今回は、3大経済指標であるGDP(国内総生産)について説明します。
ちなみに、
3大経済指標……「GDP」「雇用統計」「CPI」
です。
1.GDPとは
2.実質GDP、名目GDP、経済成長率
3.3種類のGDP
4.GDP発表前後の動き
5.GDP要チェックの8か国
前記事⇒Vol.12 FX記録方法
GDPとは
GDPとは、
国内でどれだけ経済活動が行われたか
(国内で生産された物やサービス等を合計したもの)
を示しています。
※これには、国内企業が海外で生産した物などは含まれていません。(逆に、外資系企業であっても日本国内で生産した物は、GDPに含まれます。)
つまりGDPが示すのは、その国が国内でどれだけ経済を活発に動かしたかということです。
FXに限らず投資全般において、経済指標の中でも首位にくるのが、GDP(国内総生産)です。
GDPは、その国の経済規模を示すだけでなく、その変化率によって未来への可能性までも浮き彫りにします。
ちなみに、国内に限らず海外での生産額も含んだ指標はGNP(国民総生産)です。
またこの経済指標は、国際連合が定めるSNAというマニュアルに従って、参考となる経済指標から推計し算出された数字が発表されます。
各国が共通の基準に従って算出した数値であるため、他国との比較がしやすい、ということも重視される大きな要因となっています。
実質GDP、名目GDP、経済成長率
GDPは、様々な種類があります。
押さえておきたいのは次の3つです。
「実質GDP」、「名目GDP」、「経済成長率」
です。
GDPを算出する際には、物価の変動が大きく影響します。
私達は消費者としても、その変動を日常生活において常に感じているわけですが、当然、企業の経済活動にとっても、これらは原材料価格から商品価格にまで影響します。
実質GDP……物価の変動の影響を排除して推計したGDP
名目GDP……物価変動の影響を排除せずに算出したGDP
経済成長率……その国の経済規模率(GDPの伸び率)
経済成長率の詳細は ⇒ その国の経済規模が1年間でどれほど拡大したかを測る尺度になります。
労働力や資本ストックなどの生産要素から一国の供給能力を測ったもので、毎月発表する国から、四半期ごとに発表する国まで、数値化する機関は国によって大きく異なります。
GDPは速報値をチェック
3種類のGDP
GDPには、同じGDPなのに3種類の数値が存在します。
GDPには「実質GDP」と「名目GDP」「経済成長率」がありますが、それぞれにもさらに3種類の数値が存在します。
それが
「速報値」「改定値」「確報値」
です。
速報値
GDP推計の第一発表。GDP予想値。その後に修正される可能性が大いにある数値。いち早くその期間の動向を知る手がかり。
最も注目度が高い。
確報値
最終的なGDPの決定打。「前期分についての修正」「速報値からどの程度上下に修正されたか」「予想値に対し結果はどの程度の乖離があったか」が注目。
2番目に注目度が高い。
改定値
途中報告。速報値と確報値の間で発表される。
速報値から大きく数値が異ならない限り、材料視されることは少ない。
表でまとめ
第1四半期 | 4月 | 速報値 |
5月 | 改定値 | |
6月 | 確報値 | |
第2四半期 | 7月 | 速報値 |
8月 | 改定値 | |
9月 | 確報値 | |
第3四半期 | 10月 | 速報値 |
11月 | 改定値 | |
12月 | 確報値 | |
第4四半期 | 1月 | 速報値 |
2月 | 改定値 | |
3月 | 確報値 |
GDP発表前後の動き
GDP発表前に、様々な予想値(ロイターをはじめとするニュースベンダーや金融機関各社による予想値)が発表されます。
ほかの指標と同じく、実際に発表された数値が予想値と変わらなかった場合は、発表後の市場にそれほどインパクトは与えません。
しかし例えば、
経済が停滞している中で、実際に「予想した通りの悪い結果」であったことが発表後に確認されたと市場が判断すると、一呼吸おいて売り材料になる場合があります。またその逆も同様です。
GDP要チェックの8か国
各国のGDPについて説明します。
1.アメリカのGDP
注目度 ★★★★★
・アメリカのGDPは、全世界のGDPの約3割を占めており、最も重要
・個人消費・設備投資・住宅投資・在庫投資・政府支出・純輸出で構成されている
・個人指標関連の動きと連動性が高い(アメリカのGDPの約7割を占めるのが個人消費であるため、個人消費関連の経済指標の上下=GDPの上下という具合に、予測につながりやすい)
2.ドイツのGDP
注目度 ★★★★☆
・ヨーロッパでは欧州統計局が1995年から統計しているユーロ圏内のGDPも発表されるが、単独GDPの注目度が非常に高い
3.オーストラリアのGDP
注目度 ★★★★☆
・2008年のリーマンショックを前後に、先進各国は軒並み知セッション入りとなった中で、オーストラリアだけが1四半期のみのマイナス成長でリセッション入りを逃れた→このGDPの推移が、その後の豪ドル高へ繋がった
・それ以降注目度が上がっている
4.日本のGDP
注目度 ★★★☆☆
・注目は断然一時速報(速報値)
・なかでもGDPデフレーター(名目GDP÷実質GDP)などが物価水準を測るうえで注目されている
・世界における日本のGDP水準は、2009年までアメリカに次ぐ世界第2位だったが、2010年に中国に抜かれ、現在は世界第3位
・以前に比べると為替マーケットへの影響も、相対的に低下している
5.イギリスのGDP
注目度 ★★★☆☆
・アメリカに先行するとも言われている(実際、リーマンショック前の段階からアメリカとイギリスは早々と利下げに方向転換していて、その時点でトレンドが変わっていた)
・アメリカ、世界経済を占う先行指標の一つとして注目されている
・1、4、7、10月下旬に速報値が発表される
6.ニュージーランドのGDP
注目度 ★★★☆☆
・震災の影響で一時は経済の落ち込みが懸念されたが、今後は復興需要への注目度が高まっている(日本同様、ニュージーランドも2010年に~2011年にかけて、同国にとって過去最大規模にあたる大地震が発生し、甚大な人的被害があった)
・OECDが公表する財政赤字対GDP比のレポートが材料視される
7.カナダのGDP
注目度 ★★☆☆☆
・他国と違って毎月推計し発表していることから、その分だけ注目度は若干落ちる
8.スイスのGDP
注目度 ★★☆☆
・規模は小さいが1人当たりのGDPは世界トップクラス
・安定通貨で、GDPの影響は比較的小さい
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