今回は、購買行動における「ブランドの役割」について解説します。
ブランドの役割
ブランドの3つの基本的機能
ブランドには、3つの基本的機能があると考えられています。
ブランドの3つの基本的機能
①識別(標識)機能
②出所表示・品質保証機能
③意味付け・象徴機能
※ブランドとは→【 ブランドとは 】起源・背景から解説
探索コストの削減
消費者は、購買に伴う様々なリスクを削減すべく関連する情報を探索・収集します。
基本的に、消費者にとってのブランドの識別性は、このような探索コストの削減に寄与します。
つまり、製品のブランド化(製品へのブランド要素の付与)は消費者が購買を行うための前提条件ということです。
探索の手がかりとしてブランドが利用できないような場合には、時探索自体が打ち切られることもあります。
このように、ブランドの識別機能は、売り手である企業と買い手である消費者の両者にとって最も基本的な機能と言えます。
知覚リスクの削減
ブランドの「識別機能」や「品質保証機能」は、特定の購買状況においては消費者の知覚リスクを削減します。
結果的に、探索コストの削減・意思決定の迅速化・選択代案への確信度の増大・使用後の満足度の増大などに寄与します。
例えば、情報探索プロセスにおいて、過去の購買・使用経験や名声・評判から当該ブランドが信頼できると判断した消費者は、追加的な情報収集は行わず、購買するブランドを確定するであろう。
したがって、このような状況においては、既知のブランドであることが消費者にとっての信頼感を生み出します。
その結果として、不確実性の低減や情報処理の単純化につながっています。
例えばHERMES(詳細→【 エルメスの歴史 】ハイブランド界の堂々1位/ブランディング力を学ぶ)などの有名ブランドが選好される傾向あるいは特定のブランドへと購買行動が固定化する傾向の背景には、このようなメカニズムが作用しているのです。
このようにして、ブランドの品質保証機能は、知覚リスクの低減を経由して、当該ブランドに対する消費者のロイヤリティの形成などといったマーケティング上の効果をもたらしているのです。
情報処理コストの削減
ブランドの意味付け・象徴機能は、ブランド化される製品の属性・便益・価値などを消費者に伝達することにより、その情報処理コストの削減にも寄与します。
たとえブランドが識別機能を発揮し、消費者の探索コストを削減するとしても、それが単なる標識に過ぎないのであればあまり意味はありません。
しかし様々なブランド要素と結びつく形で、製品の属性・便益・価値などに関する縮約された情報が消費者に伝達される場合、消費者の情報処理コストは大きく削減されます。
いわゆるブランドイメージとは、このようなブランド要素を核として形成される集約された情報の塊として機能しています。
まとめ
消費者からの信頼を得られたブランドは、消費者に対して「探索しなくて良い」「品質が保証されているから無駄がない」「情報収集しなくて良い」というメリットを提示してくれるということです。
そのため、商品を探索して冒険した割に無駄になったという、全ての無駄を省けるわけです。
しかしそこまでの信頼を築き上げるには時間もかかって大変ですが、その長年という時間が競合に対する参入障壁ともなっているのです。
そのためつくり上げるまでが大変ですが、つくり上げた後は選考されるということです。
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