決算書における【 引当金について 】深い解説まとめ

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今回は、決算書における「引当金」についての解説をまとめます。

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引当金

引当金とは

引当金とは、将来の費用または損失のうち、当期に帰属する金額を費用または損失として見積り計上する場合の貸方科目のことです。

引当金の計上目的

引当金の計上目的にいは、損益計算書目的、貸借対照表目的、保守主義による会計処理の3つがあります。

・損益計算書目的:適切な期間損益計算を行うため

・貸借対照表目的:適正な財政状態を示すため

・保守主義による会計処理:将来の特定の費用または損失に備えて、慎重な会計処理を行うため


関連記事→決算書における【 期首貸倒引当金の修正 】分かりやすく解説

引当金の計上要件

引当金は次の4つの要件を全て満たした時に計上することができます。

・将来の特定の費用または損失であること

・その発生が当期以前の事象に起因していること

・発生の可能性が高いこと

・その金額を合理的に見積ることができること


この4つの要件を全て満たさないと引当金を計上することはできません。


例えば、数年後に予定されている記念事業のためには、引当金を設定することができません。

なぜなら、この事例は、将来の費用であり、発生の可能性が高く、金額を合理的に見積ることができますが、当期以前の事象に起因しない(将来の事象に起因する)からです。

また、発生の可能性が低い偶発事象にも設定できないため注意しましょう。

引当金の表示上の分類

引当金には、負債の部に表示する「負債性引当金」と資産のマイナス項目である「評価性引当金」があります。


【引当金の表示上の分類】

○負債性引当金(B/Sの負債の部に表示)

・製品保証引当金

・売上割戻引当金

・返品調整引当金

・賞与引当金

・工事補償引当金

・退職給付引当金

・修繕引当金

・特別修繕引当金

・役割賞与引当金

など

○評価性引当金(B/Sの資産のマイナス項目として表示)

貸倒引当金


負債性引当金は、1年基準により流動負債と固定負債に分類します。

また、評価性引当金(貸倒引当金)は、設定の対象となった債権の区分ごとに流動資産または固定資産のマイナス項目として表示します。

負債性引当金の会計処理

負債性引当金の内容 ・P/L表示

主な負債性引当金の内容と、各引当金の繰入額の表示区分は次の通りです。

名称内容損益計算書の表示
売上割戻引当金得意先に対して、一定期間に所定の売上を達成した時にリベート(売上割戻)を与える契約をしちえる場合の、将来の割戻に備えて設定する引当金売上高から控除
(または、販売費及び一般管理費)
返品調整引当金販売した商品について取引先と返品契約を結んでいる場合に、将来の返品に備えて設定する引当金売上総利益から控除
(または、販売費及び一般管理費)
製品保証引当金一定期間内に退いて無償で製品の修理を保証した場合に、その支出に備えて設定される引当金販売費および一般管理費
工事補償引当金一定期間内において無償で補修行うことを契約した場合に、その費用に備えて設定する引当金販売費および一般管理費
賞与引当金賞与支給規程などによって支払われる従業員賞与に対して設定する引当金販売費及び一般管理費
退職給付引当金従業員の退職時または退職後に退職給付を支払う場合に備えて設定する引当金販売費及び一般管理費
修繕引当金毎年行われるはずの修繕が何らかの理由で行われなかった場合に、将来に行う修繕費用に備えて設定する引当金販売費及び一般管理費
特別修繕引当金数年ごとに行われる特別の大修繕に備えて設定する引当金販売費及び一般管理費
役員賞与引当金会社の役員の職務執行の対価として支払われる役員賞与に対して設定する引当金販売費及び一般管理費
債務保証損失引当金他人の債務保証を行なっている場合で、債務者に代わりを弁済する危険性が高くなった場合に、それに備えて設定する引当金特別損失
損害補償損失引当金営業活動に起因して損害補償の請求を受けている場合で、そのぎむを追わなければならない可能性が高くなった場合に、その補償金に備えて設定する引当金特別損失

※販売及び一般管理費において、製造に関するものは、「製造原価」に算入します。

引当金の会計処理

返品調整引当金

返品調整引当金とは、当期に販売した商品について取引先と返品契約を結んでいる場合に、将来の返品に備えて設定する引当金です。


商品自体は戻ってくるため、返品額と返品された商品の原価との差額、つまり利益部分に対して引当金を設定します。

決算時

決算時は、見積られた引当金の金額だけ返品調整引当金を設定して返品調整引当金繰入を計上します。

売上戻り時

前期に販売した商品が返品された場合は、現品された商品のうち、原価部分は仕入勘定として処理し、利益部分は返品調整引当金を設定している場合には返品調整引当金を取り崩します。

一方、当期に販売した商品についての売上戻りは、売上の取り消しなしのため、当期の売上勘定から直接控除します。

賞与引当金

賞与引当金とは、当期に雇用している従業員について、賞与支給規程などによって支払われる従業員賞与に対して設定する引当金です。

決算時

次期に支給予定の従業員の賞与のうち、当期発生分は当期に帰属する費用のため、賞与引当金を設定して賞与引当金繰入を計上します。

賞与支給時

前期発生分は賞与引当金を設定しているため、その引当金を取り崩します。

また、当期発生分は当期に帰属する費用のため、賞与勘定で処理します。

役員賞与引当金

役員賞与引当金とは、会社の役員の職務執行の対価として支払われる役員賞与に対して設定する引当金です。

役員賞与引当金は、通常その金額が期末後の株主総会の決議により確定するため、決算時にその見込額を役員賞与引当金繰入として計上します。

まとめ

株式投資においては、決算書を読み解く必要があります。

その際、簿記の知識もあると更に理解が深まります。


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