今回は、「株式会社特有のシステム」について解説します。
株式会社特有のシステム
有限責任
有限責任とは、会社が倒産した場合、出資した金額は戻ってこないです。
しかしそれ以上の責任をとる必要がないということでもあります。
個人商店が倒産した場合には、個人財産を処分してでも借金を返済しなければなりません。
これを、無限責任と言います。
これを株式会社の株主にも要求すると安心して出資できなくなるため、株式会社は思うように資金を調達することができなくなります。
株主の責任を有限責任とすることにより、安心して出資できるようにしています。
配当
株主は株式会社の出資者のため、会社が活動し、利益が出たらその場合の一部を、配当として受け取ることができます。
一般的には、利益が多い会社の方が配当が多くなる傾向があります。(その会社によります。)
所有と経理の分離
株式会社の出資者である株主は、会社の所有者(オーナー)のため、会計の経営に物申すことができます。
しかし、株主は大勢いるため必ずしも会社を経営する能力がある人が株主になるとは限りません。
そこで株式会社では、株主から選ばれた取締役が会社の経営をすることになっています。
このように、所有者(オーナー)と経営者が異なることを、「所有と経営の分離」と言います。
株式会社では所有と経営が分離しているため、株主から出資されたお金を使って取締役が会社を運営しているという形になります。
株主のお金を使って会社を運営するため、どのように運営したかを株主に報告する必要があります。そのために株主総会があります。
株主総会・取締役会
株主総会とは、株主が会社の基本的事項を決定するための機関のことです。
株主総会では、取締役・監査役(取締役を監査する人)の選任・解任・配当金額の決定などを行います。
取締役会とは、取締役が集まって会社の経営方針を決定するための機関のことです。
取締役会で決定した経営方針に基づいて取締役が会社を運営します。
その運営結果が最終的に財務諸表にまとめられ、株主総会で報告されます。
会計期間
個人商店の場合、会計期間は1月1日〜12月31日までの1年間と決まっています。
株式会社の場合、会計期間は会社が決めることができます。
1年間であれば何日でも良いことになっています。
株式の発行
株式会社では、会社の設立時・設立後の増資時に株式を発行します。
増資とは、会社設立後に株式を発行して、資本金(純資産)を増加させることです。
株式を発行した時
株式を発行したときの処理には、原則処理・容認処理があります。
原則処理
株式を発行した時は、原則として払込金額の全額を資本金(純資産)として処理します。
容認処理
会社法では、払い込み金額のうち、2分の1の金額については資本金として処理しないことも容認されています。
この場合、資本金として処理しなかった金額は、資本準備金(純資産)として処理します。
つまり、容認処理は、払い込み金額のうち最低2分の1は資本金(純資産)として処理します。
残りは、資本準備金(純資産)として処理します。
表に表すと下の通りです。
【株式を発行により集めたお金の行き先】
〈原則〉 全額:資本金(純資産) | 〈容認〉 最低2分の1:資本金(純資産) 残り:資本準備金(純資産) |
株式発行費用の処理
株式を発行する際、証券会社に対する手数料・広告費などの株式発行費用が発生します。
株式発行費用の処理は、会社設立時も増資時も、原則として費用処理しますが、勘定項目は異なります。
会社設立時の株式発行費用
会社設立時にかかった株式発行費用は、会社を設立するためにかかった費用のため、創立費(費用)として処理します。
更に、定款作成費用・設立登記のための登録免許料など、会社の設立時にかかる費用は全て「創立費」として処理します。
増資時の株式発行費用
増資時にかかった株式発行費用は、株式交付費(費用)として処理します。
会社の設立後、営業を開始するまでに要した費用は、開業費として処理します。
関連記事→株式会社における【 新株発行(増資)の手続き・処理 】まとめ
まとめ
株式投資では、決算を読み込むために簿記の知識もあると優位になります。
今後も決算を読み解いていきましょう。
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