今回は、賃金・給料を支払ったときの決算書の変化について解説します。
賃金・給料を支払った時
賃金・給料を支払ったときは、賃金(費用)・給与(費用)として処理します。
また、賃金・給与の支払い時に控除した源泉所得税・社会保険料は、預かり金(負債)として処理します。
賃金・給料の消費額の計算
給与計算期間・原価計算期間
原価計算期間は毎月1日から月末までの1ヶ月です。
しかし給与計算期間は「毎月20日締めの25日払い」や「毎月15日締めの20日払い」というように、必ずしも毎月1日から月末までの1ヶ月ではありません。
このように、原価計算期間・給与計算期間にずれが生じる場合には、ずれを調整し、原価計算期間に対応する金額を賃金・給料の消費額として計上します。
賃金・給料の消費額の計算
賃金・給料の消費額は次の計算式によって求めます。
当月消費額 = 当月支給額 + 当月未払額 ー 前月未払額
賃金・給料を消費した時
直接工の賃金消費額の処理
直接工の賃金のうち、直接作業にかかる金額は「直接労務費」として、賃金勘定から「仕掛品勘定」に振り替えます。
※仕掛品とは・・・材料から完成品(製品)になるまでの、加工途中の未完成品のこと
また、直接工の賃金のうち、間接作業にかかる金額は「間接労務費」として、賃金勘定から「製品間接費勘定」に振り替えます。
更に、直接工の賃金消費額は、作業時間1時間あたりの賃金「消費賃率」に実際作業時間をかけて計算します。
計算式は次の通りです。
直接工の賃金消費額 = 消費賃率 × 実際作業時間
間接工の賃金は全て間接労務費のため、賃金勘定から「製造間接費勘定」に振り替えます。
賃金以外の労務費の処理
給料・従業員賞与手当など、賃金以外の労務費は全て間接労務費のため、各勘定から「製造間接勘定」に振り替えます。
予定賃率を用いた場合の処理
予定賃率とは
材料費について予定消費単価を用いて計算したように、直接工の賃金についても実際の賃率に代えて、あらかじめ決められた消費賃率の「予定賃率」を用いて計算することが認められています。
賃金を消費した時
予定賃率を用いた場合は、予定賃率に実際作業時間をかけて直接工の賃金消費額を計算します。
直接工の賃金消費額(予定消費額)= 予定賃率 × 実際作業時間
月末の処理
予定賃率を用いて賃金の予定消費額を計算した場合でも、月末において賃金の実際消費額を計算します。
そして、予定消費額と実際消費額との差額を賃金勘定から「賃率差異勘定」に振り替えます。
具体的には、予定消費額が実際消費額になるように「賃金勘定」の金額を調整します。
賃率差異の求め方・処理・差異の判定方法は、材料消費価格差異の時と同様です。
会計年度末の処理
予定賃率を用いた場合、会計年度末に置いて月末ごとに計算された賃率差異の残高を「売上原価勘定」に振り替えます。
具体的には、賃率差異が不利差異の場合は、「売上原価勘定」の借方に振り替えます。
逆に賃率さいが有利差異の場合は「売上原価勘定」の貸方に振り替えます。
関連記事→決算における【 売上原価の算定 】分かりやすく解説
まとめ
株式投資では、決算を読み込むために簿記の知識もあると優位になります。
今後も決算を読み解いていきましょう。
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