今回は、決算書における「引当金」(貸倒引当金・売上債権・営業外債権・修繕引当金・商品保証引当金・退職給付引当金・賞与引当金)について解説します。
貸倒引当金
貸倒れと貸倒引当金
得意先の倒産などを理由に、その得意先に対する売掛金や受取手形が回収できなくなることを貸倒れと言います。
また、貸倒れに備えて、決算において金額した金額を貸倒引当金と言います。
貸倒引当金の設定
貸倒引当金は、決算日における債権(売掛金・受取手形など)について、次期以降に貸倒れが生じると予想される金額を見積もって設定する引当金です。
貸倒引当金の設定額=債権の期末残高×貸倒設定率(貸倒実績率)
一般的な債券については、一括して貸倒引当金を設定します。
一般的な債権というのは、経営状態に重大な問題が生じていないため、普通に回収できるであろう債権のことです。
このような一般的な債券については、まとめて貸倒引当金を設定するということです。
一方、回収可能性に門d内がある債権については、個別に貸倒引当金を設定します。
このとき、相手方(債権者)から担保を受け入れている場合には、債権金額から担保処分見込額を差し引いた残高に貸倒れ設定率をかけて計算します。
貸倒引当金の背定額=(債権の期末残高ー担保処分見込額)×貸倒れ設定率
よろしくない債権者にお金を貸すとき、一般的には担保を処分すれば処分金額を回収することができます。
そのため、債権の期末残高から担保処分見込額を差し引いた残額に対して貸倒れ設定率をかけて貸倒引当金の設定額を計算するのです。
売上債権・営業外債権
債権には、売掛金・受取手形・貸付金などがありますが、売掛金・受取手形のように通常の営業(商品売買など)から生じた債権を売上債権(または営業債権)と言います。一方、貸付金などのように、通常の営業から生じた債権以外のものを営業外債権と言います。
売上債権にかかる貸倒引当金繰入(費用)と、営業外債権にかかる貸倒引当金繰入(費用)は、計算や処理は同じですが、損益計算上の表示位置が異なります。
売上債権とは→【 売上債権とは 】売掛金・受取手形・未収入金まで分かりやすく解説
修繕引当金
修繕引当金とは
企業が所有する建物や機械などについて、毎年定期的に修繕を行なっている場合で、当期に行うはずの修繕を時期に延期することがあります。
この場合、当期に行われるはずの修繕費用を見積もり、修繕引当金繰入(費用)として処理します。
この時の貸方科目が修繕引当金(負債)です。
修繕引当金の処理
決算時
決算において、修繕引当金を設定するときは、修繕引当金繰入(費用)を計上するとともに、貸方科目は修繕引当金(負債)として処理します。
修繕費を支払った時
修繕を行い、修繕費を支払ったときは、設定している修繕引当金(負債)を取り崩します。
また、修繕引当金を超える金額については修繕費(費用)として処理します。
支出学に資本的支出が含まれている時
支出額に資本的支出が含まれているときは、資本的支出については固定資産の取得額に加算します。
商品保証引当金
商品保証引当金とは
商品の販売後、一定期間ないであれば無料で修理を行うという保証をつけることがあります。
この場合、当期に販売した商品の修理を、次期以降に行うということもあります。
当期に販売した商品にかかる費用は当期の費用とするべきです。
そこで、決算において当期に販売した商品に対して次期以降に発生するであろう修理費用を見積もり、商品保証引当金繰入(費用)として処理します。
この時の貸方科目が商品保証引当金(負債)です。
商品保証引当金
決算時
決算において、商品保証引当金を設定するときは、商品保証引当金繰入(費用)を計上するとともに、貸方科目は商品保証引当金(負債)として処理します。
修理を行った時
保証内容に基づいて修理を行い、修理にかかった費用を支払ったときは、設定している商品保証引当金(負債)を取り崩します。
退職給付引当金
退職給付引当金とは、退職金の支給規定のある企業では、従業員の退職時に、退職金が支払われる額のことです。
この退職金は、退職した年度のみの費用でなく、従業員の全労働期間にわたる費用(入社時から退職時までの費用)と考えられます。
そこで、決算において、将来支払う退職金のうち、当期の労働に対する分の金額を見積もり、退職給付費用(費用)として処理します。
この時の貸方科目が退職給付引当金(負債)です。
退職給付引当金の処理
決算時
決算において、退職給付引当金を設定するときは、退職給付費用(費用)を計上するとともに、貸方科目は退職給付引当金(負債)として処理します。
退職金を支払った時
従業員が退職し、退職金を支払ったときは、設定している退職給付引当金(負債)を取り崩します。
賞与引当金
賞与引当金とは
賞与引当金とは、時期に支給される賞与で、当期に発生している分の貸方科目のことです。
賞与は大抵、会計期間と賞与の計算期間がずれているため、当期に発生しているはずの賞与にもかかわらず、決算日においてまだ支給されていない分があります。
このような、次期に支給される賞与ではあるが当期に発生している分には、当期の費用としてみなします。
そこで決算においては、次期に支給される賞与で、当期に発生している分を、賞与引当金繰入(費用)として処理します。
この時の貸方科目は賞与引当金(負債)です。
賞与引当金の処理
決算時
決算において、賞与引当金を設定するときは、賞与引当金繰入(費用)を計上します。
貸方科目は賞与引当金(負債)として処理します。
賞与を支給した時
賞与引当金の設定後、賞与を支給したときは、計上してある賞与引当金(負債)を取り崩します。
また、賞与支給額と取り崩した賞与引当金との差額は、賞与(費用)として処理します。
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まとめ
経営や株式投資において決算書の理解は必須になります。
その際簿記の知識も活かして理解を深めましょう。
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