今回は、その時の景気に応じた経済指標を見る重要性について説明していきます。
景気に応じた経済指標を見る重要性
経済指標は数多くありますが、どれも常に材料視されるわけではありません。
基本的に星3つ以上の経済指標は、チャートの値動きを変化させますが、それ以外はあまり影響力はありません。
また、景気のタイミングによって、注目する指標が変わります。
2020年のコロナショックの時では、経済指標がチャートを大きく変化させました。
それがこちらのチャートです。
2020年3月のローソク足をご覧ください。
1か月に、112円付近から101.182円まで暴落しています。
このように、テクニカル分析だけでなく、経済の状況をファンダメンタルズで分析することは、経済崩壊時で特にとても重要になってきます。
景気の状況によって見る指標
【 景気が下がり切り、上昇に転換する時 】
~中央銀行の対応~
景気回復が確認され始めると、次第に全体的な資金余り状態が起こりやすくなります。
それを引き締めるために、中央銀行が金融引き締め=利上げに踏み切ると、景気は上昇トレンドへと判断できます。
~先行指標~
鉱工業生産の増加
まずは、産業が上昇しているかということに注目します。
企業が増加すると、賃金や雇用の形になって個人に波及していくという見方から、まずは企業景気に注目しましょう。
その代表的指数が「鉱工業生産指数」等です。(詳細 ⇒ 【 鉱工業生産指数 】FX経済指標で重要)
住宅関連指標の増加
景気が停滞すると、各国中銀は金利を引き下げるため、ローンを組みやすくなります。
「そろそろ金利が下げ止まる可能性がある」という観測が広がると、「金利が上がる前に買おう」と住宅ローンの申請ち住宅購買が増加します。
こうした流れから、「新規住宅着工件数」等の住宅関連指標の底値からの上昇確認は、経済回復の先行指標の1つとして注目できます。
機械受注統計の増加
特に日本で顕著な要因です。
機械受注統計は、鉱工業生産と同様に企業の経済活動を示す指標の1つで、設備投資のを示しています。
企業の設備投資が活発化すると、景気回復の兆しという判断になるため、株式市場において非常に注目度が高い指標です。
株式市場の動向が活発になるとリスク指向の資金も活発になるという判断になります。
その資金が為替相場にも向かうという意味です。
また、この指標は予想値と発表値のブレが大きい(つまり予想値が大幅に外れやすい)のが特徴です。
良いと思っていたら悪かったと言うことや、その逆もしかりで、一喜一憂されやすいため、予想値をもとにポジションを持つことは禁物です。
CPI
中央銀行の金融政策の方向性を見る上では、インフレ率を確認します。
各国のTっ勇往銀行全てがインフレターゲットを採用しているわけではありませんが、目安としてインフレ率が2%前後だと良好な水準です。
代表的な指標はCPIです。
インフレ率が、これ以上に上昇すると、中央銀行は利上げする傾向があります。
それ以降は、インフレ率上昇→利上げで引き締め→インフレ率下落、という動きがしばらく続きます。
~遅行指標~
小売売上高の増加
企業の経済活動・生産活動が活発化すると、それは個人の生活水準に波及し、世界的に資金の循環が良好になります。
個人の消費が活発になってくると、経済上昇がきていると判断できるため、小売売上高は景気回復の重要な遅行指標です。
雇用関連指標の増加
小売売上高に伴い企業は景気が良くなると人を増やす傾向があるため、雇用は必然的に増加します。
ただし、従業員を増やすということは固定費がかかるうえに、消滅しづらいことから、企業が雇用に力を入れるのは、景気回復を確信してからという見方が強いため、遅行指標となります。
代表的な指標が「雇用統計」です。(詳細 ⇒ 【 雇用統計 】表で解説!FX経済指標で最重要)
しかしここで注意点は、コロナショックからAIや機械が益々発展し、企業は雇用人数を減らすようになってきました。
なぜなら、AIや機械は初期費用が高いですが固定費がかからないのに対し、雇用の場合、人災やヒューマンエラーが発生し、固定費がかかるうえに解雇しづらいからです。
そのため、企業は売上高が伸びても雇用を増やさずむしろ減らしているということを覚えておきましょう。
そうなると、雇用統計は経済指標として重要度が下がってくるでしょう。
【 景気が良好な時 】
~中央銀行の対応~
景気の上昇トレンドがある程度高水準で推移し始めると、中央銀行は原則として金利をそのままにしてインフレ率を変化させる可能性があります。
【 景気が上昇し切り、転換して下降する時 】
~中央銀行の対応~
景気減速は急速です。
市場の資金飽和状態は急速に逆転し、それまでの引き締め策は経済活動を苦しめることになります。
このような状態になると、金融緩和で金利を引き下げ、市場にお金が流通しやすくなるようにします。
~先行指標~
鉱工業生産の減少
鉱工業生産が減少し始めたら、企業の生産活動が落ち始めているという兆候です。
今後景気が悪化するのではいかという判断になります。
~遅行指標~
小売売上高
景気への反応は企業に続いて個人の消費も徐々に減少し始めます。
景気が悪化すると、手元にお金を残して今後に備えるようになるため、小売売上高などにその影響が顕著に表れます。
雇用関連指標の減少
景気減速は、企業の採用を控えさせます。
失業率の悪化や雇用の減少が見られるようになると、景気は後退へ向かっていると判断できます。
FXでのポイント
基本は、景気上昇なら通貨は「買い」で、景気後退なら通貨は「売り」です。
現在は好景気か不景気かということを踏まえるだけでも、数多い指標の中からまず押さえておきたい指標が浮かび上がります。
経済の動向を把握しながら、確認する指標を見極めましょう。
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