今回は、「ジェネプロアモデル」について解説します。
ジェネプロアモデル
ジェネプロアモデルは、創造的認知のモデルとして提案しているフィンク氏らのモデルです。
創造的なアイディアの生成を含む思考のメカニズムのモデルとも考えることができます。
【生成段階】
発明先行構造と呼ばれる心的表象は、私たちが知覚したり行動を企てた時に心の中に生じると考えられています。
外からは見ることができないイメージのようなものです。
【発明先行構造】
創造的発見を促す様々な特性(発明先行特性)を持つ、斬新さ・意味ありげなこと・不調和といった特性が、探索段階で行われる発明先行書構造の意味付けと解釈に大きな影響を与えます。
これらの性質によって最終的なアイディアや作品の出来の良し悪しをある程度予測できると考えられています。
ただし、発明先行性は最終的な想像の産物の評価基準とは必ずしも一致しません。
発明先行構造は、何度も生成されたり修正されたりすることもあります。
その間に特定のテーマや問題に焦点が絞られたり、逆にもっと一般的な可能性を探るために拡張されたりします。
したがって、創造のプロセスはサイクルです。
※詳細→【 発想と脳のメカニズム 】サヴァン症候群・病気・覚醒剤との関連/歴史上の人物を例に説明
一方、記憶している前例に従って問題を解決するというような、特に創造的とされない活動は次の通りです。
想起→メンタルモデル→仮説検証
もしくは、表層的に
想起→言語的結合→仮説検証
というプロセスで、ジェネプロアモデルの枠内にとらえられます。
ジェネプロアモデルは、創造的産出物への様々な製薬や制約が、創造の背後にある様々な認知的プロセスに与える影響も考慮しています。
このような制約は、課題の性質に応じて生成段階にも探索段階にも適用されます。
産出物は、創造性・実用性・創造性・賢明性といったいくつかの評価基準の組み合わせを用いて創造性の程度を評価されます。
【ジェネプロアモデルの構成要素の例】
生成段階の諸プロセス | ・記憶探索 ・連合 ・心的合成 ・心的変形 ・概念結合 ・アナロジー転移 ・カテゴリー還元 |
発明先行構造 | ・視覚的パターン ・物体形状 ・心的混合物 ・カテゴリー事例 ・メンタルモデル ・言語的結合 ・選択抜群 |
発明先行構造の属性 | ・斬新性 ・曖昧性・ ・暗示的有意味性 ・創発生 ・不調和性 ・拡散性 |
探求段階の諸プロセス | ・属性発言 ・概念的解釈 ・昨日推論 ・文脈変更 ・仮説検証 ・限界探索 ・優越構造化 |
算出物への制約 | ・算出物のタイプ ・算出物のカテゴリー ・算出物の特徴 ・算出物の機能 ・算出物の構成要素 ・利用可能な資源 |
ジェネプロアモデルの意義
ジェネプロアモデルに含まれる認知プロセスの多くは、認知心理学で普通に扱われているものであり、特に創造性のみ関わっているものではありません。
特定のプロセスだけが生成段階あるいは探索段階に結びついているというわけでもありません。
全てプロセスが同時に特定の創造的活動に必要だというわけでもありません。
芸術的創造や科学的発見のように互いに大きく異なる創造性の諸側面を、同一の汎用モデルで扱えるという利点があります。
これは、所要時間など、大規模の大きく異なる活動を等しく創造的活動と認識する傾向がある知覚のあり方にもマッチしています。
発想について語る際の私たちの関心の1つの個人差や群差です。
しかし知識の領域固有性以外にも、このモデルの構造が発想のスタイルが人によって異なる原因を示唆しています。
あるひとは発明先行構造を生成することが得意なのに、別の人はそれを探索したり解釈することの方が得意なことがあったり、個別性があるからです。
詳細→問題解決のアイディアを発想する方法【 発想メカニズムの心理学 】シナリオ別に解説
ジェネプロアモデルの要素
①産出物への制約
発想のための発想という贅沢を進化のプロセスが許さなかったとしたら、発想は何かの目標や目的の達成に役立つものに違いありません。
目的は発想に対する典型的な制約です。
例えば、前代未聞のことを成し遂げようとしている場合などは、問題解決は嫌でも創造的にならざるを得ません。
その問題とは、ここでいう制約の束だとします。
また、このアイディアを具体化するのにはどのような標識を具体的に実装したら良いのかという新しい問題が生じるため、解決案そのものに新たが問題が生じるということになります。
そのためアイディアとは、1つのアイディアだけで成り立っているのではなく、問題と解決案のアイディアの連鎖の中に成り立っていると言えます。
そして、制約である問題を吟味することが新しいアイディアに繋がっています。
KJ法
KJ法は、問題提起のステップを重視しています。
KJ法は、発想法とも呼ばれています。
独創的なアイディアは、難しい問いに答えることによって生まれます。
答えるのが難しい場合もあれば、問うのが難しい場合もあります。
②生成段階の諸プロセス
生成プロセスに関しては、創造性研究に限定されない認知心理学の様々な領域で研究が進められています。
発明先行構造は観察や模倣によっても生じます。
画家がモデルを使ったり他の画家の作品を模写するのもその例です。
【産出物の制約の種類と例】
制約の種類 | 例 | 説明 |
タイプ | ・テーブルをデザインする ・車椅子をデザインする | ・基本レベルのカテゴリーを指定する ・具体的なものを表す普通名詞に相当 |
カテゴリー | ・新しい家具を考案する ・輸送具を考案する ・物理学の理論を構成する | ・基本レベルより上位のカテゴリーを指定する |
特徴 | ・携帯可能 ・高齢者の使用に適する | ・産出物の特徴や仕様を指定する |
機能 | ・氷を砕く ・電気モーターで時速200km | ・可能な利用法や性能特性を指定する |
構成要素 | ・立方体と球とリングのみから組み立てる | ・あるいくつかの特定の部品だけが利用可能である等 |
資源 | ・地球にやさしい素材を使う ・経済的に実現可能である ・1時間で作れる | ・素材や作業の時間・費用などの資源を制約 ・前例の有無も資源の一種 |
記憶探索と連合
記憶探索を簡単にいうと想起です。
連合は連想の意味です。
新しい商品を考案する際なは、その課題から特定の語や物体を思い出します。
思い出されたものはイメージや語やそれらの組み合わせになります。
こうしたものを探索段階の諸プロセスによって再解釈されます。
連想を導く近接・類似は知覚を通して捉えられます。
逆に知覚は記憶によって導かれるため、想起・連合・知覚は分かち難く連携しています。
アナロジー転移
アナロジー転移は、文脈での関係・関係の集合が他の文脈に転送され、既に見慣れている関係と類比的な発明先行構造を作り出すプロセスです。
魚釣りのようなイメージが発明先行構造にあたります。
発想にアナロジーを積極的に利用する方法を考案してNM法と名付けられました。
カテゴリー還元
カテゴリー還元とは、物体や要素をより簡単なカテゴリー的記述に還元することです。
見慣れた対象物の形を、幾何学的な基本的形状で捉えることができるということです。
こうした形状を意識的に組み合わせてできる形状は抽象的です。
そのため応用範囲の広い発明先行構造になります。
③発明先行構造
上記のようなプロセスによって生み出される発明先行構造は、創造的発見を促すような様々な特性を持つ創造過程の中間産物です。
心的混合物
心的混合物とは、概念結合・メタファ・心的イメージを融合させたものなどの総称です。
共通するのは、2つの別々のものが融合して何か新しいものが生まれることです。
メンタルモデル
メンタルモデルとは、企業や市場といった大規模な概念や、様々な機械的・物理的なシステムをも表現する内的表像です。
人間がが施行する際に頭の中で操作すると考えられるモデルのことです。
論理式や数式などよりずっと具体的で個人的な意味合いのあるものです。
言語的結合
言語的結合とは、語や句の間の関係や暗示的な関係のことです。
「イメージ」ではありません。
それぞれの要素の独立性は保たれているtおいう点で心的混合物とは異なります。
発明先行構造はいろいろな言葉の組み合わせでできていることもあります。
④探索プロセス
創発性発見
創発性発見とは、発明先行構造の創発的な特徴を系統的に探索することです。
個人が世界を解釈したり理解している枠組みを探るために、抗生体心理学で開発されたのが、レバトリー・グリッド法です。
ここで使われる三件法は、3つの対象を似たもの同士のペアとそれとは対照的な残りの1つに分け、そのように分けた理由を述べてもらうことによって、個人が重視する属性を探り出そうとする方法です。
概念的解釈
概念的解釈とは、広く発明先行構造を取り上げて、抽象的・メタファ的・あるいは理論的な解釈を見つけ出すプロセスのことです。
機能推論
機能推論とは、発明先行構造の可能な利用法や機能を探索するプロセスのことです。
このプロセスは、自分が実際にその物体をいろいろなやり方で使おうとしているところを思い浮かべることで促進されるとされています。
文脈変更
文脈変更とは、発明先行構造を新しいコンテクストあるいは環境にて、これまでとは異なる他の用法や意味への洞察を得ようとするものです。
このプロセスは固着効果やその他の創造的発見への障害を克服する手助けになると考えられています。
例えば、和食の食材をフランス料理の中で生かそうとする工夫などは文脈変更のことです。
仮説検証
仮説検証とは、発明先行構造が問題解決の可能性を表現していると仮定して解釈あるいは検証を試みルことです。
また、KJ法のように、概念のグルーピングや空間的配置がある仮説を表現していると仮定して、その倫理性や妥当性を検証するという方法もその例です。
限界探索
限界探索とは、限界を発見し、その後の探索を制限するということです。
より有望な方向に創造的探索の焦点を合わせる助けになります。
発明先行構造は、どのアイデアが役に立たないのかのチェックにも使えます。
こうした無意識の限定が発見されると、意図的にそこから離脱することで、もっと創造的な事例を生成することが可能だと考えられます。
優劣構造化
優劣構造化とは、当初の選択抜群を変形して、ただ1つの選択肢が他の全てより優れているような関係にすることです。
1つに絞り込まなくても、その過程で、意思決定者にとって望ましい属性が発見されたり、属性の相対的な重要性が感得されることもあります。
また、当初はなかった新しい選択肢が生まれることもあります。
これは選択のプロセスを通じて意思決定者が自分自身の価値観に気づくという自己理解が生まれることを示唆しています。
自己理解が創造性を高めることになります。
⑤発明先行特性
発明先行構造には創造的な結果をもたらしやすいもの、もたらしにくいものもあります。
フィンクらは、創造的な探索と解釈に貢献する発明先構造の性質を示しています。
斬新性
既存の知識から予測し難い物事が実現した時、新しいという印象が生じます。
平凡な見慣れた構造でも創造的に解釈されることがあるかもしれなません。
しかし、目新しい構造であれば創造的発見の可能性は高まります。
暗示的有意味性
暗示的有意味性とは、普通の意味で意味ありげなことです。
発明先行構造の新しくて意外な呵責を生むヒントを与えたり、そうした解釈を引き出す潜在力に関わっています。
隠れた意味を持つように見える発明先行構造は、一層深く吟味したり探索をしたくなることにつながります。
不調和性
不調和性とは、発明先行構造の要素の間の対立・矛盾・コントラストを意味しています。
より深い意味や関係を掘り出す探索活動を促しています。
そのため不調和性はこれまでも創造性の諸理論において主要な役割を果たしています。
KJ法でも、一見矛盾するデータが発想のキーになることが指摘されています。
⑥評価基準
何を持って産出物の創造性を判定するかが評価基準の問題です。
この他にも、柔軟性や包括性、洞察性といった他の評価基準も検討されています。
何を持って良い発想とするかは、まだ確定した答えのない問いになります。
まとめ
心理学でよく用いられるワードの羅列です。
しかしこんなにも多いように、創造性に関してはさまざまな要因が引き金となっています。
個人差もありますが、創造することに関して日常的に意識して行動することで、想像力が高められます。
思考停止では創造性が高まらないからです。
何かに影響され、いつでも創造できるようにしておきましょう。
問題解決のためにアイディアを発想する際、
— Miori (@mioriescom) September 2, 2022
孵化期:全く別のことをしている間に発想するパターン
がありますよね💡
例えば、違う環境に身を置いて、温泉旅館でゆったりしている間にアイディアが降ってくるパターン♨️
孵化期での発想が得意な人もいれば
孵化期なしでアイディアを絞り出す人もいます https://t.co/jXSa0jNN9n
しかし他の経営者さんでは、孵化期にアイディアを発想なさっている方もおり
— Miori (@mioriescom) September 2, 2022
個性にもよるのでしょうね✨
あなたはどちら派ですか??
自分の個性に適した発想の仕方を把握しておくと
より効率よく進めることができますね🤗🏝
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