今回は、中国における「ブロックチェーンの政策・規制」について解説します。
中国におけるブロックチェーンの政策
中国政府は、仮想通貨に対して厳しく規制をかけていますが、反対に、ブロックチェーン技術に関しては国を挙げて奨励しています。
※中国の仮想通貨に関する規制→【 中国における仮想通貨の法令 】まとめ
国務院の第13次5か年企画期間国家情報化基面の通知
2016年に「国務院の第13次5か年企画期間国家情報化基面の通知」が発表されました。
これは、ブロックチェーンは、量子テレポーテーション・人工知能・バーチャルリアリティ・ビッグデータ解析・無人運転輸送車両などとともに、重点先端技術に指定されたということです。
次世代情報技術の主導権を取るために、技術イノベーション・試験・応用が強化されることになりました。
そして中央政府とともに、中国の各地方政府も、ブロックチェーンの技術と産業の発展政策を打ち出しました。
それ以降、中国の大都市では、関連のセミナーやサロンが開催されています。
これは、中央政府や地方政府が奨励策を打ち出し、発展の方向性が明らかになったからです。
しかし中国のブロックチェーン業界はまだ成熟したとは言えず、技術の応用はまだ少ないです。
2018年中国ブロックチェーン産業白書
2018年に、中国工業情化部情報センターが「2018年中国ブロックチェーン産業白書」を発表しました。
これには、中央政府が発表した政策が18件、地方政府が発表した政策が97件紹介されていました。
例えば、次の政策が出されています。
広日田市省広州市では、ブロックチェーン産業の支援に毎年2億元以上財政投入
河北省雄安新区では、ブロックチェーン技術の研究開発と試験拠点の配置
など
「2018年中国ブロックチェーン産業白書」によると、ブロックチェーン業界は次のようになりました。
ブロックチェーンに関わる業務を主とする企業は、2013年の31社から、2018年には456社まで増加しました。
つまり、4年弱で15倍に増加したということです。
この企業所在地は、北京市・上海市・広東省・などで、合計で8割以上を占めています。
特に北京市が175社で、集中しています。
ブロックチェーン情報サービス管理規定
2019年「ブロックチェーン情報サービス管理規定」が発表され、施行されました。
これは、関連の業界規則の制定を急いでおり、意見募集を経て施行されました。
24条の規定には、次のものが定められています。
・ブロックチェーン情報サービスを提供する者に対し、IPアドレスを含む企業情報をサービス提供開始から10営業日以内に届けること（第11条）
・サービス提供者はサービスを提供するネットワークプラットフォームに届出番号を明示するうこと（第13条）
・サービス提供者はサービス利用者に対し、身分証化携帯電話番号などに基づく本人情報認証を行うこと（第8条）
サービス提供者も利用者も管理していく国の姿勢が伺えます。
産業構造調整指導目線
2019年に、発展を奨励する分野・投資を制限・淘汰する分野を定めた「産業構造調整指導目線」の2019年版の意見募集行が公表されました。
「国家が認めた範囲内のブロックチェーン情報サービス」が挙げられています。
これは、国の産業育成の方向性を示しています。
そのため投資管理や財税制・金融・貿易などの各種政策の根拠となることから施行されると、ブロックチェーン情報サービスは国の一定の管理の下、産業発展が進ことが見込まれています。
ブロックチェーンは、仮想通貨に限らず、商品のトレーサビリティ・著作権の保護と取引・電子認証・財務管理など、幅広い分野で活用の可能性があります。
中国政府が進める一帯一路構想の建設に関しては、トレーサビリティの確保・貿易手続きの簡素化・貿易決済ツールとしての仮想通貨の導入などで、ブロックチェーン技術の活用が検討されています。
まとめ
中国政府は、仮想通貨とそれを支えるブロックチェーン技術が、世界的に新たな技術革新と産業革命を引き起こしつつあることを認識しています。
だからこそ、仮想通貨取引を禁止して自国の仮想通貨を作ったり（詳細→【 中国における仮想通貨の法令 】まとめ）、ブロックチェーン産業を発展させようとしているのです。
仮想通貨取引の全面禁止については、仮想通貨とブロックチェーンのリテラシーを国民が身につけることを妨げており逆効果にも見えますが、これが中国の方針です。
しかし中国は経済発展をさせることが長けているため、その結果がどうなるかを追っていきましょう。
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