今回は、「エルスバーグのパラドクス」について解説します。
エルスバーグのパラドクスとは
エルスバーグのパラドクスとして知られている「2色問題」と「3色問題」があります。
それらについてそれぞれ説明していきます。
2色問題
赤色と黒色の玉が入っている2つの壺があります。
その中の2つからランダムに玉を取り出すとします。
赤1に賭けるということは、「壺1から玉を取り出すこと」に決めたということです。
そして、もしあなたが赤玉を取り出したら、賞金を受け取り、黒玉を取り出したらそれより小さい賞金を受け取ることができます。
例えば赤玉を取り出したら賞金は100ドルで、黒玉を取り出したら賞金は0ドル受け取るということです。
その際、次のような情報があります。
壺1には赤玉と黒玉の100個ありますが、その比率は分かりません。
すなわち、赤玉の数は0〜100個までの可能性があります。
壺2には赤玉と黒玉50個ずつあることが保証されています。
①あなたは、赤1と赤2のどちらに賭けますか?
また
②黒1と黒2のどちらに賭けますか?
このような2つの質問をすると、壺1は色玉の割合が分からず曖昧であるため、赤1より赤2に、黒1より黒2に掛けたいと答える人が多くなります。
しかしそうなると、以下の矛盾が生じます。
赤2に賭けたということは、選択者は赤1より赤2の方が起こりやすいとみなしたと考えられます。
つまり、0.5よりも小さい主観的確率を赤1に付与しているということになります。
そして、赤1が0.5よりも小さいのであれば、黒1の確率は0.5より高いということになります。
しかし、選択者は②の質問で、黒1より黒2に賭けたがるため、黒0.5より小さいと考えているはずです。
したがって、赤1と黒1の合計は1よりも小さくなり、確率の合計は1であるという加法性の効率に反することになります。
3色問題
ある壺の中に赤玉が30個と黒玉と黄玉が合わせて60個入っているが、黒玉と黄玉の割合は分かりません。
ランダムに玉を1つ取り出して、それが当たりだった場合100ドルもらえるとします。
赤玉を当たりとする賭け1と、黒玉を当たりとする賭け2では、玉数が分かっている賭けの方が選ばれることでしょう。
では、同じ壺で赤玉か黄玉を引けば当たりである賭け3と、黒玉と黄玉を引けば当たりとなる賭け4とは、どちらが好まれるでしょうか?
今度は、黒と黄が合わせて60個あることが分かっている賭け4が好まれるものと思われます。
しかし、賭け3と賭け4は、賭け1と賭け2に同じ黄玉の数が当たりに加わっただけです。
それにも関わらず、3と4では4の方が好まれるという逆転が生じます。
意思決定に関する規範倫理である主観的期待効用理論では、確率の曖昧性が選択に影響を与えるとは考えられていません。
それにも関わらず、このような曖昧性の忌避が見られることから、主観的期待効用理論が現実の人々の専攻と一致しないことを示す強力な例として、エルスバーグのパラドクスが注目されることになったのです。
投資に応用すると・まとめ
エルスバーグのパラドクスは、曖昧性の忌避に関しての研究ですね。
このことから、人間は必ずしも曖昧性を忌避する訳ではないということが分かります。
お金が関わると、確率が低い方に賭けてしまうことがあるということですね。
これは投資においても当てはまるため、大元の確率を考え、合理的に判断するようにしましょう。
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