決算書における【 退職給付会計について 】深い解説まとめ

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今回は、決算書における「退職給付会計」についての解説をまとめました。

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退職給付

退職給付とは

退職給付とは、一定の期間にわたり労働を提供した対価として、退職以後に従業員に支給される給付のことです。

退職一時金退職年金に分類されます。


【退職給付の分類】

・退職一時金:退職時に一括して支給されるもの(通常、企業が直接、従業員に支給する)

・退職年金:退職後に一定期間、いて医学ずつ支給されるもの(通常、企業から資金の運用を委託されている年金基金などが支給する)


退職給付は、基本的に従業員が提供した労働のの対価として支払われる賃金の後払いとしての性格があります。

退職給付は提供された労働を消費することに伴って発生すると考えられるため、退職金の四球時に費用処理するのではなく、毎期の労働を消費した時に費用の発生を認識します。


関連記事→【 連結財務諸表における退職給付会計 】分かりやすく解説

退職給付会計の基本的な会計処理

退職給付会計では、退職給付債務(退職一時金と退職年金に係る債務)から年金資産(退職金の支払いに充てるため年金基金などに運用を委託している資産)を控除した金額を退職給付金として計上します。

退職給付引当金=退職給付債務 ー 年金資産

退職給付債務

退職給付債務とは

退職給付債務とは、退職給付のうち認識時点までに発生していると認められる部分を現在価値に割り引いたものです。

退職給付債務は、退職により見込まれる退職給付の総額(退職給付見込額)のうち、期末までに発生していると見込まれる額を割り引いて計算します。


退職給付見込額のうち、期末までに発生したと認められる額は、期間定額基準または給付算定基準のいずれかの方法により算定します。

ここでは主要の期間定額基準による算定方法を説明します。

退職給付見込額のうち当期末までの発生額
=退職給付見込額×入社時から当期末までの勤務期間/入社時から退職時までの勤務期間


退職給付債務=退職給付見込額のうち当期末までの発生額×1/(1+割引率)残存勤務期間

※ここでの残存勤務期間は累乗根で計算します。

勤務費用・利息費用

期首と期末の退職給付債務を比較すると、退職給付債務が増加していますが、この増加額は勤務費用利息費用に区別することができます。

勤務費用

勤務費用とは、一期間の労働の対価として発生したとみろめられる退職給付のことです。

退職給付見込額のうち当期に発生したと認められる額を割り引いて計算します。


退職給付見込額のうち当期の発生額=退職給付見込額×1/入社時から退職時までの勤務期間


【当期分の発生額の割引計算】

勤務費用=退職給付見込額のうち当期の発生額×1/(1+割引率)残存期間

※ここでの残存期間は累乗根で計算します。

利息費用

利息費用とは、割引計算により算定された期首の退職給付債務について、期末時点までの時の経過により発生する計算上の利息のことです。


利息費用=期首退職給付債務×割引率

年金資産

年金資産とは

年金資産とは、企業年金制度を採用している企業が、退職給付の支払いに当てるために企業外部の年金基金などに積み立てている資産のことです。

年金資産の額は、期末における時価(構成な評価額)になります。


年金資金=期末における時価(公正な評価額)

期待運用収益とは

期待運用収益とは、年金資産の運用により生じると合理的に期待される計算上の収益であり、期首の年金資産の額に合理的に期待される収益率(長期期待運用収益率)を乗じて計算します。


期待運用収益=期首年金資産×長期期待運用収益率


例えば、ある株式会社が、退職金を企業外部の年金基金に委託した年金資産から支払うとします。

この時、ある株式会社が、年金基金に1,000円を拠出し、これを年金基金が運用して1,000円の拠出額を1,050円に増加させた場合、年金の支払いは増加後の1,050円となります。

このように、年金基金の運用によって年金資産が増加して退職金の支払いが増加すると、ある株式会社にとっては退職金支払の負担が減るというメリットがあります。

退職給付引当金の問題の解き方

退職給付引当金は、退職給付債務から年金資産を控除した正味の額として求められます。

見積もりによる退職給付費用の計上

退職給付債務にかかる勤務費用・利息費用から年金資産に係る期待運用収益を控除した金額を期首時点で見積もり、退職給付費用として計上します。


退職給付費用=勤務費用 + 利息費用 ー 期待運用収益


【退職給付費用の要素】

・勤務費用→退職給付債務の増加→退職給付引当金の増加

・利息費用→退職給付債務の増加→退職給付引当金の増加

・期待運用収益→年金資産の増加→退職給付引当金の減少

年金掛金の拠出時

年金基金などに賭け金を拠出した場合には、年金資産が増加するため、退職給付引当金を減少させます。

退職一時金の支給時

従業員の退職時に企業が直接、退職一時金を支給した場合には、退職給付債務が減少するため、退職給付引当金を減少させます。

退職年金の支給時

年金基金から年金資産を原資として支給しているため、年金資産が減少するとともに、退職年金の支給によって企業が負っていた退職給付債務が減少します。

したがって、年金資産も退職給付債務も退職給付引当金で処理するため、会社の処理としては仕訳なしとなります。

差異の計算

数理計算上の差異

数理計算上の差異とは

数理計算上の差異とは、①年金資産の期待運用収益と実際運用成果との差異、②退職給付債務の数理計算に用いた見積も数値と実績との差異及び③見積数値の変更などにより発生する差異のことです。


更に、数理計算上の差異のうち、費用処理されていない部分を未確認数理計算上の差額と言い、退職給付引当金から控除します。


【数理計算上の差異の例】

①期首において長期きたい運用収益率を3&で見積り、期待運用収益を計算したが、実際の収益率は2%であった場合

②退職給付債務に係る割引率を4%で見積り、退職給付債務を計算していたが、実際の割引率は5%であった場合

③前期まで退職給付債務に係る割引率を4%で計算していたが、当期に割引率を3%に変更して見積り計算する場合


数理計算上の差異は、期末年金資産、及び期末退職給付債務の金額と、期末の年金資産の時価、及び新たな数値で計算しなおした退職給付した退職給付債務との差額で計算します。

会計処理

数理計算上の差異は、原則として、各期の発生額について平均残存勤務期間いないの一定の年数で定額法などにより毎期費用処理します。


数理計算上の差異の費用処理額(償却額)=数理計算上の差異÷平均残存勤務期間


数理計算上の差異の費用処理は、上記のように発生年度から費用処理するほか、発生年度の翌朝から費用処理することも認められています。

そのため費用処理の開始年度をよく確認しましょう。


数理計算上の差異の費用処理額を加えた退職給付費用、及び退職給付引当金勘定についてまとめると、次のようになります。

過去勤務費用

過去勤務費用とは

過去勤務費用とは、退職給付水準の改定などに伴って発生した退職給付債務の増減額のk遠出、退職金規定などの改定時点における改訂前と改定後の規定に基づいて算定した退職給付債務の差額のことです。


更に、過去勤務費用のうち、費用処理されていない部分を未認識過去勤務費用と言い、退職給付金から控除します。

会計処理

過去勤務費用は、原則として、各期の発生額について平均残存勤務期間いないの一定の年数で毎期費用処理します。


数理計算上の差異の計算とほど同様ですが、翌年度から費用処理する規定はないことが違いです。

まとめ

株式投資においては、決算書を読み解く必要があります。

その際、簿記の知識もあると更に理解が深まります。


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