【 ロシアにおける仮想通貨の規制 】戦争によって変化

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今回は、「ロシアにおける仮想通貨の規制」について解説します。

ロシアでの仮想通貨関連の法的基礎の整備は、欧米諸国や日本と比較すると、対応が遅めです。

※仮想通貨とは→【 仮想通貨って何? 】と聞かれた時のベストアンサー(専門知識は省けないため噛み砕いて説明)

しかし、戦争により仮想通貨に対する受け入れ方が変化したため、それに関しては一番最後に記載します。

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仮想通貨に対するロシア政府の対応

ロシアでの仮想通貨に関する議論は、他の国や地域とほぼ同じ道を辿っています。

仮想通貨が登場し始めた時期には、ロシアでも中央銀行の発行する法定通貨と仮想通貨との関係が問題となりました。

その後、仮想通貨が持つ経済的なメリットが注目されるに伴い、全面的な禁止はせずに規制・調整を加えながら需要するという流れとなりました。

2013年〜2014年に、ロシアで仮想通貨に関する注目が集まり始めました。

取引実施時のビットコインを含む仮想通貨の使用について

2014年、ロシア中央銀行は、告知「取引実施時のビットコインを含む仮想通貨の使用について」において、個人と法人、特に金融機関に対し、モノ・労働・サービスの対価もしくはルーブル・外貨の金銭的手段として仮想通貨を利用しないよう警告しています。

犯罪・金融テロリズムの手法により取得された資金のロンダリングに使われる可能性が高く、ロシア国内での金銭の代替え品の発行は連邦法「ロシア連邦中央銀行について」第27条で禁止されているとの内容でした。

しかし、他国での仮想通貨の利用拡大・元経済発展大臣でリベラル派エコノミストとして知られている、ロシア最大手銀行図ベルバンクの会長のゲルマン・グレフ氏が、仮想通貨への一律規制に反対姿勢を取りました。

このことから、中央銀行やロシア財務省などの監督当局も仮想通貨に対する考え方を徐々に軟化させるようになります。

仮想通貨の交換・取引に関する刑法罰の導入に向けた検討の中止

そして2016年には、財務省は仮想通貨の交換・取引に関する刑法罰の導入に向けた検討を中止しました。

ロシア仮想通貨ブロックチェーン協会(RACIB)

更に2017年にはロシア大統領顧問(インターネット発展担当)のゲルマン・クリメンコ氏が「ロシア仮想通貨ブロックチェーン協会(RACIB)」の創設を発表しました。

政府内でも仮想通貨が経済の活性化に貢献することが強く認識されるようになりました。

仮想通貨の規制に関する集英法案

2017年には、ウラジミル・プーチン大統領が連邦政府・中央銀行に対し、2018年までに仮想通貨の規制に関する集英法案を準備するよう大統領令を出しました。

ここで、「活用」への流れが確定しました。

ロシア政府の仮想通貨への考え方が前向きに転換した背景には、世界的に仮想通貨が市民権を得たことに加え、プーチン大統領が進めるロシアの経済方針が影響しています。

広大な国土に人口が点在するロシアでは、経済発展や国民の生活水準向上を実現さえるための原油・天然ガス・石炭などの地下埋蔵資源に依存した経済構造から脱却することが必要になります。

重要な手段が経済の「デジタル化」であるという考え方です。

仮想通貨も「デジタル経済(ロシア語で、ツィフラバヤ・エコノミカ)」を実現する手段の1つとみなされています。

ロシアにおける仮想通貨の民法

ロシアの政府・金融監督当局内部での仮想通貨に対するスタンスは形成されました。

しかし、立法による法整備は追いついていません

デジタル権

ロシアの民法典で財産権の対象は第3章(128〜152.2条)に列記されています。

しかし仮想通貨を含む「デジタル権(ロシア語でツィフラビェ・プラバー)」が新しく民法典に明記されることが決まったのは数年前です。

ロシア連邦民法典第1章、第2章及び第3章の124条

2019年に、「ロシア連邦民法典第1章、第2章及び第3章1124条の変更について」が更新されます。

それ以降は、仮想通貨がロシア連邦領域内で民法上で明確化されます。

仮想通貨の財産権としての認定は、立法よりも実際の現場での運用が先行しています。

モスクワ市第9仲裁控訴裁判所決定第16416号

2018年モスクワ市第9仲裁控訴裁判所決定第16416号にて、債権者による差押の対象範囲が債務者の持つ仮想通貨に及ぶかどうかについて、ロシアの裁判所が示しました。

この控訴審決定で裁判所は、現行の法体系において仮想通貨などの定義がなされていないことを認めた上で、次の保護がされました。

ロシア民法典第3章に列記された具体的財産権は「閉じられた権利の一覧」ではなく、その他の権利も認められ、民法典第6条に定める法の類推適応によって保護されるとしました。

第一審の判断を覆し、債務者に対して仮想通貨にアクセスするためのIDとパスワードの開示を命じています。

一方、類推適用の可否は個別の事案によって判断されるべきであるとされています。

そして本判断は法眼としての効果はないとされています。

技術の進歩で形式・内容が変わりうるデジタル権の立法条の定義が難しいのはどこの国も共通です。

各財産権の内容を定義する条文群第141の1条

上記の、連邦法第34号FZで記載される「デジタル権」の定義づけは大枠をなぞったものです。

ロシア民法典第128条(一般的な財産権)にデジタル権が新しく加筆されました。

各財産権の内容を定義する条文群に第141の1条が追記されました。

同条第1項は、デジタル権の内容を次のように定めました。

デジタル権と認められるものは、法令の中で称される債権債務の権利やその他の権利で、その行使内容・条件は法律が定める基準を満たす情報システムの各規則に従って定められる・譲渡・貸与・担保その他を含むデジタル権の行使・処理・権利行使の制限は、第三者への紹介(承認)を伴わない情報システムにおいてのみ可能とする


第2項では次のように定めました。

他の法律で定めがない限り、デジタル権の所有者は情報システムの規則に従ってこの権利を処理することができる者を指す


第3項では次のように定めました。

取引に基づくデジタル権の移転は、同デジタル権に関する義務を負う者の同意を必要としない

民法典第454条

さらに、民法典第454条に定める売買契約の対象となる財産権の範囲においても「デジタル権」が追記されています。

デジタル権の字資質的な内容については別に定める法令(もしくは判例の積み上げ)に依拠することを期待した内容となっていることが実態です。

2019年の施行以来、財産法・家族法・税法・会社法などの幅広い民法分野での法的整備が進ことが期待されています。

仮想通貨の個人所得税の申告

仮想通貨の売買で得た収益は、個人所得税の申告対象となるか」ということについて説明します。

税務分野でも仮想通貨の取り扱いについて実務が先行しています。

ロシア税法展第217条・第220条

ロシア税法展では第217条個人所得税を非課税とする対象を定めています。

同条第17.1項では、当該納税者が3年以上所有する資産の売却につき非課税と定めています。

ただし、有価証券・住居・自動車・企業活動に直接利用されたものを除きます。

また、第220条第1項の2では3年未満の所有機管轄25万ルーブル以下の売却で非課税とされるケースを規定しています。

仮想通貨に第217条第17.1項が適用されるかの解釈について、ロシア財務省は、仮想通貨の売却に同条は適用されないとの判断を示しています。

その根拠は次の通りです。

・ロシア税典内において自然人による仮想通貨の取引への課税に関する特別な規定がないこと

・徴税・課税に関する法体系において仮想通貨の特別な資産とする法的地位を定める規定・事情がないこと


これにより、仮想通貨の売却益について個人所得税算定の対象となることが明確となりました。

そのため、申告を行う必要があります。

固定資産税の控除に関する規則も仮想通貨には適用されないため、財産控除は適用されないとしています。

仮想通貨の刑法上の規定

仮想通貨が登場した当時、規制・監督当局が警戒したのは同通貨取引が麻薬の販売や犯罪行為で得た不正マネーロンダリングに利用されるのではないかということでした。

※マネーロンダリングとは→【 マネーロンダリングとは 】分かりやすく解説

ロシア連邦刑法典174条

ロシア連邦刑法典第174条、174.1条ではマネーロンダリングについて規定しています。

ロシア最高裁は、2018年2月26日付裁判官会議決定第一号にて2015年7月7日付同決定第32号「犯罪手法により獲得された現金もしくはその他の資産の合法化(ロンダリング)の実案における裁判手続きについて」に変更を加えました。

そして、犯罪実行の結果取得された仮想通貨により形成された現金とその同等物についても、同条の刑罰の対象に含めるとしています。

しかし裁判官会議決定第一号では仮想通貨自体の概念は定義づけしていません。

また、仮想通貨を単に現金化しただけではマネーロンダリングとは認められません。

検察当局は不正に得られた仮想通貨を利用してロンダリングをしようとしたことの証明が必要とされます。

しかし合的・不法手段により獲得された仮想通貨が一度混合してしまうと、どの部分が現金化されたのかを区分けするのが難しいという問題が指摘されています。

ロシア法曹協会のラウジミル・グルゼデフ理事長は「立法と法執行の実務は今の現実と適合していなければならない」と述べました。

仮想通貨を代表とするデジタル技術の発達による犯罪行為の防止・抑止にロシアの法整備の現状が追いついていない実態を指摘しています。

戦争後に変化した、ロシアの仮想通貨に対する規制

ロシアは、ウクライナとの戦争を経て、国際貿易における仮想通貨の使用に関する法律を推進しようとしています。

ロシア銀行と財務省はは、仮想通貨の国境を超えた経済なしには不可能だという意見で合意しました。


そしてロシア銀行と財務省は、仮想通貨に対する立場を考え直しました。

その結果、国境を超えた決済での仮想通貨の使用を合法化する必要があると認めました。

(ロシアの報道機関TASSより)


この背景として、ロシアは米ドルに代わる貿易の手段を模索してきたことが挙げられます。


また、ロシアの議会エネルギー委員会の委員長であるPavel Zavalny氏は、天然ガスやその他の天然資源の輸出の支払いをビットコインで行うことに前向きであると述べました。


そして、2022年5月に、ロシアが国際貿易で仮想通貨を使用することを積極的に議論していると報告されました。

まとめ

ロシアは、プーチン大統領一強のため、プーチン大統領が仮想通貨を導入すると決めたらそうなるでしょうね。

そのためロシアの仮想通貨に関する規制は、プーチン大統領にかかっていると言っても過言ではありません。


また、米国とロシアは不仲関係にあることから、ロシアが米ドルを使って貿易取引をしたくないという背景もあります。

そのため、ロシアとその国の取り巻く環境からの影響も受けるということです。


ロシアの仮想通貨の規制に関しては、戦争の影響もあり変動しやすいです。そのため、随時最新の情報を確認するようにしましょう。


関連記事→アメリカの【 仮想通貨の法令について 】まとめ

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