今回は、「マーケティング戦略と消費者行動」について解説します。
マーケティング戦略からみた消費者
現在のような低経済成長下で、消費者のニーズは多様化し、またデジタルメディアの進展に伴い消費者行動は目まぐるしく変化しています。
このような市場環境に対応して、企業のマーケティングは様々な創意工夫が求められています。
コトラー氏とケラー氏は、マーケティング戦略について次のように述べています。
全てのマーケティング戦略はSTP、すなわち、市場細分化(Segmentation)・標的化(Targeting)・ポジショニング(Positioning)を基本としています。
〜STP〜
・市場細分化(Segmentation)
・標的化(Targeting)
・ポジショニング(Positioning)
企業は様々なニーズや集団を見つけ、自社が優れた方法で満足させられるニーズや集団を標準化し、さらに標的市場が自社特有の提供物やイメージを認識するように、企業は自らの提供物をポジショニングします。
ポジショニングが下手だと、市場は混乱するとしています。
STPによるマーケティング戦略の考え方は、自社の製品やブランドを競合市場の中で有利なようにポジショニングし、他社ブランドを総合市場の中で有利になるようにポジショニングし、他社ブランドと差別化することによって、マーケティング計画を有利に展開しようとするものです。
そのために、類似した特性・ニーズ・行動によって消費者をセグメント化することになります。
消費者をセグメント化するには消費者を分類するための軸が必要になります。
市場細分化のための分類軸(変数)
市場細分化のための分類軸(変数)には下記があります。
・デモグラフィック特性(性別・年齢・家族構成・住居形態など)
・社会経済的特性(職業・年収・学歴など)
・心理的特性(パーソナリティ・サイコグラフィックス・ライフスタイルなど)
・行動的特徴(購買経験・使用料・ロイヤリティなど)
分類軸は単独の変数が用いられることもあれば、複数の変数を組み合わせてセグメント化に用いられることがあります。
消費者は十人十色であり、それぞれが個性を持っています。
更に、今日の消費者は一人十色と言われるように、同じ人間であっても場面や状況が異なれば違った側面や行動が見られます。
情報化の進展とともに、消費者個人や場面に応じて違った商品を提供することが珍しくなくなりました。
それに対し池尾氏は、顧客ニーズに対する過度の適応は、費用の上昇を招くため、市場細分化にあたっては、いかなる基準で細分化を行うかとともに、市場において幾つかのセグメントを設定し、そのうちの幾つを標的とするかが重要な検討課題となると指摘しています。
市場細分化によって標的市場となるセグメントが設定され、当該製品やブランドポジショニングを的確に確定できれば、他社製品やブランドとの差別化を図ることになります。
マーケティング要素の4P
STPは企業間競争におけるマーケティング戦略を構築するための基本的な方法です。
STPが決定された後は、マーケティング要素である製品・価格・流通・販売促進(4P)を適切に組み合わせることによって、マーケティング計画を遂行することになります。
〜マーケティング要素の4P〜
・製品
・価格
・流通
・販売促進
このような企業から消費者への働きかけ(刺激)によって消費者がどのような反応を示すかがマーケティング戦略と消費者心理(構成概念)との接点になります。
まとめ・投資に応用すると
マーケティングにおいては差別化が最も重要ということです。
差別化をするために、消費者の細分化が大切になります。
市場の需要を把握できているか・ターゲット層が明確か、細部まで分析できている企業はブランディングしやすいということです。
そのため私たちが投資する企業や仮想通貨プロジェクトでも、ブランディングまで確立できているかということを見極めましょう。
バフェットさん(詳細→本の学びを共有【 バフェットからの手紙 】経営視点から考えられている投資の本)もよく、外壁のある城のようにブランド力がある投資先を好んでいます。
市場細分化から始まり、標準化し、ブランディングまで築ける企業やプロジェクトは相当稀だからです。
そして、自分自身が商品の場合でも(SNSなど)自身をブランディングさせることは大切ですね。
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