却・除却・廃棄・買換え・滅失
    1. 期中売却
    2. 除却・廃棄
    3. 買換え
        1. 買換え①
        2. 買換え②
        3. 滅失
  6. 圧縮記録
    1. 圧縮記録とは
    2. 直接減額方式
        1. 国庫補助金などを受け取った時
        2. 固定資産を取得した時
        3. 決算時の処理
        4. 貸借対照表の表示
    3. 積立金方式
  7. 有形固定資産の改良・修繕
    1. 改良・修繕とは
    2. 資本的支出・収益的支出
        1. 資本的支出・収益的支出の処分
        2. 決算時の処理
  8. 耐用年数の変更
    1. 会計上の見積もりの変更
        1. 定額法
        2. 定率法
    2. 会計上の見積もりの変更の時期
    3. 過去の誤謬(誤り)の訂正
    4. 減価償却方法の変更
        1. 定額法から定率法への変更
        2. 定率法から定額法への変更
  9. まとめ

有形固定資産

有形固定資産の取得

有形固定資産とは

有形固定資産とは、土地・建物・備品など、加工や売却を予定せず、企業が長期にわたって利用するために保有する資産で、形のあるもののことです。

更に、建設仮勘定(建物中の建物等に対する支払額)やリース資産なども有形固定資産に含まれます。

償却性資産・非償却性資産

減価償却を行うものを償却性資産、行わないものを非償却性資産と言います。

したがって、土地・建設仮勘定は減価償却を行わないため、非償却性資産に分類されます。

取得原価の決定

有形固定資産を取得したときは、購入代価に付随費用を加算した金額を持って取得原価とします。

更に、取得の時に割り戻しを受けた時は、これらの金額を購入代価から控除します。

取得原価=(購入代価ー割戻額)+付随費用

特殊な方法による取得

有形固定資産を通常の購入方法ではなく、特殊な方法によって取得することもありますが、その場合は次の方法によって処理します。

一括購入

例えば土地付建物の一括購入をする場合、土地・建物の内訳の金額を計算します。

具体的には、取得原価を各固定資産の時価の比で配分します。

土地の取得原価=土地付建物の取得原価×土地の時価/(土地の時価+建物の時価)

自家建設

自社で使う機械などを自ら製造した場合です。

この場合は、適正な原価計算基準にしたがって製造原価を計算し、この製造原価を種トゥゲンカとします。


自家建設のための借入金に係る利息で、「固定資産の稼働前の期間に属するもの」は取得原価に算入することができます。(容認処理)

現物出資

会社が株式を発行すると、通常株主は現金などで払い込みをしますが、土地・建物などの現物によって払い込むこともできます。

これを現物出資と言います。

この方法で取得した固定資産は時価等を基準とした公正な評価額を取得原価とします。

交換

当社が保有しちえた固定資産と交換で別の固定資産を受け入れた場合には、譲渡した資産の適正な帳簿価額を取得原価とします。

一方、保有していた由香証券と交換で固定資産を取得した場合には、交換時の有価証券の時価、または適正な帳簿価額を取得原価とします。

贈与

固定資産を贈与により取得した場合、贈与時の時価等を取得原価とします。

有形固定資産の割賦購入

有形固定資産の割賦購入

有形固定資産を割賦購入した場合、割賦期間分の利息が発生します。

この利息相当分

については、購入代価とは区別して「支払利息」として処理します。

有形固定資産を割賦で購入した時

有形固定資産を割賦で購入した時は、一括で購入した場合の価格(現金正価)を取得原価として処理し、利息分は前払利息として処理します。


利息分が明らかでない場合には、利息分も含んだ金額を固定資産の取得原価として処理します。

割賦金を支払った時

月々の返済には、営業外支払手形を減少させます。

また、購入時に計上した前払利息を支払利息に振り替えます。

ここで、利息の計算方法には定額法・利息法があります。

定額法

定額法とは、利息総額を分割払いの期間にわたって均等に配分して利息を計算する方法です。

利息法

利息法とは、割賦購入代金の元本未返済額に利子率をかけた金額を代金支払時の利息として計算する方法です。


元本み返済額は利息を除いた購入代価(現金正価)部分のことです。

割賦金の支払日と決算日が異なる場合の処理

割賦金の支払日と決算日が異なる場合には、決算日において、当時の最終の支払日から決算日までの期間に対応する利息を前払い利息から支払利息に振り替えます。

有形固定資産の減価償却①

減価償却とは

減価償却とは、適正な期間損益計算のため、有形固定資産の取得原価を耐用期間における各事業年度に費用として配分する手続きのことです。

減価償却の意味

企業は、建物・備品・車両などの固定資産を利用し、収益を上げています。

したがって、収益を獲得するのに貢献した金額を計算し、その金額を費用として計上することにより、適正な期間損益計算を行うことが可能となります。

したがって、貸借対照表に計上される有形固定資産の価額は、これまでに費用計上された部分を除いた残高となります。

正規の減価償却

償却は、一定の方法によって規則的に行わなければなりません。

つまり、各期の状況によって、自分本位に減価償却の方法を変更することはできません。

このような減価償却を「正規の減価償却」と言います。


有形固定資産は、当期にどの程度使用されたかを把握することは困難なため、棚卸資産のように売上と売上原価を正確に対応させることはできません。

したがって、一定の仮定に基づいて、減価償却によって毎期規則的に償却し、費用の配分を行います。

減価償却の記帳方法

減価償却の記帳方法には、直接法・間接法があります。

減価償却累計額の表示方法

減価償却累計額の表示方法には、次の方法があります。

・科目別間接控除方式

・一括間接控除方式

・直接控除科目別注記方式

・直接控除一括注記方式

減価償却方法

正規の減価償却を行う方法として、定額法・定率法・生産高比例法・級数法があります。

定額法

有形固定資産の耐用期間中、毎期均等額の減価償却費を計上する方法です。

減価償却費=(取得原価ー残高価額)÷耐用年数

または

減価償却費=(取得原価ー残高価額)×定額法償却率

定率法

有形固定資産の耐用期間中、毎期期首未償却残高に一定の償却率を乗じて減価償却費を計上する方法です。

減価償却費=(取得原価ー起首減価償却累計額)×定率法償却率

生産高比例法

毎期その資産による生産または用役の提供度合い(利用量)に比例した減価償却費を計上する方法です。

減価償却費=(取得原価ー残存価額)×当期利用量/総利用可能量


生産高比例ほうを適用できるのは、有形固定資産の総利用可能量を物理的に確定できる資産に限られます。

級数法

有形固定資産の耐用期間中、毎期一定の額を算術級数的に次第に減った減価償却を計上する方法です。

減価償却費=(取得原価ー残高価額)×当期項数(起首残高耐用年数)/総項数


※総項数とは、各機種における残存耐用年数を合計した数のことです。

級数法は定率法と似たような償却パターンとなりますが、定率法よりも徐々に減る度合いが緩やかです。

有形固定資産の減価償却②

減価償却制度の改正

固定資産については、法人税法上、残存価額を0円として減価償却することができます。

ただし、耐用年数到来時には1円だけ残しておく処理を行います。

これは、償却済みの固定資産があることを帳簿に記録しておくためです。

これを備忘価額と言います。

新規定額法

新定額法は、次のように計算します。

耐用年数が到来するまで:残存価額0円として計算、減価償却費=取得原価÷耐用年数

最終年度:減価償却費=起首帳簿価額ー1円


償却率が与えられた場合、新規定額法では以下のように計算します。

毎年の減価償却費:取得原価×定額法償却率

最終年度の減価償却費:起首帳簿価額ー1円

200%定率法

200%定率法とは、定額法の償却率(1÷耐用年数)を2倍(200%)した率を償却率として計算する方法です・

この方法では、起首帳簿価額に償却率をかけて計算するため、帳簿価額は毎年小さくなりますが、0円にはなりません。

そこで、一定の時期に期首帳簿価額を残存多用年数で割る均等償却を行います。


均等償却を行う時期は、償却率で計算した減価償却費が、償却保証額(期首帳簿価額÷残存耐用年数)より小さくなった時です。


新定率法の償却率=1÷耐用年数×2

当初の原価償却費=期首帳簿価額×償却率


【均等焼却への切り替え】

①の減価償却

②焼却保証額(期首帳簿価額÷残存耐用年数)

当初は①が大きいですが、②の方が大きくなった時点で②を償却額とします。

200%定率法で償却率・保証率・改定償却率が与えられる場合

実質的な計算内容は上記とほぼ同じですが、保証率等が与えられている場合は次のように計算します。

①定率償却額=期首帳簿価額×償却率

②焼却保証額=取得原価×保証率

③判定 ①が②より大きい場合→減価償却費=①の額

    ①が②より小さい場合→減価償却費=改定取得価額×改定償却率

※改定率とは、最初に①が②より小さくなった会計期間の期首帳簿価額のことです。

期中売却・除却・廃棄・買換え・滅失

期中売却

固定資産を期中に売却したときは、売却時までの減価償却費を計上し、その貸借差額は特別損益の区分に表示します。

除却・廃棄

除却とは固定資産を業務の用から外すことです。

除却した時は、スクラップとしての価値(処分価値)を見積もり、売却されるまで貯蔵品として計上します。

廃棄とは、業務の用から外し、捨てることです。

この場合には処分価値はなく、廃棄時の費用は固定資産廃棄損に含めて処理します。


除却のイメージとしては、実際に処分するまでに倉庫に保管することです。

買換え

買換え①

固定資産の買換えとは、今まで使用していた固定資産を下取りに出し、新たに固定資産を購入することです。

固定資産の買換えの会計処理は、旧資産の売却と、新資産の処理を分けて考えます。

買換え②

下取価格が時価より高い場合、その差額を紳士さんの割引と考え、新資産の取得原価から控除します。

また、時価と下取りに出した資産の帳簿価額との差額は固定資産売却益(売却損)として処理します。

滅失

滅失とは、火災・地震などの災害で固定資産が失われることです。

この災害・事故などの偶発的事情により、有形固定資産の実態が滅失した場合、臨時的に簿価を切り下げる会計処理を「臨時損失」と言います。

【火災による固定資産の滅失】

滅失資産に保険契約を付していた場合

・滅失時→損失金額はまだ確定できません。固定資産の帳簿価額を災害未決算勘定として処理します。

・保険金確定時→確定金額を未収入金として処理するとともに、火災未決算勘定を取り消し、滅失による損益を火災損失または保険差益として処理します。

・保険金受取時→未収入金を取り消し、現金などを計上します。


【保険契約を付していなかった場合】

滅失と同時に損失金額が確定するため、固定資産の帳簿価額をそのまま火災損失として処理します。

圧縮記録

圧縮記録とは

圧縮記録とは、国からの補助金などにより取得した有形固定資産について、取得原価を減額(圧縮)する会計処理のことです。

この圧縮記録の会計処理には、直接減額方式・積立金方式があります。


仮に、国からの補助金をそのまま受け入れた場合、その金額だけ収益が計上され利益が増加します。

しかし、その金額分だけ法人税も増えるため、国から受け入れた補助金が税金としてまた国へ戻る結果になってしまい、補助金の意味がなくなります。

そこで、圧縮記録を行って当期の利益を減額することが認められています。

直接減額方式

直接減額方式では、国庫補助金などを受け取った時、固定資産を取得した時、及び決算時に会計処理を行います。

国庫補助金などを受け取った時

国庫補助金などを受け取った時は、現金などを計上するとともに、相手科目は国庫補助金収入・工事負担金収入として処理します。

固定資産を取得した時

税金が増えるのを一時的に回避するため、国庫補助金などの金額分だけ固定資産圧縮損として処理するとともに、相手科目として建物などの固定資産感情を減少させます。(直接減額法の場合)


固定資産の取得原価を直接控除せず、貸方を建物圧縮額勘定などの資産の評価勘定で処理する合計処理もあります。(間接減額法)

決算時の処理

圧縮記帳を行なった固定資産の減価償却は、圧縮後の簿価額を取得原価とみなして計算します。

貸借対照表の表示

貸借対照表の表示は、次のいずれかの形式で記載します。

・取得原価から国庫補助金に相当する金額を控除する方法(間接控除方式)

・取得原価から国庫補助金に相当する金額を控除した残高のみを記載し、国庫補助金等の金額を注記する方法(直接控除注記方式)

積立金方式

積立金方式の場合、固定資産の取得原価を減額せず、決算時に国庫補助金の額を圧縮積立金として積み立てます。

そして、その後は減価償却の都度、圧縮積立金のうち減価償却費に対応する金額を取り崩します。

有形固定資産の改良・修繕

改良・修繕とは

改良とは、固定資産自体の価値を高めたり、耐用年数を延長させることです。

この支出を資本的支出と言い、資本的支出は取得原価に算入し、減価償却によって以降の期間に配分します。

一方、修繕とは、固定資産を下の状態にすることです。

この支出を「収益的支出」と言い、支出した期の費用として処理します。

資本的支出・収益的支出

資本的支出・収益的支出の処分

固定資産の改良・修繕を同時に行うことにより耐用年数が延長した場合、支出額のうち、延長後の残存耐用年数に占める延長耐用年数分を資本的支出とし、それ以外を収益的支出とします。

資本的支出=支出した額×(延長耐用年数/延長後の残高耐用年数

決算時の処理

資本的支出部分の減価償却は、既存部bんと合わせて行います。

つまり、既存部分と資本的支出部分の未償却残高を合計し、延長後の残存耐用年数に基づいて減価償却費を計算します。

減価償却費=(既存部分の未焼却残高+資本的支出分の未償却残高)/延長後の残存耐用年数


関連記事→決算書における【 有形固定資産の減価償却について 】分かりやすく解説

耐用年数の変更

技術発展などの要因により、所有している固定資産が旧式化し、機能的に著しく減価が進んでしまうことがあります。

このように、当初(耐用年数設定時)に予測できなかった事情によりk脳的に著しく減価した場合は、耐用年数を短縮して減価償却を行います。


耐用年数など、減価償却計算の基礎となる見積もりを変更することを会計上の見積もりの変更と言います。

会計上の見積もりの変更

会計上の見積もりの変更が行われたときは、定額法・定率法いずれのっ場合でも、要償却額について、変更後の残存耐用年数に基づいて償却を行います。

定額法

耐用年数変更時における要償却額を、変更後の残存耐用年数で割って計算します。

定率法

耐用年数変更時における要償却額(期首帳簿価額)に、変更後の残存耐用年数に基づく償却率をかけて計算します。

会計上の見積もりの変更の時期

会計上の見積もりの変更をする際、その変更が当期首に行われた場合は、当期末の決算から変更後の残存耐用年数で計算します。

一方、その変更が当期末に行われた場合は、次期の決算から変更後の残存耐用年数で計算します。

過去の誤謬(誤り)の訂正

耐用年数の変更であっても、過去の見積もりが謝っていたことによるものである場合には、会計上の見積もりの変更ではなく、「誤謬の訂正」として処理します。

減価償却方法の変更

減価償却方法の変更は会計方針の変更に該当します。

そして、会計方針の変更は、原則として新たな会計方針を過去の期間に遡って適用しなければなりません。(遡及適用)

ただし、会計方針の変更が会計上の見積もりの変更と区別することが困難な場合、会計上の見積もりの変更と同様に扱います。

減価償却方法の変更は、この区分することが困難な場合に該当するため、遡及適用はなく会計上の見積もりの変更として処理します。

定額法から定率法への変更

変更する会計期間の期首帳簿価額に、変更後の残存耐用年数に基づく償却率をかけて減価償却を計算します。

定率法から定額法への変更

変更後における要償却額を、変更後の残存耐用年数で割って減価償却費を計算します。

まとめ

株式投資や経営において、決算書の理解は必須になります。

その際、簿記の知識も含めて理解を深めましょう。


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