今回は、「証券分析/ベンジャミン・グレアム+デビッド・L・ドッド著」の本の学びを共有します。
証券分析を読もうと思ったきっかけ
私が証券分析を読もうと思ったきっかけは、世界一の投資家のウォーレンバフェットさんの恩師であるベンジャミングレアムさんの書いた本だったからです。
たまにバフェットさんの本にも証券分析の本の名前が出てきます。
そのためこれは歴史ある投資の本として必ず読みたいリストに入っていました。
最後のまとめの欄で感想を述べているのですが、こちらでもあらかじめ先に感想の結論を述べると、
この本は投資界で最も読みにくい内容の本だと私は思いました。
なぜなら、データからの分析が多く、スラスラ読めるものではなく頭を使いながら理解して読む本だからです。
これは私が債権に関する投資をしていないそしてする気がないこともあるかもしれません。
しかし債権などに投資をしたい方はピッタリです。
また、長年愛されてきたデータ分析(つまり歴史が長い)のため、読んでおくことを勧めます。
本のあらすじ
訳者前書き
前書き
序文
第1部 証券分析とそのアプローチ
第1章 証券分析の役割と本質的価値
第2章 証券分析の数量的要因と質的要因
第3章 情報源
第4章 投資と投機
第5章 証券の分類
第2部 確定利付き証券
第6章 確定利付き証券の選択
第7章 確定利付き証券の選択(続)
第8章 債券投資の基準
第9章 債券投資の基準(続)
第10章 債券投資の基準(続)
第11章 債券投資の基準(完)
第12章 鉄道債と公益事業債の分析
第13章 債券分析のその他の要因
第14章 優先株の理論
第15章 投資的確な優先株
第16章 収益社債と保証証券
第17章 保証証券(続)
第18章 保護条約と証券保有者の救済策
第19章 保護条項(続)
第20章 優先株の保護条項
第21章 保有証券の管理
第3部 投機的な性質を持つ上位証券
第22章 割安な上位証券と特権付き証券
第23章 特権付き上位証券のテクニカルな特徴
第24章 転換証券のテクニカルな特徴
第25章 ワラント付き証券と参加的証券
第26章 投機的な上位証券
第4部 普通株の投資理論
第27章 普通株の投資
第28章 普通株の投資基準
第29章 普通株の分析ー配当
第30章 株式配当
第5部 損益計算書の分析と普通株の評価
第31章 損益計算書の分析
第32章 損益計算書の特別損失
第33章 損益計算書の数字の操作
第34章 減価償却費と収益力
第35章 投資家から見た減価償却費
第36章 その他のさまざまな償却費
第37章 過去の決算数字
第38章 不確実な過去の業績
第39章 普通株の株価収益率
第40章 資本構成
第41章 低位の普通株
第6部 バランスシートの分析ー資産価値の意味合い
第42章 バランスシートの分析ー帳簿価格の重要性
第43章 流動資産価値の重要性
第44章 精算価値の意味合いー株主と経営陣の関係
第45章 バランスシートの分析(まとめ)
第7部 証券分析の補足的要素ー価格と価値の矛盾
第46章 株式オプション・ワラント
第47章 資金調達と経営のコスト
第48章 企業財務におけるピラミッティングについて
第49章 同一業種に属する企業の比較分析
第50章 価格と価値の矛盾
第51章 価格と価値の矛盾(続)
第52章 マーケット分析と証券分析
参考資料
学びになった文章ピックアップ
学びとなった文章をピックアップしました。
学びになった文章その1
価格と価値の最も分かりやすい矛盾は、周期的に訪れるにわか景気と不景気によって生じる矛盾だ。
強気相場では株価が必要以上に高く、弱気相場では必要以上に安くなるというのは、自明の理だ。
なぜならこれは実のところ、「株価のいかなる上昇にも下落にも必ず限界があり、その限界(あるいはその他のレベル)で株価が永遠にとどまることはあり得ないので、後から見れば株価が過剰に上昇あるいは下落していたということになる」と言っていることと同じだからである。
株価が永遠に一定ということはあり得ないということですね。
上がり続けることもないし下げ続けることもない。そして後からそれが高値だったか安値だったかがわかるということですね。
これは誰もが頭の中で理解できていたとしても、直面するとその通りにできないことを表しています。
上昇相場であればこのまま価格が上昇し続けるように思えるし、下落相場であればそのままどこまでも下落していってしまうのではないかと思うことはありますよね。
そんなことはないのですが、その都度冷静に判断していく大切さについて、この文章から読み取りました。
学びになった文章その2
チャートを研究すれば、ある銘柄のテクニカルポジションについて多くのことを知り得るかもしれないが、だからといって、その株の売買によって利益を上げられるのに十分な情報を得られるとは言い切れないからだ。
相場のチャートは、競馬ファンたちによって根気強く研究され続けている「過去のレース結果」とよく似ている。
こうしたチャートが競走馬の優劣について大きな情報を提供してくれることは間違いない。
チャート研究によってレース予測が当たることは多々あるとしても、問題なのはそれが、競馬でお金を賭けてほぼコンスタントに利益を出せるほどの、有益な情報の供給源にはならないということである。
証券分析のほうにもこれと類似した面がある。
企業の過去の収益は、その将来収益をはかる目安として「有益」ではあっても「絶対確実」ではない。
よって、証券分析もマーケット分析も、将来については不確実なデータを扱うという点において同類である。
われわれが指摘したい両者の違いは、マーケット分析では否定されている安全余裕率によって、証券分析では自らを守ることができるという点である。
これは、相場のチャートは過去の結果であり、投資対象の優劣に関する情報ではないということです。
つまりチャートにより過去はわかるが、その投資対象の良さも今後もわからないよねということです。
この過去に関しては、有益ではあっても絶対確実ではないという点で不確実であると述べています。
この否定から、グレアムさんは、安全余裕率によって自身を守ることができると強調しています。
この本に詳細が記載されていますが、安全余裕率は価値と価格の差のことです。
この差が大きければ大きいほど買い時だということが書かれています。
投資に絶対はないが、より確実性の高い分析方法を常に見出していることが分かります。
特に購入時は、この安全余裕りつの価値と価格の差をしっかり見極めることができる分析力が必要になりますね。
私も投資対象の購入時には価格と価値の差をより見極めようと改めて思う素晴らしいきっかけとなりました。
学びになった文章その3
チャートリーディングが科学たり得ないというのは、明白に証明することができる。
もしそれが科学だとすれば、それによる結論は原則として信頼できるものだということになる。
仮にそうだとすれば、明日や来週の価格変化をだれもが予測し得るということであり、つまり、正しいタイミングで売買すれば全員が継続的に利益を得られるということになる。
これは絶対にあり得ない。
ちょっと考えれば分かることだが、人間が作りだす経済上の成り行きを科学的に予測するなど無理に決まっている。
そのような予測の「信頼性」そのものが、人間の行動を引き起こすもととなり、それによって信頼性は無価値になるからだ。
ゆえに、継続的成功は、優れたメソッドをごく少数の人間以外には教えないことにかかっていると、思慮深いチャーチストは認めている。
これは、経済を科学的に予測することは不可能だということです。
なぜなら科学は方式があって絶対だから、誰でも利益を出せるようになるということを意味しているからです。
そして市場は常に人々の売買が繰り返されているだけのため、誰もが利益を出せることは絶対にありません。
損失が出た人の分だけ利益を出せる人がいる原理だからです。
そのため継続して成功できるコツを少数の人にとどめておくことで利益を出し続けることができるのだと述べています。
これは真髄ですね。
大半の人が利益を出せるようになったとしたら微益になるし、利益を出している人数が少ない時にその人たちの利益が大きくなります。
マーケットの真理ですね。
だからこそ科学的に証明できる理論というものは存在しないということを述べています。
このように、この本では、データに基づいて理論的に記載されています。
ここでピックアップさせていただいた文章はまだ読みやすいですが、この他はデータがぎっしりで根拠付けた本になっています。
そのため信憑性はあります。
感想・まとめ
全てデータに基づいて理論的に分析されており、読んでいて、本というより研究論文のように感じました。
研究論文です。
そのため気軽にサクッと読めるというよりは頭をフル回転させてデータを読み解きながら理解するという読み方になります。
読む側も結構頭を使います。
私的には、この証券分析は、投資の本の中では最も読みにくい(内容重視のため読みやすさに重点をおいていないのだと思う)本でした。
ここまでスラスラ読めずに考えながら読む本はあまりありません。
私自身もまだ全て理解できたわけではないため、また数年後に読みます。
そしてジャンルが債権も多いため、その分野で投資をしていないと尚更理解に時間を要します。
私もスラスラこの本を読めるように数年後までに鍛え上げます。
こちらのAmazonリンクでも読むことができます。
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