今回は、確定申告における「損益通算」について解説します。
損益通算とは
損益通算とは、一定期間内の利益・損失を相殺することです。
上場株式などの投資を行い、利益(譲渡益・配当など)が出た場合、20%の税金がかかります。
しかし、損失が出た場合には利益から差し引いて、その損失分の税金を減らすことができます。
これが損益通算の仕組みです。
それでもマイナスの場合は、確定申告をすることにより、最長3年間損失を繰越て控除することができます。
損益通算の範囲内
損益通算の対象となる所得の範囲は下記です。
・不動産所得
・事業所得
・譲渡所得
・山林所得
損益通算・繰越控除のルール詳細
上場株式などを金融商品取引業者などを通じて譲渡したことなどにより生じた譲渡損失の金額がある場合は、確定申告により、その年分の上場株式などの配当などに係る利子所得の金額及び配当所得の金額と損益通算できます。
また、損益通算してもまだ控除しきれない損失の金額に関しては、
翌年以後3年間に渡り、確定申告により、上場株式などに係る譲渡所得などの金額及び上場株式などに係る配当所得などの金額から繰越控除することができます。
注意点
しかし注意点もあります。
※上場株式などに係る譲渡損失の金額については、一般株式などに係る譲渡所得などの金額から控除することはできません。
※上場株式などに係る譲渡損失の繰越控除については、まず上場株式などに係る譲渡所得などの金額から控除し、まだ控除しきれない損失額があるときは、上場株式などに係る配当所得などの金額から控除します。
※繰越控除に関しては、例えば平成30年以降の年分に生じた上場株式などに係る譲渡損失の金額で令和3年分に繰り越されているものが、令和3年分の上場株式などに係る譲渡所得などの金額及び上場株式などに係る配当所得などの金額から控除できます。
損益通算に関して法律で決められている詳細
損益通算に関する法律は次の通りです。
・利子所得及び退職所得は、所得金額の計算上損失が生じることはない
・配当所得・給与所得・一時所得及び雑書とくの金額の計算上損失が生じることはあるが、その損失の金額は他の各種所得の金額から控除することはできない
・生活に通常必要でない資産にかかる所得の金額の計算上生じた損失は、競走馬の譲渡に係るもので一定の場合を除き、他の各所得の金額と損益通算できない
・生活に通常必要でない資産は下記
競走馬、その他斜こう的手段となる動産
主として趣味、娯楽、保養、鑑賞の目的で所有する不動産
主として趣味、娯楽、保養、鑑賞の目的で所有する不動産以外の資産(ゴルフ会員権など)
生活の用に供する動産で、1個または1組の化学が30万円を超える貴金属、書画、骨とうなど
・不動産所得の金額の計算上生じた損失の金額のうち、つびに掲げるような損失の金額は、その損失が生じなかったものとみなされ、他の各種所得の金額から控除することができない
別荘などの生活に通常必要でない資産の貸付けに係るもの
とちを取得するために要した負債の利子に相当する部分の金額
一定の組合契約に基づいて営まれる事業から生じたもので、その組合の特定組合委員に係るもの
・申告分離課税の株式などに係る譲渡所得などの金額の計算上生じた損失がある場合は、株式などに係る譲渡所得など以外の所得の金額との損益通算はできない
・逆に、株式などにかかる譲渡所得など以外の所得の損失も、株式などに係る譲渡所得などの金額との損益通算はできない
・所得税の確定申告において、上場株式などに係る譲渡所得などの金額の計算上生じた損失の金額がある場合には、申告分離課税を選択した上場株式などに係る配当所得の金額から控除できる
・申告分離課税の先物取引に係る雑所得などの金額の計算上生じた損失がある場合は、先物取引に係る雑所得など以外の所得の金額との損益通算はできない
・先物取引に係る雑所得など以外の所得の損失も、先物取引に係る雑所得などの金額との損益通算はできない
・譲渡所得の金額の計算上生じた損失のうち、一定の居住用財産以外の土地建物などの譲渡所得の金額の計算上生じた損失がある場合は、土地建物などの譲渡所得以外の所得の金額との損益通算はできない
・土地建物などの譲渡所得以外の所得の損失も、土地建物などの譲渡所得の金額との損益通算はできない
まとめ
実はかなり細かく規定されています。
※損益通算に関する規定は、更新されることがあるため、常に最新のバージョンを確認するようにしてください。
ちなみに、NISAなどは損益通算できません。
詳細→【 NISAを辞めた理由 】主要理由は損益通算・繰越控除
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