今回は、決算書における「割賦販売」について解説します。
割賦販売とは
割賦販売とは、割賦販売契約に基づいて商品を引き渡し、販売代金は後で分割で回収する販売形態のことです。
割賦販売の流れ
割賦販売の流れは次の通りです。
①顧客に商品を引き渡します。
②販売代金を分割して回収します。
詳細→決算書における【 割賦販売の会計処理(利息を区分する方法) 】分かりやすく解説
売上収益の認識基準
割賦販売の売上収益の認識基準には、販売基準・回収基準・回収期限到来基準の3つがあります。
【割賦販売における売上収益の認識基準】
〈原則〉
・販売基準:商品などを引き渡したときに売上収益を認識します。
〈容認〉
・回収基準:割賦代金を回収したときに売上収益を認識します。
・回収期限到来基準:割賦代金の回収期限が到来したときに売上収益を認識します。
ここからは、主要な販売基準の処理について説明します。
販売基準の処理
商品を引き渡したとき
販売基準において、商品を顧客に引き渡したときは、売価を持って割賦売上勘定として処理します。
また、代金は後日、分割で受け取るため、割賦売掛金勘定として処理します。
割賦販売では10回払いや20回払いなどの売掛金の回収期間が長くなるため、通常の売掛金とは区別して割賦売掛金として処理します。
代金を回収したとき
代金を回収したときは、回収した分だけ割賦売掛金を減少させます。
戻り商品とは
割賦販売後に、割賦代金が回収不能(貸倒れ)になった場合、割賦販売契約に基づき販売した商品を取り戻すことができます。
この場合の取り戻した商品を戻り商品と言います。
会計処理
回収不能になったとき
【当期引渡分が回収不能になったとき】
回収不能分の割賦売掛金を減額し、取り戻した商品に評価額がある場合には、戻り商品勘定で処理します。
また、貸借差額を戻り商品損失として処理します。
前期以前引渡分が回収不能になったとき(貸倒引当金が設定されている場合)
割賦販売の売掛金に貸倒引当金が設定されている場合は、貸倒引当金を取り崩した後の貸借差額を戻り商品損失として処理します。
決算時
決算時において、戻り商品はその評価額を新たな仕入と考え、戻り商品勘定から仕入勘定に振り替えます。
また、戻り商品が期中に販売されずに決算時に残っていた場合、上記の仕訳に加えて、仕入勘定から繰越商品勘定へ振り替えます。
戻り商品が決算時に未販売の場合には、戻り商品の評価額を期末商品棚卸高に含めることに注意しましょう。
まとめ
株式投資・経営において、決算書の理解は必須になります。
その際、簿記の知識も生かして決算書の理解を深めましょう。
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