今回は、「ヒューリスティック」について解説します。
ヒューリスティックとは
ヒューリスティックとは、主観確率におけて、確率論を遵守する計算ではなく、計算結果に近い近侍解を推定する思考の勘弁方略です。
つまり確率判断の非合理性です。
意思決定とは効用と不確実性の評価を組み合わせた帰結です。
確率の評価つまり主観確率が確率論の規範から逸脱する現象を概観します。
確率判断のヒューリスティクスは、「代表性ヒューリスティック」「利用可能性ヒューリスティック」という種類があります。
それぞれ説明していきます。
代表性ヒューリスティックとは
代表性ヒューリスティックとは、確率の判断において、判断対象と同種の著名な事例や、対象の属するカテゴリーのステレオタイプなどの典型例を比較して、両者の類似性の強さを確率の強さに代替えする判断方略です。
典型と類似性ヒューリスティックともいいます。
カーネマン氏らの被験は、子供が6人いて長子から末子までの順番が、男男男女女女である家庭と、女男男女男女では後者を観察する見込みを判断しました。
一人一人の性別はランダムに決まるため確率は同じなのですが、無秩序さの印象が強い後者が、ランダム性のよりよい代表(典型的なランダム性)であるため、起こりやすいと判断するのです。
確率論の分野で古くから知られるのは、「賭博者の錯誤」という判断傾向で、これはランダム性に従う事象が連続して起こるとき、事象はランダム性を反映する自己修正を示すという思い込みです。
コイントスを続けて行い、4回連続して表が出た次のトスについて、ランダム性の表れは半々だから次回は裏が出る番だと期待しがちです。
しかしコインは記憶装置を持たないため、次回のトスを行う際に直前の結果がどうであろうと、トス履歴の影響を受けることはありません。
イタリア国内のナンバーズクジ大量購入は、正しく賭博者の誤謬による意思決定であり、代表性ヒューリスティックによる判断の例です。
この例が賢明と呼べない理由は、全財産の運用を誤謬に託した判断でした。
利用可能性ヒューリスティックとは
利用可能性ヒューリスティックとは、具体例を想起しやすい出来事の確率を高く判断するヒューリスティックです。
rで始まる英単語と、rが3文字目にある英単語ではどちらが多いか?という質問には前者という回答が多いが、現実には後者が3倍多いです。
リスクの認知では、航空事故は、自転車事故よりも頻繁に起こるという有名な誤解があります。
事故統計では、空港期じこの生起数の方がはるかに少ないのですが、ニュース報道などで事故を知らされる回数は、航空機の方が多いのです。
飛行機が落下する部品による場合とサメに襲われる場合、どちらで命を落とす確率が高いか?という質問では、多くの回答者はサメを選びますが、死亡統計では航空機部品の事例が多いです。
人間のリスク判断は、実際の生起頻度よりもマスメディアの報道量との相関が高いのです。
投資に応用すると・まとめ
代表性ヒューリスティックに関しては、本当にその通りですね。
コイントスに関しては、常に表と裏の出る確率が2分の1ずつなのに、
表表表裏裏裏と出るより、表裏裏表裏表とランダムに出そうな気がしてしまいます。
つまり、その都度2分の1の確率なのに、確率判断における非合理性が働き、後者の方ような結果になりそうな気がしてしまうということです。
これは私自身もハッとしました。
もしかしたら日常生活でも投資でも、このように非合理的に考えてしまっているかもしれません。
そのため、これらの心理が働きやすいということを念頭において、確率に関して見誤ることのないようにしましょう。
また、利用可能性ヒューリスティックに関しては、生起の頻度が低くても、メディアなどで報道されている量が多いと、確率が高いように感じてしまうということも覚えておきましょう。
そのため、本来の生起の確率はどの程度なのかデータに基づいて調べたり、メディア報道に惑わされない本質を見る目を養いましょう。
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