今回は、決算書における「繰延税金資産の回収可能性」について解説します。
繰延税金資産の回収可能性とは
繰延税金資産の回収可能性とは、繰延税金資産が将来の税金負担額を減額する好母を有している稼働かということです。
繰延税金資産の回収可能性とは、繰延税金資産が将来の税金負担額を減額する効果を有しているかどうかということです。
繰延税金資産の回収可能性が見込まれない場合
繰延税金資産の回収可能性が見込まれない部分については、将来減算一時差異が生じていても繰延税金資産を計上することはできません。
繰延税金資産は、将来の税金負担額を減額することができる範囲内でしか計上が認められません。
そのため、回収可能性が見込まれない(将来の税金負担額を減額する効果がない)部分については、繰延税金資産を計上することはできません。
回収可能性の判断要件
繰延税金資産の回収可能性については、次の要件で判断します。
回収可能性の判断要件 | 軽減できる税金(イメージ) |
①収益力に基づく課税所得の十分性 | 事業で儲かることにより発生する予定の税金 |
②タックスプランニングの存在 | 土地売却などの計画により発生する予定の税金 |
③将来加算一時差異の十分性 | 税務上の利益が遅れて認識されることにより発生する予定の税金 |
①②③のいずれかの要件を満たせば、将来、課税所得が発生し、税金負担額を減額できる見込みがあると言えます。
繰延税金資産の回収可能性の見直し
繰延税金資産については、将来の回収の見込み(回収可能性)について毎期見直しを行います。
繰延税金資産の修正差異(1)
回収可能性を見直した結果生じた繰延税金資産の修正差額は、見直しを行った年度における損益計算上の法人税等調整額に加減します。
前期に過大な繰延税金資産として控除されていた部分が、業績回復により回収可能と見直されたため、新たに繰延税金資産の計上を行います。
前期に繰延税金資産として計上した部分のうち、回収可能性の見直しの結果、回収が困難と判断された場合には、過大な部分を取り崩します。
繰延税金資産の修正差額(2)
その他有価証券の税効果のように、資産または負債の評価替えにより生じた評価差額が純資産の部に直接計上されている場合は、評価差額に加減します。
純資産の部に直接計上される評価差額に対する繰延税金資産のため、修正差額は法人税等調整額ではなくその他有価証券評価差額金として処理します。
要するに回収可能性が認められないために繰延税金資産として計上できない部分の金額のことです。
税効果会計の注記
税効果会計に関する注記には、繰延税金資産及び繰延税金負債の発生の主な原因を記載します。
更に、減収可能性が認められない繰延税金資産の金額は評価性引当額の欄に記入します。
関連記事→決算書における【 無形固定資産・繰延資産について 】まとめ
まとめ
株式投資や経営においても、決算の読み解きは必須になります。
そのため簿記の知識も活かしてより決算書を深く理解しましょう。
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