決算書における【 会計学の基礎知識 】解説まとめ

スポンサーリンク

今回は、決算書における「会計学の基礎知識」にいて解説をまとめました。

スポンサーリンク

会計とは

企業会計とは

「会計」という言葉は、金銭の出し入れとその内容を記録し、管轄し、結果を宝虚空sる一連の手続きを表します。

会計の対象は家庭・学校・企業など様々ですが、ここでは企業会計を対象とした解説をします。

財務会計・管理会計

企業会計は、財務会計・管理会計の2つに分けられます。


財務会計は、株主・債権者といった企業外部の利害関係者に対して、企業がどのような資産をもち、どのように資産を調達し、そしてどのくらい儲かっているかに関する情報を提供します。


財務会計には、企業の株や債権を買おうと考えている人の意思決定に役立つ情報を提供する情報提供機能と、会社・株主・債権者らの利害を調整する利害調整機能があります。


管理会計は、企業内部の管理者に対して業績の報告・意思決定・予算などによる管理において有用な情報を提供します。

会計公準

会計公準とは、会計を行う上での基礎的前提のことです。

企業実態の公準

企業実態の公準とは、経営者・株主から独立した実態としての「企業」を会計の対象とすることで、会計の対象範囲を明確にするものです。

継続企業の公準

継続企業の公準とは、企業は解散を予定しておらず、永久に活動することを前提としているとみなすことです。

解散という区切りがないため、一定の会計期間を定めて定期的に計算を行う必要があります。

貨幣的評価の公準

貨幣的評価の公準とは、会計は全て貨幣という統一的な単位で測定することです。

企業会計原則

企業会計原則とは

企業会計原則とは、日本の企業会計の基本的なルールを定めたもので、一般原則・損益計算原則・貸借対照表原則の3つから構成されています。

一般原則には、次のものがあります。


【一般原則】

・真実性の原則

・資本取引・損益取引区分の原則

・継続性の原則

・単一性の原則

・正規簿記の原則

・明瞭性の原則

・保守主義の原則


それぞれ下記で説明します。

真実性の原則

一般原則 1

企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。


真実性の原則では、その名の通り真実な報告をしなければならないとしています。

真実性の原則は全ての企業会計の前提となる最高規範とされています。


また、ここでいう真実とは、いつでもどこでも普遍的で変わることのない絶対的な真実ではなく、相対的な真実を意味しています。

正規の簿記の原則

一般原則 2

企業会計は、全ての取引につき、正規の簿記の原則にしたがって、正確な会計帳簿を作成しなければならない。


正規の簿記の原則では、まず正確な会計帳簿を作成し、その帳簿を元に財務諸表を作成するとしています。

この会計帳簿に基づいて財務諸表を作成することを誘導法と言います。


企業会計原則註解には「重要性の原則」というルールがあります。これは、重要性の低い項目には簡便的な会計処理・表示を認めるというものです。

企業会計は企業の外部者に情報を提供することを目的としているため、判断を謝らせない範囲で簡便的な方法によることが認められるのです。

そのため、重要性の原則に基づく簡便的な方法であっても、正規の簿記の原則にしたがった正確なものと認められます。

資本取引・損益取引区分の原則

一般原則 3

資本取引と損益取引とを明瞭に区別し、特に資本剰余金と利益剰余金とを混同してはならない。


資本取引・損益取引区分の原則は、その名の通り資本取引と損益取引の混同を禁止しています。

資本取引とは、株式の発行のように株主資本を直接増減させるために行う株主との直接的な取引であり、損益取引とは、利益を獲得するために行う取引です。


また、資本剰余金とは、株主からの払込のうち資本金としなかったものであり、利益剰余金とは、損益取引によって稼いだ利益のうち、企業内に留保されているものです。


資本取引は株主が元手(資本)としてどれだけ払い込んだかを表すもので、損益取引は元手からどれだけ利益を生み出したかを表すものです。

そのため、両者を混同すると、損益計算書に元手の増減が含まれてしまう、成果がいくらだったのかが分からなくなってしまいます。

そのため、両者の混同が禁止されているのです。

明瞭性の原則

一般原則 4

企業会計は、財務諸表によって、利害関係者にたいし必要な会計事実を明瞭に表示し、企業の状況に関する判断を誤らせないようにしなければならない。

明瞭性の原則は、企業が公表する財務諸表は明瞭で分かりやすい表示にするよう求めています。


明瞭性には、財務諸表をいくつかの区分に分けて表示することなどの「表示に関する明瞭性(形式的明瞭性)」と、財務諸表に記載された金額がどのような会計処理に基づいているかを注記により示すことなどの「内容に関する明瞭性(実質的明瞭性)」があります。

この実質的明瞭性に基づき、重要な会計方針の注記や、重要な後発事象の注記が行われます。

重要な会計の方針の注記

会計ほうしんとは、企業が採用している会計処理の原則及び手続きのことです。

例えば、減価償却を定額法で行うというのも会計方針です。

会計方針のうち需要なものは財務諸表に注記します。

重要な後発事象の注意

後発事象とは、決算日公財務諸表作成日前に生じた事象であって、次期以降の財務状態または経営成績に影響を与えるものです。

後発事象も、重要なものは財務諸表に注記します。


一般的に、決算日から財務諸表作成が完了する日(財務諸表作成日)までは数週間程度の間があります。

後発事象は、この期間に生じた事象を対象としています。

継続性の原則

一般原則 5

企業会計は、その処理の原則及び手続きを毎期継続して適用し、みだりにこれを変更してはならない。


継続性の原則は、一旦採用した会計処理の原則及び手続きは無闇に変更しないことを求めています。

継続性の原則が求められる1つ目の理由は、会計方針の変更による利益操作を防ぐためです。

2つ目の理由は、限度ごとに会計方針が異なると財務諸表の機関比較可能性を損なうためです。

ただし、正当な理由がある場合は変更が容認されます。

この時正当な理由として適用対象となるのは、認められた方法から他の認められた方法への変更のみであって、認められない方法への変更は継続性以前の問題であり認められません。


【正当な理由に基づく変更】

変更前変更後継続性の原則
認められた方法→認められた方法適用対象
認められない方法→認められた方法当然の変更
認められた方法→認められない方法そもそも認められない
認められない方法→認められない方法そもそも認められない

保守主義の原則

一般原則 6

企業の財政に不利な影響を及ぼす可能性がある場合には、これに備えて適当に健全な会計処理をしなければならない。


保守主義の原則では、企業に慎重な会計処理を求めています。

つまり、複数の会計処理が考えられる場合、より収益を小さく・遅く、費用を大きく・早く計上することにより、不確実な利益をできるだけ計上しないようにすべきとしています。


例えば、利益が大きく計上されると、税金・配当によって現金が想定していたよりも多く流出してしまいます。

そのため、できるだけ利益が小さくなるような会計処理を行なった方が、支出を抑えることになり、会社の財政が健全になります。


保守主義の原則は、あくまで複数の認められた会計処理の中で最も保守的なものを行うべきというものであって、経済的実態から離れて不必要に利益を小さくする過度の保守主義は、真実性の原則に反するため認められません。


保守的に処理すると・・・

収益(少なめ)ー費用(多め)=利益(流出が少ない)


保守的に処理しないと・・・

収益(多め)ー費用(少なめ)=利益(流出が多い)

単一性の原則

一般原則 7

株主総会提出のため、信用目的のため、租税目的のため等種々の目的のために異なる形式の財務諸表を作成する必要がある場合、それらの内容は、信頼しうる会計記録に基づいて作成されたものであって、政策の考慮のために事実の真実な表示をゆがめてはならない。


単一性の原則は、目的によって複数の形式の財務諸表を作ることがあったとしても、その元となる会計帳簿は単一のものでなければならないとしています。

例えば、税金の支払いのために別の帳簿をつけるような行為は、単一性の原則により禁止されています。

損益計算書原則

損益計算書原則には次のものがあります。

・費用収益対応の原則

・発生主義の原則

・総額主義の原則

・終始額基準

・実現主義の原則


詳細→決算書における【 損益計算書の基礎 】解説まとめ

費用収益対応の原則

損益計算書原則 1

損益計算書は、企業の経営成績を明らかにするため、一会計期間に属する全ての収益とこれに対応する全ての費用とを記載して経常利益を表示し、これに特別損益に属する項目を加減して当期純利益を表示しなければならない。


損益計算書を作成する目的は、当期の収益から費用を差し引いて、企業の経営成績を明らかにすることです。

このように、まず収益を集計し、それに費やした費用を対応させて利益を計算することを費用収益対応の原則と言います。

この費用と収益の対応には、特定の製品・商品を通して対応させる個別的対応と、発生した期間で対応させる期間的対応の2つがあります。

収支額基準

損益計算書原則 1A

全ての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない。


収益及び費用の金額を計上するための基礎を、現金の収支額に基づいて行うことを収支額基準と言います。

このっ場合の収支額基準は、あくまで金額決定の基礎を現金の収支に求めるもののため、一定期間における現金の収支と損益は必ずしも一致しません。

この場合の発生主義会計における収支額には、現在の収支額だけでなく、過去・未来の収支額も含まれます。


発生主義会計における収支額基準について、掛け売りを例にすると、売上を認識する時点では現金は受け取っていないが売り上げは将来の現金受取額で計上するということです。

発生主義の原則

損益計算書原則 1A

全ての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない。


経済的価値の増減に基づいて収益及び費用を認識する基準を発生主義と言います。

現在の会計では、費用の認識において発生主義がとられています。


例えば、使用していたパソコンが古くなった(価値が減った)等です。


収支額基準は収益及び費用の「測定」基準、発生主義は費用の「認識」基準です。

測定とは、認識されたとr引をいくらで財務諸表に計上するかという金額の決定を言います。

認識とは、ある取引をいつ財務諸表に計上するかのタイミングの決定を言います。

実現主義の原則

損益計算書原則 1A

全ての費用及び収益は、その支出及び収入に基づいて計上し、その発生した期間に正しく割り当てられるように処理しなければならない。

ただし、未実現収益は、原則として、当期の損益計算に計上してはならない。


収益は、企業外部の第三者に対して財貨またはサービスを提供し、その対価として現金または現金等価物を受け取った時点で認識します。

この基準を実現主義と言います。

実現主義は、企業外部との取引に基づいているため客観性があり、財の提供と対価の受け取りが済んでいるため確実性もあります。

したがって、発生主義で認識される費用とは異なり、収益は原則として実現主義によって認識されます。

これに対して、実現していない収益を未実現収益と言い、未実現収益は当期の損益計算から除外します。

【現実主義】

・企業外部の第三者に対する財貨またはサービスの提供

・現金または現金等価物の受領

上記2用件を満たした時点で収益を認識します。


収益の認識基準は原則として実現主義ですが、客観性・確実性が認められる場合には、例外的に発生主義・現金主義による収益認識が行われる場合もあります。

例えば、工事契約などの工事進行基準などが実現主義の例外となります。

総額主義の原則

損益計算書原則 1B

費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部または一部を損益計算書から除去してはならない。


総額主義とは、原則として収益および費用を総額によって表示することです。

収益と費用を相殺した純額によって表示した場合、それぞれの活動の規模が分からなくなってしまい、投資家に適切な情報が伝わらなくなるため、総額で表示することが求められています。


具体的には、売上と売上原価の相殺や、受取利息と支払利息の相殺の禁止などがあります。


売買目的有価証券の運用損益のように、収益と費用が同じ活動から発生するために例外的に純額法事が行われる場合もあります。

貸借対照表原則

貸借対照表原則には、次のものがあります。

・貸借対照表完全性の原則

・区分表示の原則

・費用配分の原則

・総額主義の原則

・取得原価主義の原則

貸借対照表完全性の原則

貸借対照表 1

貸借対照表は、企業の財政状態を明らかにするため、貸借対照表日における全ての資産・負債及び純資産(資本)を記載し、株主・債権者その他の利害関係者にこれを正しく表示するものでなければならない。

ただし、正規の簿記の原則にしたがって処理された場合に生じた簿外資産及び簿外負債は、貸借対照表の記載外におくことができる。


企業会計原則は、貸借対照表に全ての資産・負債・純資産(資本)を漏れなく記載することを求めています。

ただし、例外として、正規の簿記の原則に基づいて、重要性のh杭しさn・負債を計上しないことは認められています。

総額主義の原則

貸借対照表原則 1B

資産・負債及び純資産(資本)は、総額によって記載することを原則とし、資産の項目と負債または純資産(資本)の項目とを相殺することによって、その全部又は一部を貸借対照表から除去してはならない。


損益計算書原則と同様に、貸借対照表原則においても総額主義の原則が求められています。


総額主義の例外として、例えば、デリバティブに関する正味の債権・債務については純額表示します。

区分表示の原則

貸借対照表原則 2

貸借対照表は、資産の部、負債の部及び純資産(資本)の部の3区分に分ち、更に資産の部を流動資産、固定資産及び繰延資産に、負債の部を流動負債及び固定負債に区分しなければならない。

貸借対照表原則 3

資産及び負債の項目の配列は、原則として、流動性配列法によるものとする。


貸借対照表原則では、資産・負債・純資産(資本)の3つの部を設け、それぞれに流動・固定分類等の一定の分類をすることを求めています。

また、貸借対照表の表示は、流動性の高い(現金かしやすい)ものから順に表示する流動性配列法を原則としています。


鉄道会社や電力会社のように固定資産が多く、その重要性が高い企業では、例外的に流動性の低いものから順に表示する固定性配列法を採用することがあります。

取得原価主義の原則

貸借対照表原則 5

貸借対照表に記載する資産の価額は、原則として、当該資産の取得原価を基礎として計上しなければならない。


企業会計原則では、原則として、資産を取得した時の価額に基づいて測定することを求めています。

これを取得原価主義と言います。

費用配分の原則

貸借対照表原則 5

資産の取得原価は、資産の種類に応じた費用配分の原則によって、各事業年度に配分しなければならない。


費用配分の原則とは、計上した資産の金額を、その資産を使用した期間に基づいて費用として配分することを定めたものです。


棚卸資産であれば、取得原価は売却されるまでは資産(商品)として計上され、売却されれば売上原価として費用に配分されます。

また、固定資産であれば、使用した期間に応じて減価償却することで、取得原価を費用に配分します。

まとめ

株式投資や経営においても、決算の読み解きは必須になります。

そのため簿記の知識も活かしてより決算書を深く理解しましょう。


楽天証券 | ネット証券(株・FX・投資信託・確定拠出年金・NISA)
投資信託や確定拠出年金、NISAなら初心者に選ばれる楽天グループの楽天証券。SPUに仲間入りし、ポイント投資で楽天市場のお買い物のポイントが+1倍!取引や残高に応じて楽天ポイントが貯まる、使える楽天証券でおトクに資産形成を始めよう!
株式
スポンサーリンク
\Share/
\Follow/
スポンサーリンク
\Follow me/
\Follow/
Miories
タイトルとURLをコピーしました