今回は、「ブランドビルティングブロック」について解説します。
ブランドビルディングブロックとは
ブランドビルディングブロックとは、ブランド構築の枠組みの1つです。
ケラー氏が提唱しました。
※ブランドとは→ 【 ブランドとは 】起源・背景から解説
強固な建築物を造るには、まず基礎となる土台を固め、部材を1つ1つ積み上げていくことが肝要です。
同様に、強いブランドを構築する上でも、土台を固め積み上げていく手順・手続きと部材に担当する高生物が必要となります。
つまり、ブランドビルディングブロックは、望ましいブランド知識構造を形成していく上での設計図のようなものです。
ブランドビルディングの4段階
ブランドビルディングは、次のような4段階からなっています。
全部で6つのブロックを積み上げることでピラミッドを完成させるイメージです。
①アイデンティティ(消費者によるブランドの識別・同定)
②ミーニング(ブランドについての意味の了解)
③レスポンス(適切で望ましい反応)
④リレーションシップ(消費者とブランドの関係性の構築)
それぞれ説明していきます。
①アイデンティティ(消費者によるブランドの識別・同定)
ブランド構築の第一段階は、広いブランド認知の確立です。
ブランドのセイリエンス(顕著性・突出性)を高め、それが製品カテゴリーに含まれる選択肢であることを、消費者に識別・同定してもらう必要があります。
そのためには、製品カテゴリーや購買状況・消費状況とブランド要素を強固に結びつけます。
関連するニーズが生じたときに、ブランドが想起される確率を高めておく必要があります。
また、幅広い購買状況や使用状況において、ブランドがトップオブマインド(第1位再生)で想起されることが望ましいです。
②ミーニング(ブランドについての意味の了解)
第二段階は、様々な内容のブランド連想を戦略的に結びつけ、ブランドに関する意味(ミーニング)の相対を作り上げることです。
このようなブランド連想は、消費者自身がブランドに接した経験から直接的に形成されたり、広告や口コミなどの情報源を通じて間接的に形成されます。
そのため、コンタクト・ポイントの設計と管理が重要となります。
また、このミーニングの段階から、ブランド構築のステップは、認知的なルート・情動的なルートの2つに分岐します。
認知的ルート | ・機能的なパフォーマンス(性能) ・製品の特性や属性に基づく信頼性・耐久性・サービスの良さ |
情動的ルート | ・抽象的なイメージ ・使用者イメージ・購買・使用状況のイメージ |
③レスポンス(適切で望ましい反応)
第三段階では、第二段階で形成されたブランド連想の内容を踏まえて、そこから消費者の適切で望ましい反応(レスポンス)を引き出すことです。
ブランドレスポンスとは、ブランドの意味内容をベースに消費者が何かを思い、感じることができるかということです。
ここでも2つのルートが存在しています。
ブランドに対する消費者の個人的評価としてのジャッジメント(評価・判断) | ・論理的・理性的な反応(品質・信用・考慮・優位性) |
ブランドに対する消費者の感情的反応としてのフィーリング | ・情動的・感情的な反応(あたたかさ・面白さ・興奮・安心感・社会的承認・自尊心) |
④リレーションシップ(消費者とブランドの関係性の構築)
第四段階のレゾナンス(共鳴・調和)とは、消費者とブランドの間の関係性(ブランド・リレーションシップ)の質を反映した概念です。
消費者がブランドと共鳴し合う状態のことです。
認知と感情という2つのルートを経由して形成されたミーニング(意味)やレスポンス(反応)が統合され、全体として調和の取れたブランド認識構造のことです。
ブランドリレーションシップは、次の側面によって捉えられます。
・ブランドへの行動的なロイヤリティや態度面でのアタッチメント(愛着)
・コミュニティ意識
・エンゲージメント(ブランドへの時間やエネルギーの積極的投入)
また多くの場合、行動上のロイヤリティが出発点となります。
そこに態度面での愛着やコミュニティ意識が加わることで、積極的なエンゲージメントが生まれることになります。
まとめ
ブランドビルディングブロックの枠組みからすると、強いブランドを構築するためには、深くて広いブランド認知を確立することが重要になります。
ブランド連想からポジティブなレスポンスを引き出し、強固なブランドリレーションシップを築く流れです。
また、このような設計図に基づき、望ましいブランド知識構造を構築していくためには、マーケティングコミュニケーションとコンタクトポイントの設計と管理がまず必要になります。
また、ブランドリレーションシップ(関係性)を構築・維持するための継続的なマーケティングプログラムが必要となります。
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