東証再編【 プライム市場の基準を全て解説 】一部上場よりプライム上場の方が難易度が高い

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2022年4月に、東証が市場再編されることとなりました。


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  1. 再編前の東証と再編後の東証比較
    1. 再編前の東証
    2. 再編後の東証
  2. プライム市場の上場維持基準を、再編前の東証一部と比較
    1. プライム市場の上場維持基準
    2. 再編前の上場基準
  3. プライム市場再編後の変更・変化
    1. プライム市場上場銘柄の信頼回復
    2. 株主数の変動算出方法
    3. プライム市場に残る銘柄数
    4. 流通株式の基準変更
    5. 株主数の基準変更
    6. TOPIXの行方
    7. 流通株式時価総額の算出方法
    8. 流通株式比率の算出方法
    9. 流通株式数の算出方法
    10. 外部の取締役を設定
  4. 再編後のプライム・スタンダード・グロースを比較
  5. 経過措置
    1. プライム市場への経過措置
    2. スタンダードへの経過措置
    3. グロースへの経過措置
  6. 東京証券取引所に直接お問い合わせしてみたQ&A
    1. Q:プライム市場の経過措置において、収益基盤が下の画像のように「-」と記載されているのですが、これは経過措置が無いという判断でよろしいでしょうか?それとも、経過措置には今回は関係ないという意味でしょうか?この欄での「-」の意味を教えてください。
    2. Q:ということは、経過措置においては収益基盤(営業利益や売上高)は指定が無いということでしょうか?新規上場の場合は収益基盤の基準がありますが、経過措置では収益基盤の基準は設けられていないという意味で捉えてよろしいでしょうか?
    3. Q:元々上場企業(東証一部・東証二部・ジャスダック・マザーズでも上場企業全て)だった場合は、新規上場での審査基準を受けるのでしょうか?それとも上場維持の基準を受けるのでしょうか?それとも新規上場での審査基準を受ける上で経過措置が採用されるのでしょうか?又は上場維持基準を受ける上で経過措置が採用されるのでしょうか?

再編前の東証と再編後の東証比較

これまでの東証というか現在(2021年7月)の東証は問題点がありました。

・時価総額が小さいのに東証一部に残り続けている

・東証一部・東証二部・ジャスダック・マザーズの中で東証一部が断トツ上場数が多い(東証一部は、本来は最も厳しいはずの基準なのに最も多い上場数になってしまっている)

・東証一部の基準が甘いため信頼が無い

・東証一部に直接新規上場ではなく、他の市場から上場場所を変更する場合は、時価総額が40億円以上でよかったため、この基準が甘かった

再編前の東証

東証一部東証二部ジャスダックマザーズ
大企業
約2200社
中堅企業
約470社
中小企業
約700社
新興企業
約370社

再編後の東証

プライムスタンダードグロース
一部上場企業
流通時価総額100億円以上
東証二部・ジャスダック上場企業
流通時価総額10億円以上
マザーズ・ジャスダック上場企業
流通時価総額5億円以上

プライム市場の上場維持基準を、再編前の東証一部と比較

プライム市場の上場維持基準

株主数800人以上
流通株式数2万単位以上
流通株式時価総額100億円以上
1日平均の売買代金200万円以上
流通株式比率35%

再編前の上場基準

株主数2,200人以上
流通株式①流通株式数2万単位以上
②流通株式数:上場株券等の35%
時価総額250億円以上
事業継続年数新規上場申請日の直前事業年度の末日から起算して、3カ月以上前から取締役会を設置して、継続的に事業活動をしていること
資産の額連結純資産の額が10億円以上
利益の額 or 時価総額①か②に該当すること
①最近2年間の利益の額の総額が5億円以上であること
②時価総額が500億円以上

※2万単位とは、現在は1単位が100株のため、200万株ということです。

プライム市場再編後の変更・変化

プライム市場上場銘柄の信頼回復

海外投資家からの資金を狙っているためか、東証一部よりプライム上場の方が厳しい基準となりました。

そのためプライムは、東証一部上場企業より優れており、より信頼感の高まる銘柄の寄せ集めになります。

直接上場しか認めらなくなり、従来は上場条件と維持条件が異なっていましたが、上場条件と維持条件は同様になりました。

東証二部やマザーズからの上場変更の場合は時価総額40億円以上で済みました。

しかし、この基準が東証一部の質を低くしてしまっていたためこの上場方法は廃止となりました。

つまりプライム直接上場のみ承認となりました。

株主数の変動算出方法

移行基準日時点で直近の事業年度末日時点の数値(株券等の分布状況表)を基に算出されます。

2021年6月末が評価基準日でした。

しかし株主数の変動の場合は決算時に算出されるため、

つまり2021年3月期末の決算で決定されるということです。

12月期の場合は2020年12月期末の決算で決定されます。

プライム市場に残る銘柄数

現在の東証一部上場企業のうち、約1500社がプライムに残ることとなりました。

つまり約7割の会社が残り、約3割の会社はプライムの上場基準から外れたとうことです。

基準に届かなかった約600社は、流通株式の時価総額・流通株式比率が足りなかった企業が多かったというデータがあります。

しかし救済措置として、改善のための報告書を開示すると、プライム市場に当面残ることができるため、実際に来年プライム市場へ上場する企業は約1500社より多いと予測されています。

経過措置としてプライムに移った場合には、状況を報告し、政策保有株の削減等で流通株式比率を高める等の対策をしていくことが必要になります。


通知を受けた企業は9月から12月末までにどの市場へ上場するか選び、東証に申請する必要があります。

東証は2022年1月に起業がプライム・スタンダード・グロースのどの市場を選択したかを広報し、2022年4月4日には新市場へ移行することになっています。

流通株式の基準変更

流通株式の時価総額が100億円以上ということに加え、

銀行・取引先等と持ち合う政策保有株(取引先のため株を保有します等の政策のための保有株)が、流通株式の対象外となりました。(これまでは対象内でした。)

それらを除外した流通株式の時価総額が35%以上ということです。


つまり、流通株式の時価総額の基準が甘くなったかのように見えますが、この部分があるため実はあまり額自体は変化していません



ということは、流通株式の時価総額35%以上を維持するために、銀行・取引先が2022年までに保有株を売却してくるリスクがあります。

(大株主は株探の大株主の欄に載っています。)

※大株主とは→【 大株主とは 】分かりやすく解説

株主数の基準変更

株主数が、2,000人以上から800人以上に減少しました。

個人の少額投資思考から大口株主を認めるということに伴い、企業は少額投資獲得(人数確保)のために対策していた株主優待等を減らす可能性があります。

TOPIXの行方

TOPIX(詳細はこちら⇒TOPIX 東証株価指数)は東証一部上場企業全ての銘柄から成り立っている指数のため、この指数は名称が変化していくでしょう。

まだ公に発表はされていませんが、市場再編前に発表があると思うためまた追っていきます。


TOPIXが万が一廃止となった場合は、今まではこのTOPIXの指数を購入することで株式数を得ていた企業も存在していたため、株式を購入してもらう方法が一部消失したと同様になります。

そうなると、個人の企業の力がもろに試される市場になります。

流通株式時価総額の算出方法

流通株式数に株価をかけた計算になります。

流通株式数 × 移行基準日以前の3カ月間(2021年4~6月)の終値の平均値

流通株式比率の算出方法

流通株式数 ÷ 事業年度末日の上場株式数

流通株式数の算出方法

発行済株式総数 ー (10%以上所有者・役員・自己株式・銀行や保険会社等の政策保有株・市場に固定株と認定された株式)

外部の取締役を設定

プライム市場上場企業では、社内でなく外部の取締役を3分の1以上と設定しています。

そのため社外の監視を強化させ、経営の透明性が強まります。

プライム市場上場企業は、コーポレートガバナンスが強化される銘柄に進化します。

再編後のプライム・スタンダード・グロースを比較

プライムスタンダードグロース
株主数800人以上400人以上150人以上
流通株式数2万単位以上(200万株)2千単位以上(20万株)1千単位以上(10万株)
流通株式時価総額100億円以上10億円以上5億円以上
流通株式比率35%以上25%以上25%以上
時価総額250億円以上
収益基盤直近2年間の利益の合計25億円以上
または
売上高100奥億円上かつ時価総額1,000億円以上
直近1年間の利益1億円以上

経過措置

既存の東証一部上場企業がプライム市場への移行にあたって、経過措置があります。

プライム市場への経過措置

・流通株式数が2万単位以上でなく1万単位以上

・流通株式時価総額が100億円以上でなく10億円以上

・売買高が一日平均売買代金0.2億円以上でなく月平均売買高4,000万円以上

・流通株式比率が35%以上でなく5%以上

スタンダードへの経過措置

・株主数400人以上でなく150人以上

・流通株式数2,000単位以上でなく500単位以上

・流通株式時価総額が10億円以上でなく2.5億円以上

・流通株式比率が25%以上でなく5%以上

グロースへの経過措置

・流通株式数が1,000単位以上でなく500単位以上

・流通株式時価総額が5億円以上でなく2.5億円以上

・流通株式比率が25%以上でなく5%以上

・時価総額が40億円以上から5億円以上



経過措置の期間についてはまだ未発表で、追々発表予定です。

東京証券取引所に直接お問い合わせしてみたQ&A

東京証券取引所の公開している資料はこちらです。

https://www.jpx.co.jp/equities/improvements/market-structure/nlsgeu000003pd3t-att/nlsgeu000004kjhc.pdf


今回は、資料を拝見しても分かりにくい部分を直接、東京証券取引所にお問い合わせしてみました。

とても分かりやすく回答して下さったため、Q&Aという形で共有させていただきます。



~1つ目の質問~

Q:プライム市場の経過措置において、収益基盤が下の画像のように「-」と記載されているのですが、これは経過措置が無いという判断でよろしいでしょうか?それとも、経過措置には今回は関係ないという意味でしょうか?この欄での「-」の意味を教えてください。

A:プライム市場の上場基準につきまして、「収益基盤・財政状態」については上場維持基準ではございません。
したがいまして、経過措置においても「収益基盤・財政状態」については関係ないというご理解でよろしいかと存じます。

Q:ということは、経過措置においては収益基盤(営業利益や売上高)は指定が無いということでしょうか?新規上場の場合は収益基盤の基準がありますが、経過措置では収益基盤の基準は設けられていないという意味で捉えてよろしいでしょうか?

A:ご理解の通りでございます。


~2つ目の質問~

Q:元々上場企業(東証一部・東証二部・ジャスダック・マザーズでも上場企業全て)だった場合は、新規上場での審査基準を受けるのでしょうか?それとも上場維持の基準を受けるのでしょうか?それとも新規上場での審査基準を受ける上で経過措置が採用されるのでしょうか?又は上場維持基準を受ける上で経過措置が採用されるのでしょうか?

A:上場企業は、どの新市場区分を選択されるかによって、新規上場基準での審査を受ける場合、経過措置を受ける場合があります。

東証一部上場会社が、プライム市場またはスタンダード市場を選択する場合には、新規上場基準での審査は受けずに、経過措置が適用されます。
ただし、グロース市場を選択する場合には、新規上場基準での審査を受けて、経過措置は適用されません。

東証二部上場会社とジャスダックスタンダードの上場会社が、スタンダード市場を選択する場合には、新規上場基準での審査は受けずに、経過措置が適用されます。
ただし、プライム市場またはグロース市場を選択する場合には、新規上場基準での審査を受けて、経過措置は適用されません。

マザーズ上場会社とジャスダックグロース上場会社が、グロース市場を選択する場合には、新規上場基準での審査は受けずに、経過措置が適用されます。
ただし、スタンダード市場を選択する場合には、新規上場基準での審査を受けて、経過措置は適用されません。



以上がQ&Aでした。

私が理解力が低いので申し訳ないのですが、この判断を誤ると損失額が大きいということを踏まえ、確信を持ちたいという思いで質問させていただきました。

とても分かりやすく丁寧に教えて下さって、東京証券取引所のかたには感謝しております。

ありがとうございます。


皆様も疑問に思ったことが、今回記載してQ&Aにより解決に繋がって下さると嬉しいです。

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