決算書における【 持分法について 】解説まとめ

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今回、決算書における「持分法」についての解説をまとめました。

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持分法

持分法とは

持分法とは、投資会社が被投資会社の純資産及び損益のうち、投資会社に帰属する部分の変動に応じて、その投資額を連結決算日ごとに修正する方法です。

つまり、連結は、連結会社の財務諸表を科目ごとに合算して連結財務諸表を作成するのに対して、持分法は、投資勘定(投資有価証券など)の額を修正して、その投資損益を連結財務諸表に反映する方法です。


持分法は連結財務諸表を作成する場合に適用される物です。

したがって、例え重要な影響を与えることができる関連会社が存在しても、連結子会社が存在しなければ、持分法は適用されません。

持分法の適用範囲

非連結子会社と関連会社

連結財務諸表の作成にあたって、非連結子会社及び関連会社に対する投資勘定については、原則として持分法を適用しなければなりません。


【非連結子会社と関連子会社】

○非連結子会社

非連結子会社とは、子会社と判定されたものの、重要性の基準等により連結の範囲から覗かれた子会社のこと

○関連会社

関連会社とは、ある企業が他の企業の財務及び営業または事業の方針決定に重要な影響を与えることができる場合の、子会社以外の他の企業のこと


詳細→決算書における【 按分法適用会社から連結子会社への移行 】分かりやすく解説

影響力基準

投資している企業が関連会社に該当するかどうかの判断は、他の企業の財務及び営業または事業の方針決定に重要な影響を与えることができるかどうかという影響力基準で判断します。

影響力基準により他の企業に重要な影響を与えることができる場合とは、基本的には企業の株主総会議決権の20%以上を保有している場合が該当します。


ただし、他の企業の株主総会議決権の15%以上20%未満を保有している場合で、かつ自社の役員・従業員が他の企業の取締役等に就任している場合なども関連会社と判定されます。


更に、関連会社は非連結子会社であっても、財務及び営業または事業の方針決定に対する影響が一時的と認められる会社、持分法を適用することにより利害関係者の判断を誤らせる恐れのある会社は、持分ほうの適用範囲に含めません。

持分法の会計処理の基本

持分法は、被投資会社の活動の成果を投資会社の連結財務諸表に反映させる方法のため、基本的に投資勘定(被投資会社株式)の増加または減少で処理し、相手科目は持分法による投資損益営業外費用または営業外収益)として処理します。


連結は、財務諸表を合算して連結財務諸表を作成することから「完全連結(全部連結)」と言われます。

一方、持分法は、投資勘定の損減のみを連結財務諸表に反映させることから「一行連結」と言われます。

株式取得時の処理

株式取得時の処理

被投資会社の株式を取得した時点では、まだ被投資会社の純資産または損益の増減はありません。

そのためこの時点では修正仕訳は行いません。

持分法における時価評価

持分法における投資対象の時価評価について、関連会社の場合は、被投資会社の資産・負債のうち、投資会社の持分に応じた部分のみを時価評価します。(部分時価評価法


一方、非連結子会社の場合は、被投資会社の資産・負債の全てを時価評価します。(全時価評価法

投資差額の算定

株式取得時は修正仕訳を行う必要はありませんが、その取得時の投資差額については決算時に償却額を計上しなければなりません。

そのため、取得時に投資差額を算定しておく必要があります。

この投資差額は、投資(株式の取得原価)と資本(被投資会社の時価評価された資本のうち投資会社に帰属する部分)の差額となります。


投資差額はのれんや負ののれんのことです。

しかし持分法では、投資勘定に含めて処理するため、のれん勘定は使用しません。


投資差額が貸方に生じた場合、「負ののれん発生益」として一括して利益に計上します。

ただし、持分法では、持分ほうによる投資損益勘定により処理します。

投資差額の償却

投資差額は、29年以内に定額法などによって償却します。

この時、持分法では、のれん勘定の代わりに投資勘定(被投資会社の株式)を減額させます。

また、のれん償却額の代わりに、持分法による投資損益として処理します。

当期純利益の計上

被投資会社が当期純利益を計上した場合、被投資会社の純資産が増加しますが、この利益の一部は投資会社の投資の成果と言えます。

したがって、被投資会社の当期純利益のうち投資会社の持分である投資勘定を増やすとともに、持分法による投資損益(貸方)を計上します。


被投資会社あが当期純損失を計上した場合も、投資会社の持分に応じた負担額を算定して、投資勘定を減らすとともに持分法による投資損益(借方)を計上します。

受取配当金の修正

被投資会社が配当を行った場合、被投資会社の純資産が減少するため、配当額のうち投資会社の持分を投資勘定で調整します。

また、投資会社が個別財務諸表で計上した受取配当金(営業外収益)を減少させます。


個別財務諸表では、被投資会社に対する投資の成果は受取配当金で処理しています。

したがって、持分法では被投資会社からの受取配当金は消去します。

開始仕訳

連結の場合と同様に、持分法でも前期末までに行った修正仕訳を開始仕訳として行います。

この場合も、前期末までに計上した損益項目(持分法による投資損益など)は利益剰余金当期首残高として処理します。

株式の売却損益の修正

投資会社が保有している被投資会社の株式を売却した場合、個別財務諸表で計上されている株式の売却損益を修正します。


持分法では、取得原価に利益剰余金の増減額と投資差額の償却額を加減した金額を帳簿価額とするため、個別上の帳簿価額と連結上の帳簿価額の差額分を修正します。

未実現損益の消去

ダウンストリーム

持分法でも、連結の場合と同様に、投資会社と被投資会社間で行われた取引の未実現利益を消去する必要があります。

ただし、連結の場合と異なり、投資会社と被投資会社の財務諸表は合算しないため、投資会社の財務諸表項目を修正します。

被投資会社が関連会社の場合

被投資会社が関連会社の場合、未実現利益のうち投資会社の持分に対応する金額を消去します。


投資会社の損益勘定(売上高など)の代わりに持分法による投資損益で処理することも認められています。

被投資会社が非連結子会社の場合

被投資会社が非連結子会社の場合、被投資会社に対する未実現利益の全額を消去します。

アップストリーム

アップストリームの場合、投資会社の財務諸表に日投資会社との取引から生じる損益は計上されていません。

したがって、未実現利益を消去する際は売上高ではなく、持分法による投資損益として処理します。

また、投資会社には、未実現利益が含まれている商品が計上されているため、その未実現利益部分を商品勘定で処理します。


更に、アップストリームの場合、被投資会社が関連会社か非連結子会社にかかわらず、未実現利益のうち投資会社の持分に対応する金額を消去します。


投資会社の資産勘定(資産など)の代わりに投資勘定(A社株式)で処理することも認められています。

翌期の処理

連結の場合と同様、未実現利益を控除した期の翌期においても開始仕訳を行います。

具体的には、前期において未実現利益であったものが当期に実現したと仮定して処理します。


期首の未実現利益に係る仕訳には、実現のさいの損益勘定と利益剰余金当期首残高しか出てきません。

これは、前期末の未実現利益を含む資産勘定(商品、繰延税金資産など)は、全て実現して存在しないと仮定するからです。


未実現利益の消去の処理をまとまると次のようになります。


【未実現利益の消去額】

関連会社非連結子会社
ダウンストリーム未実現利益のうち持分相当額未実現利益の全額
アップストリーム未実現利益のうち持分相当額未実現利益のうち持分相当額

まとめ

株式投資や経営において、決算書の理解は必須になります。

その際、簿記の知識も生かして決算書の理解を深めましょう。


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