今回は、映画・アニメ「ベルサイユのばら」の考察を述べていきます。
※ネタバレあり
映画・アニメ全話視聴 完

私は、初めてベルサイユのばらを映画で観ました。
有名な作品でしたが、意外と観たことがなかったのです。
しかし2025年の映画を機に、アニメまで全話観ました。
映画で「フランスの歴史についても学べるし、これは内容が深そうだなあ」と思って、アニメも全話観たくなったのです。

映画・アニメの考察
映画とアニメの違い
映画とアニメの違いは下記でした。
アニメの方が先にできているため、アニメ→映画の順で違いを説明していきます。
アンドレが美化されている
アニメでは、アンドレの死は「思わぬ敵の遭遇で、オスカルを狙った銃がたまたまアンドレに当たって亡くなった」という形でした。
→しかし映画では、アンドレはオスカルを守る形で亡くなっていました。(オスカルに当たるはずの球を、アンドレが身代わりになって亡くなった)
アンドレが美化されている箇所は他にもあります。
アニメでは、アンドレは「オスカルが好きだから服を破いて無理やり襲う」というシーンがありました。(最低。)
→しかし映画では、コンプラのためかそのシーンは描かれておらず、中々ソフトになっていました。
・・・全ては、オスカルとアンドレを美化させて感動シーンを増やすことが目的でしょう。
王は国民の税金を浪費し続けるし戦争チックな内容だし、批判だらけになってしまうから、せめて空想人物のオスカルとアンドレだけでも美化させないと感動シーンがなくなってしまうのでしょうね。
映画の方が時間が短いから、複数のキャラクターが削除されている
アニメでは、デュバリー夫人やロザリーやジャンヌバロアもかなり登場シーンが多いですが、
映画では時間の関係か登場すらしていませんでした。
なので映画は、アニメの時短バージョン(あらすじのようなもの)なのだと感じました。
どうやったら皆幸せになったのか?考察
映画やアニメでは、メインキャラクターほとんどの人が亡くなるし、終焉はかなり残酷でした。
フランス革命の真っ只中でほぼ国内戦争のようなものなので仕方ないのかもしれませんね。
皆それぞれ大変そうで不幸そうに描かれているので、皆どうやったら幸せになったのだろうか・・・?と真剣に考えてみました。
キャラクターごとに推測していきます。
オスカル
主人公
オスカルは類稀なる人格者です。
しかし残念ながら、空想人物なのです。(物語にする上で感動シーンが必要だったとみた。)
オスカルが実在したら、絶対に歴史の教科書に載っていたでしょうね。
というほどの偉人です。
女性なのに、男性として育てられた
オスカルの簡単なプロフィールから
オスカルは、将軍の家(貴族)に生まれ、女性なのに男性として育てられました。
当時は嫌がったりしていましたが、覚悟を持って男性として生きていきます。
しかしそこでの葛藤や覚悟がまたかっこいいし見所です。
オスカルは、どうやったら幸せになった?
まず、オスカルは貴族の将軍の家に生まれ、男の子しか望まれていなかったため男性として育てられました。
父親がこのように強制したのですが、この無理強いがなければオスカルは謎に男として生きずに済んだし、自由に生きれたでしょうね。
貴族のお家に生まれて何不自由なく幸せに生きれた可能性が高いです。
男性として育てられた後での世界線で、どうやったら幸せになったのかを考えると・・・
オスカルは志が高く、正義感と責任感と愛に溢れているタイプなので、意外と自由に自分の意志で決めることができていると考えられます。
フェルゼンのことが好きだった時に「なぜ自分は男として育ってしまったのか」と葛藤していました。
しかしどちらにせよフェルゼンはマリーアントワネットに一途だったので叶わなかったのですね。
最終的にはアンドレと結ばれるのですが、アンドレの好感度に気付けてオスカルも両思いだったので幸せだったのではないでしょうか?
最後は革命中に射撃されて亡くなってしまいましたが、オスカルは男性として育てられたこと以外は意外と幸せな人生だったと考えています。
視聴者からしたら、この人格で生きていてくれて本当にありがとうですよね。(実在しないけども。感動をありがとう)
アンドレ
アンドレは、庶民に生まれてオスカルの召使をしている立場です。
アンドレは、どうやったら幸せになった?
アンドレは庶民として生まれて、貴族のオスカルのことが好きだったから結婚はできないという葛藤がありましたが、それ以外はかなり幸せだったのではないかと考えています。
なぜなら
身分差はあったとしても、立場的にオスカルとずっと一緒に居れるポジションにいたのでラッキー人物なのです。
オスカルに酷いことをした後でも、立場的にずっと一緒にいれるという特権を発揮していました。
なので立場に救われたキャラクターだと考えています。
アンドレはオスカル思いで優しい部分もありますが、
個人的にはオスカルにあんな酷いことをしたので好きではないです。本当に優しかったら、服を破くとかあんな酷いこと一瞬でもできませんから。
アンドレは映画では美化されていて皆から好印象を持たれているキャラだと思いますが、アニメの方を見ると超好感度が落ちます。
アンドレは映画ではオスカルを守って身代わりになって亡くなるのですが、アニメではたまたまオスカルの避けた球が当たってしまった亡くなりかたなので、最も美化された人物でもあります。
マリーアントワネット
オーストリアの貿易のために政略結婚した人

マリーアントワネットは、オーストリアのプリンセスでした。
しかしフランスとの貿易のためにフランスの類16世の時に結婚したのです。
まだ10代の頃(結婚当時は14歳)だったので、これはほぼ人身売買のようなものだと感じました。
なぜなら
マリーアントワネットもルイ16世と結婚したくてしているなら分かるけど、実情は下記だったからです。
マリーアントワネットは最初からルイ16世のことは好きではなくむしろ違和感で、フェルゼンと一生両思いだった【マリーアントワネットとフェルゼンの経緯】
結婚前:お嫁に行きたくないと逃亡する
初対面:ルイ16世に対して「こんなもんなの?なんか違う・・・」と違和感を持つ
結婚直後:「窮屈で耐えられない」とお忍びで城を抜け出す機会が増える
結婚数年後:ルイ16世に対して「鍵穴ばっかり作って、わたくしには一切かまってくれない!これが本当に結婚なの?」と怒る
さらに数年後:フェルゼンと両思いになる(マリーアントワネットの初恋)
さらに数年後:フェルゼンとの仲が噂で広まり、フェルゼンの身が危うくなったので彼は帰国(絶縁)
フェルゼン帰国後:マリーアントワネットはその後もずっと一生好きだった+フェルゼンとのお別れによりギャンブルにハマる
4年後:フェルゼンがフランスに立ち寄り、再開→変わらず2人はずっと両思い+フェルゼンはお見合いを全て断り、マリーアントワネットが好きだから生涯結婚しなかった→フェルゼンは再度身を案じてアメリカの戦争へ旅立つ
その後:フェルゼン旅立ち後、マリーアントワネットの浪費が更に加速
数年後:マリーアントワネットとルイ16世の間に3人の子ども誕生
誕生後:マリーアントワネットは16世をベルサイユ宮殿に置いて、離宮で子どもと暮らし始める(政治も放棄)
数年後:ルイ16世にフェルゼンとの不倫が知られる
→マリーアントワネットは正直に「私はルイ16世のことは人として尊敬していますが、好きとかではありません。 私はフェルゼンを愛しています。この先もずっと」と泣きながら謝る(しかし隠すことなく正直に別の人が好きだと伝える)
→ルイ16世「私は太っているし鍵穴ばかり作っているから君を幸せにできていないごめんね。でも私はあなたが好きだからこの先もずっと一緒に居てほしい」と和解。(ルイ16世は諦めてマリーアントワネットを手放してあげればよかったのに、それをしなかった)
・・・・最期、ルイ16世とマリーアントワネットは処刑されてしまいます。
マリーアントワネットはこういう人生でした。
ちなみに
マリーアントワネットはお気に入りの人をおそばに置く習性があったため、子どもができた瞬間子どもと離宮に行ったけど王とは別居だったので
この点からもマリーアントワネットは王と一緒にいたくなかったと読み取れます。(分かりやすいほどお気に入りの人を近くに置く人だからこそ)
マリーアントワネットは、どうやったら幸せになった?
「パンがなければケーキを食べればいいじゃない」という傲慢キャラのマリーアントワネットは暴君だと思われています。実際そうです。
しかし背景を知ると、誰よりも不幸だよな・・・と思います。
まず10代から人身売買のように国代表として政略結婚させられ、好きでもない人と一生一緒に住むことを強いられ、他に好きな人がいて両思いだったのに一生叶わないという立場です。
真実を知ると、マリーアントワネットがギャンブルや浪費に走ってしまったのも少し理由が分かるはずです。もちろんハマったのは本人の弱さであり本人の責任ですが、10代から政略結婚だったらもうお金しか楽しみがなくなってしまうのかもなあ・・・とも思いました。
マリーアントワネットが1番の犠牲者(生贄)であり、最も不自由な人生だったと考えられます。
自由とは幸せなので、その点マリーアントワネットが最もこの中で不幸だったと考えました。
マリーアントワネットは、どうなったら幸せだったのかと真剣に考えると
マリーアントワネットの個性をまず読み取ります。
・自由奔放
・感情型の人間
・自分の好きなことをして生きるタイプ
・型にはまったことが嫌い
・自分の気持ちに正直
かなり感情で生きているタイプなので、政略結婚がなく王族でもなく自由恋愛でフェルゼンと一生暮らしているのが幸せだったのではないかなと思います。
しかもマリーアントワネットにとっては、フェルゼンに対しては一時的でなく、まさに一生に一度の恋で「初恋でありずっと唯一好きだった人」だったのです。
ここで結構誰でも良いのであれば話は変わるのですが、これだけ一途だからこそ政略結婚でなく自由結婚の方が幸せだった人だと考えられます。
しかもフェルゼンもずっと両思いで、フェルゼンは全てのお見合いを断り一生結婚しない(マリーアントワネットのために)と貫いていたので尚更ですね。
・・・ちょっと悲しすぎますね(号泣)
マリーアントワネットは市民のために考えるタイプでもなく自由に生きているタイプなので、王族でない方が本当に幸せだったのでしょうね。
最も王族に向いていない人間がたまたま王族に生まれてしまったという悲劇にも捉えられます。
オスカルみたいな人格が王族になっていたらピッタリだったのですが、ここでは生まれの身分制度が最重要の時代だったので全員が辛かったのかもしれませんね。
ルイ16世
ルイ14世の時にベルサイユ宮殿ができ、その時の王が浪費家だったためルイ16世の時代ではかなり財政難です。
その時期の王をしていたのがルイ16世です。
ルイ16世は、どうやったら幸せになっていた?
ルイ16世は、鍵穴を作るオタクでした。
ずーっと鍵穴を作ったり本を読んだりしている王でした。
映画とアニメを見る限り、本当に何も考えていなそうなタイプです。
しかしルイ16世は、マリーアントワネットの初対面の時からマリーアントワネットが好きでした。(マリーアントワネットとは逆で)
本来、一般庶民だったとしたらルイ16世はマリーアントワネットに速攻振られていたでしょう。
しかし王族の国同士の政略結婚により離婚しづらいので、ルイ16世はこの立場だったからこそ離婚されずに済んだのです。
だから、この中で最も幸せなのはルイ16世だと私は思っています。
なぜなら、王族でもなければ絶対に一緒にいることのできなかったマリーアントワネットと生涯ずっと一緒に居れたのですから。
最も職権濫用しています。笑
しかもマリーアントワネットに「別の人を愛しています。」と泣きながら打ち明けられた時も
マリーアントワネットを手放さずに(ここは工夫次第でできたのにそれもしなかった)、「僕は太っているし鍵穴ばかり作っているけどけどごめんね。でも一緒にいてね」と恵まれた立場にいます。
・・・私はこれに物申したくて、
僕は太っているしごめんねって言うくらいなら、10代から太っていたのだから40年間のうちのどこかで痩せれば良いのに!!!と思います。
だから「僕は変える努力をしないけどごめんね。受け入れてね」と言っているようにも聞こえてきます。
ルイ16世は本当に何も考えていないのか、考えた上での戦略なのか・・・・
不明すぎます。
しかしこの時代に最も恵まれたラッキーな人間だと個人的には思っています。(マリーアントワネットに不倫されたけど、本来だったら最初から結婚すらできていないという点で。もちろん不倫はマリーアントワネットがいけないですが、生贄のようなものなのでシステム自体も悲しいものですね。)
でも、誰かはルイ16世の妻という犠牲者にならなければならなかったので、お金大好きな女性が選ばレレば皆幸せになったのではないかな、に尽きます。
フェルゼン
私的には、このフェルゼンが実在していたということが最も意外でした。
しかもフェルゼンは、上記でも述べたようにマリーアントワネットのことが一生好きでお見合いを全部断っていたくらいですから、彼も彼で可哀想だなあと思いました。
フェルゼンは、どうやったら幸せになっていた?
フェルゼンは、マリーアントワネットが王族にさえ生まれていなかったら一生幸せに暮らせていたと考えられます。
しかしルイ16世が手放さなかったので、もしルイ16世がマリーアントワネットを手放していたらハッピーエンドになっていたでしょうね。
なんかもう王が原因すぎて残念になってきました。
フランス市民
フランス市民は、王や貴族の浪費からどんどん貧困になっていき、その皺寄せを受けていました。
フランス市民は、どうやったら幸せになっていた?
フランス市民が貧困になったのは主に王の浪費なので、ルイ14世の時期から王が浪費していなかったらこんなに苦しくありませんでした。
追い討ちでマリーアントワネットが浪費しまくったので、解決策は下記だと思いました。
・マリーアントワネットを16世が手放していれば良かった(そしたらマリーアントワネット自身も幸せだし、ストレスによる浪費がこんなに続くこともなかった)
・身分制度の廃止
・王族選定の改善(選挙などにより決める制度)
幸い、現代なこのように改善されていますね。
誰かが得をしていると誰かが損をするのがこの世の常なのかもしれませんね。
平等で幸せに平和に過ごせるのが1番素敵だなと思います。
その他の人物から学べること
この時代の女性の昇進(稼ぎ)は、結婚しかないことが不自由
映画では出てきていないデュバリー夫人は、庶民から王の妃ポジションに成り上がったのが強いなと思いました。
彼女は野心が強いので、現代に生まれていたら起業家とかになっていたのでしょうね。
この時代の女性は、結婚することでしか身分を変えられないのでとても不自由だなと思いました。
生きにくすぎて、現代に生まれて本当に良かったと思いました。
身分制度による弊害
身分制度による弊害で、傲慢な親が「自分の身分を上げるために子どもを政略結婚させる」という方法で下克上していました。
アニメでは下記例が出されていました。
親が自分の身分を上げたいと思う
↓
11歳の女の子が、貴族の42歳の妖怪みたいなおじさんと政略結婚させられる
↓
女の子はノイローゼになり、自害してしまった
なんという地獄・・・・
子どもに人権がありませんね・・・
身分制度の時代だと、人身売買のようなことは容易に起こるのだなあと学びました。
自由とは幸せだと再確認
自由とは、幸せですね。
幸せとは、自由ですね。
マリーアントワネットは自由を奪われた結果、ギャンブルなどの浪費に走ったので、浪費とは心の痛みなのかもしれませんね。とも思ってきました。
お金があってもマリーアントワネットは幸せだったのかと言われたら超疑問ですね。
私なら絶対に嫌です。
何兆円もらっとしても王と政略結婚はしたくないので、本当に辛いだろうなあと思います。
現代はとても自由になったので、この自由に感謝しかありません。ありがとうございます。
真実は背景まで理解しないと分からない
マリーアントワネットは、「パンがないならケーキを食べたらいい」で、湯水のように市民の税金を浪費したやばい女王とされていますね。
実際、そういう面もあったためそれは間違いではないです。
しかしマリーアントワネットの人生背景を知ると、一概に責められないなとも思いました。
マリーアントワネットでなくても、誰かはこのポジションをやらなければならなかったのですから。
だから、誰かを思考停止で批判するのではなく、その人の背景までよく理解するようにしようとなお思いました。
人って、表に出ている情報だけじゃ分からなかったりしますよね。
そういう背景まで理解できる人間でありたいしなりたいです。
まとめ
現代は身分制度がないので、本当に生きやすいなと思いました。
身分制度をなくしてくれた過去の人々に本当に感謝です。号泣
ベルサイユのばらからはフランスの歴史も学べてとてもお勉強になります。
おすすめです。
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