今回は、「キャリブレーションにおける文化差」について解説します。
キャリブレーションにおける文化差
文化差に関する研究がなされなした。
その結果から、キャリブレーションによる文化差について解説します。
ジュート氏は、穀物・繊維のいずれにあたるかといった一般知識問題を香港・マレーシア・インドネシアを含む南アジア地域・英国で行いました。
結果は、英国は判断された自信の平均値が0.7を上回るのに対し、実際の正解率は62%という自信過剰を示したが、自信過剰は一貫して英国よりもアジアの回答者の方が大きかったというデータがあります。
更に、主要な比較研究では、アジア人は西欧人より感情が大きい傾向が見られます。
ただし、シンガポールでは米国人と同程度という研究もあります。
日本人の自信過剰の程度は、米国人と同程度で中国人よりも弱い、もしくは米国人よりもさらに小さいという結果が報告されています。
サプライズ・インデックス
自信過剰の文化差は、連続確率分布を引き出す課題でも見られることが報告されています。
サプライズ・インデックスで比較すると、同一課題で、米国人の2%のサプライズインデックスが53.8%に対し、中国人では同じ2%のサプライズインデックスが59.8%となりました。
つまり、中国人はこのような極端な値をとるケースが多いことが明らかになっています。
未来予測
日常・職業的に経済指標に関する未来予測をおこなっている北京のエコノミストに中国経済の指標予測を行わせるという研究がありました。
内容的には、彼らは日常は最も良い測定値を1つ出すという予測をおこなっているが、この課題では確率分布の導出を求められました。
その結果、経済予測での値の自信過剰は先行研究での中国人での自信過剰とほぼ同様の高いレベルを示しました。
架空の医療での診断
また応用場面の研究として、架空の医療で医師として架空の2つの疾病のいずれに罹患しているかを判断する場面を、台湾・日本・米国で比較したものがあります。
結果は、台湾で自信過剰が高く、日本人は米国人より小さい傾向が見られました。
無作為標本
イェーツ氏は、自信過剰は、自尊感情の高さや自己高揚と結びついているという見方に基づき、以上の結果が一見「欧米人は自己主張が強く、アジア人は謙虚」というステレオタイプとは一致しないように見える点について考察しています。
イェーツ氏はキャリブレーションの実験研究で使われる一般知識者内は自己評価とあまり関連しないことを理由とし、傍証として友人との比較の中で自己評価を行う課題での研究を挙げています。
この研究では回答者は、自分を含む100人の学生の無作為標本を創造し、他者への影響力など複数の個人特性について順位づけし、その中での自分の位置を創造するように言われています。
結果として、課題のうち自己評価と関連する特性については、米国・インド・台湾は、日本・シンガポールと比較して高い傾向にありました。
しかしあまり関連がないものはどの文化でも全般に自信不足で差がありませんでした。
このことから、イェーツ氏は、文化差は自己評価と関連する課題には影響するが、そうでない課題では少なく、このことを一般知識問題で異なる傾向が見られた理由としています。
また、アジアの回答者では、100%正しいという回答が最も多い点も注目されています。
例えば、米国・日本では100%正しいという回答割合が22.6%、21.4%であるのに対し、中国では47.7%と非常に高いです。
この絶対に正しいという信念を持つ傾向すなわち確実性幻想(Certainty illusion)も自信過剰の現象関連する可能性が指摘されています。
最近この領域の研究動向を簡単に述べると、近年は自信可能の一般性を精密に検討すると共に、その原因を理論と結びつけて検討する研究が多くなっています。
まとめ
これらの結果をまとめると下記です。
・英国や米国は比較的自信過剰ではない
・アジアは比較的自信過剰の具合が高い
・アジアの中でも、中国が最も自信過剰の具合が高い
・アジアの中でも、台湾も自信過剰の具合が高い
・アジアの中でもシンガポールは、米国と同様自信過剰ではない
・アジアの中でも、日本は米国より低いほど自信過剰が最も低い
投資に応用すると
これらを投資に応用すると、投資対象がアジアで加熱している時は、自信過剰になっている傾向があるということです。
それに対し、英国・米国・日本・シンガポールでその投資対象が加熱していると感じている時は、自信過剰による加熱ではない傾向があるということです。
このように、国によって自信の過剰が異なるため、それを踏まえて冷静に判断していきましょう。
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