今回は、決算書における「包括利益」についての深い解説をまとめました。
包括利益とは
包括利益とは、ある企業の特定期間の財務諸表において認識された純資産の変動額のうち
当該企業の純資産い対する持分所有者との直接的な取引によらない部分のことです。
当該企業の純資産に対する持分所有者には、当該企業の株主の他当該企業の発行する新株予約権の所有者が含まれ、連結財務諸表においては、当該企業の子会社の非支配株主も含まれます。
持分所有者との直接的な取引によらない部分とは、株式の発行、新株予約権の発行、剰余金の配当といった資本取引以外の部分のことです。
包括利益には、収益・費用に加え、その他有価証券評価差額金のように、損益計算書を経由せずに純資産の部に計上される項目(その他の包括利益)も含まれます。
連結財務諸表におけるその他の包括利益には、親会社株主にかかる部分と非支配株主にかかる部分が含まれます。
【純利益と包括利益の比較】
純利益 | 包括利益 | |
定義 | 純資産の変動のうち、当期にリスクから解放された部分 | 純資産の変動部分 |
対象 | リスクから解放された損益項目 | リスクから解放されておらず、純資産を直接変動させる項目も含む(その他有価証券評価差額金など) |
当期分のみを考慮した当期純利益と包括利益の関係を計算式にすると、次のようになります。
包括利益=当期純利益±その他の包括利益
※当期純利益=親会社に帰属する当期純利益+非支配株主に帰属する当期純利益
ここでは純利益から加減して包括利益を算定しましたが、次のように、定義通りに期首と期末の純資産の差額から、資本取り筆記を差し引いて計算することもできます。
包括利益=期末純資産ー期首純資産ー持分所有者との直接的な割引率
その他の包括利益
その他の包括利益とは、包括利益のうち、当期純利益に含まれない部分のことです。
その他の包括利益に含まれる項目には次のようなものがあります。
【その他の包括利益に含まれる項目】
・その他有価証券評価差額金
・繰延ヘッジ損益
・為替換算調整勘定
・退職給付にかかる調整額
その他の包括利益累計額
連結財務諸表において包括利益の表示が導入されたことにより、個別財務諸表では評価・換算差額等として表示されている項目が、連結会社区外商標や連結株主資本等変動計画書ではその他の包括利益累計額として表示されます。
連結包括利益計算書の表示
包括利益を表示する計算書は、2計算書方式と1計算書方式のいずれかを選択することができます。
2計算書方式
2計算書方式とは、当期純利益を表示する損益計算書と、包括利益を表示する包括利益計算書を別々にルくる方式です。
2計算書方式では、連結損益計算書と連結包括利益計算書が作成されます。
1計算書方式
1計算書方式とは、1つの計算書で当期純利益と包括利益を表示する方式です。
1計算書方式に基づいて作成される計算書を、連結損益及び包括利益計算書と言います。
原則表示と容認表示
その他の包括利益は、原則として税効果控除後の金額で表示しますが、、税効果控除前の金額で表示し、税効果会計による控除額を一括して下限する方式で記載することも認められています。
包括利益の内訳の付記
連結財務諸表で包括利益を開示する場合、包括利益のうち親会社株主にかかる金額と非支配株主にかかる金額を付記します。
親会社株主に係る包括利益とは、連結損益計算書の親会社株主に帰属する当期純利益と、親会社の持分い相当するその他の包括利益の合計です。
親会社の持分い相当するその他の包括利益は、期首と期末の連結会社区外商標に計上されたその他の包括利益累計額の差額にあたります。
非支配株主に係る包括利益とは、連結村ネキ計算書の非支配株主に帰属する当期純利益と、非支配株主の持分に相当するその他の包括利益の合計です。
非支配株主の持分に相当するその他の包括利益は、連結貸借対照表上では非支配株主持分に含まれています。
組替調整額
組替調整額とは、当期純利益を構成する項目のうち、当期または過去の期間にその他の包括利益に含まれていた部分のことです。
既に、包括利益として計上された部分がのちに当期順位歴として計上されると二重に包括利益を計上することになります。
そこで、組替調整(理サイクリング)を行い、その他の包括利益を調整することで、包括利益の二重計上を防止します。
組替調整額は、過去または当期のその他の包括利益に含まれていた部分の純額がプラスの場合は減産調整し、マイナスの場合は加算調整します。
組替調整額の注記
組替調整額は、その他の包括利益の内訳項目ごとに注記します。
その他の包括利益の内訳を項目ごとに表示し、税効果額をまとめて下限する方法ののかに、その他の包括0期の内訳項目ごとに税効果額を表示する方法もあります。
まとめ
株式投資や経営において、決算書の理解は必須になります。
その際、簿記の知識も生かして更に理解を深めましょう。
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