今回は、マーケティングにおける「認知的処理の段階」について解説します。
消費者は、購買に動機付けられているかどうかに関わらず、購買や消費に関する多くの情報に常に晒されています。
このような消費者を取り巻く外部環境情報を消費者が購買に至るまでにどのように処理するかという過程を説明します。
マーケティング戦略を含む様々な情報に接触した消費者は、記憶機能を基盤として、情報統合・知識・意味・信念・情報統合の過程を経てから購買に至ると考えられています。
選択的注意の獲得
消費者は、日常・視覚情報・聴覚情報をはじめ、常に多くの情報に晒されています。
脳は、多くの情報を平等に処理しているわけではありません。
人間の脳は、短期記憶で一時的(15〜30秒程度の間)に処理できる情報量には限界があります。
多くの消費情報があると、消費者が動機づけられた情報・関心を持っている情報・役立つ情報に注意が向けられます。
カクテルパーティ効果とは、パーティの喧騒の中でも特定の会話を聞き取ることができるというものです。
これを、選択的注意と言います。
選択的注意には、強度・方向性があり、消費者の動機や関心よって異なります。
マーケティング活動によって消費者に向けて露出される情報は、広告・パッケージ・店頭などのいずれにおいても、選択的注意が向けられる対象となれるかということが最重要になります。
つまり、広告表現・媒体・パッケージの工夫・店頭プロモーションの工夫などで消費者の注意を引くことが認知処理における最初の段階で必要となります。
接触頻度(露出回数)の効果・単純接触の効果
特定の広告に接触の効果が現れるとしたら、南海ほどの接触が必要になるでしょうか?
グラッグマン氏は、ブランド認知・購入意欲などに効果をもたらすには3回の接触機会が必要であると結論づけました。
例えば、テレビCMに1〜2回接触しても消費者に記憶させるには十分ではなく、一定以上の接触頻度が必要になります。
一方、接触頻度が多ければ多いほど良いというわけでもありません。
それ以上の接触も効果が増加しないと考えられる到達回数を「有効到達回数」と言います。
接触を繰り返すことにより、接触対象に対して好意を持つようになるという結果もあります。
最初は好きでも嫌いでもない中世的な刺激(無意味繋がり・無意味図形・未知の人の顔写真)を対象として、記憶に関する実験と称して刺激を繰り返すという実験を行いました。
その結果、単純接触の効果(中世的な刺激であっても、接触頻度が多くなるにつれて好意度が上昇するという結果)になったのです。
したがって、マーケティング戦略上の一定回数以上の露出が必要であり、少ない露出よりも多い露出の方がその後の意思決定に影響を与えるということが分かりました。
これは、広告だけでなく、店頭に置いてある商品にも共通しています。
また、マーケティング以外で日常的に接触する商品の使用場面なども単純接触により好意度が上昇する傾向があります。
まとめ
単純接触の効果で、頻度が多ければ多いほど好意度が上昇するという内容でした。
有効到達回数により、一定回数以上だと効果に変わりはないという結果と、接触頻度が増加するにつれて好意度が上昇するという結果が出ていますね。
両方の結果が出ているため、接触頻度の多さにより効果があることは間違い無いですが、その効果のある回数というのは上限がある場合とない場合があるということですね。
これは恋愛にも利用されていますね。
誰でも聞いたことがあると思われます。
購買を、人間の心理に辿っていくとこうなるよという逆算でした。
人間の心理というものは面白いですね。
前記事→マーケティングにおける【 欲求喚起・問題認識の段階 】人間の欲求について理解しよう
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