今回は、決算書における「材料費の計算」について詳細にまとめました。
材料費の計算
材料費は、消費した材料の単価(消費単価)に計算した数量(消費数量)をかけて計算します。
計算式にまとめると下の通りです。
材料費 = 消費単価 × 消費数量
材料費とは→決算書における【 材料費とは 】処理まで分かりやすく解説
消費単価の決定
材料費を計算する際の消費単価は、材料の実際購入原価に基づいて決定します。
購入単価は、仕入れ先の違い・仕入時期によって異なります。
材料の消費単価の決定方法には、「仕入先出法」「平均法」があります。
それぞれについて解説します。
仕入先出法
仕入先出法は、先に受け入れた材料から先に支払い出したと仮定して、材料の消費単価を決定する方法です。
平均法
平均法には、「移動平均法」「総平均法」があります。
よく用いられる計算方法は、総平均法
総平均法は、一定期間における平均単価を計算し、この平均単価を消費単価とする方法です。
平均単価を求める計算式を示すと次の通りになります。
平均単価 =( 月初有高 + 当月購入高 )÷( 月初在庫数量 + 当月購入数量 )
消費数量の計算
材料費を計算する際の消費数量の計算方法には、「継続記録法」「棚卸計算法」があります。
継続記録法
継続記録法とは、材料の購入・消費の都度、材料元帳などの帳簿に記録し、帳簿に記録された払出数量数量を消費数量とする方法のことです。
継続記録法は、常に在庫数を把握できる、月末に実地棚卸をすることによって棚卸減耗を把握できるというメリットがあります。
しかし消費の都度、帳簿に記録しなければならないため、手間がかかるというデメリットがあります。
棚卸計算法
棚卸計算法とは、材料の消費の際には記録せず、購入数量・月末実地棚卸数量との差によって当月の消費数量を計算する方法です。
棚卸計算法は、材料の消費時に帳簿に記録しないため、手間が省けるというメリットがあります。
しかし月末になるまで消費数量が計算できない、棚卸減耗を把握することができない、というデメリットがあります。
材料の棚卸減耗
棚卸減耗とは
材料の保管・運搬・入出庫の際に数量が減少し、帳簿棚卸数量よりも実地棚卸数量が少ないことがあります。
この場合の材料の減少を「棚卸減耗」と言います。
棚卸減耗によって生じた減少額を、「棚卸減耗費」と言います。
材料の棚卸減耗が生じた時
材料の棚卸減耗が生じた時は、原因を調べ、通常起こり得る範囲の減耗の場合には、棚卸減耗費を「製造原価」として処理します。
世情な範囲の棚卸減耗費は、「間接経費」に分類されるため、具体的には、棚卸減耗費の分だけ材料勘定から「製造間接費勘定」に振り替えることになります。
更に、材料が大量に減耗している場合など、異常な棚卸減耗費については「非原価項目」として処理します。
異常な量や、異常な原因などの棚卸減耗の場合は、棚卸減耗費を、営業外費用・特別損失の項目として処理します。
予定消費単価を用いた場合の処理
予定消費単価とは
上記では実際の購入単価を用いて材料費を計算しましたが、実際の購入単価に代えてあらかじめ決められた消費単価である「予定消費単価」を用いて材料費を計算することもあります。
実際の購入単価を用いると、同じ材料を使って同じ製品を製造したにもかかわらず、仕入先・仕入時期の違いから材料費が異なってしまうことがあります。
また、消費単価を総平均法で計算している場合、一定期間が終了しないと消費単価の計算ができず、材料費の計算が遅れてしまうという欠点があります。
これらの欠点を解消するために、予定消費単価が用いられます。
材料を消費した時
予定消費単価を用いた場合、材料を消費した時は、予定消費単価に実際消費量をかけて材料費を計算します。
計算式にすると次の通りです。
材料費(予定消費額)= 予定消費単価 × 実際消費量
月末の処理
予定消費単価を用いて材料の予定消費額を計算した場合でも、月末に実際単価を用いて材料の実際消費額を計算します。
そして、予定消費額と実際消費額との差額を、材料勘定から「材料消費価格差異勘定」に振り替えます。
具体的には、予定消費額が実際消費額になるように「材料勘定」の金額を調整します。
不利差異・有利差異
材料の実際消費額が予定消費額を超える場合、予定していたよりも多くの材料費が発生したことを意味します。
これは会社にとってよろしくない(不利な差異)ため、「不利差異」と言います。
不利差異の場合、材料消費価格差異勘定の借方に近宅が計上されるため、不利際のことを「借方差異」とも言います。
それに対し、材料の実際消費額が予定消費額よりも少ない場合、予定していたよりも少ない材料費で済んだということです。
これは会社にとって有利になるため、この場合の差異を「有利差異」と言います。
有利差異の場合、材料消費価格差異勘定の貸方に金額が計上されるため、有利差異のことを「貸方差異」とも言います。
差異の判定の仕方
際の種類が不利差異になるか、有利差異になるか、を判定するときには、予定消費額から実際消費額を差し引いて、プラスかマイナスかによって判定するとミスが生じにくくなります。
予定消費額から実際消費額を差し引いた額がマイナスになるときは、予定消費額を超えて実際消費額が発生しているため、不利差異となります。
それに対し、予定消費額から実際消費額を差し引いた額がプラスになるときは、予定消費額よりも実際消費額が少ないため、有利差異となります。
会計年度末の処理
予定消費単価を用いた場合、会計年度末において、月末ごとに計上された材料消費価格差異の残高を「売上原価勘定」に振り替えます。
具体的には、材料消費価格差異が不利差異の場合は「売上原価勘定」の借方に振り替え、材料消費価格差異が有利差異の場合は「売上原価勘定」の貸方に振り替えます。
関連記事→決算における【 売上原価の算定 】分かりやすく解説
まとめ
株式投資では、決算を読み込むために簿記の知識もあると優位になります。
今後も決算を読み解いていきましょう。
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